専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第255回 日本はもちろんのこと、世界はいまだ大変な状況が続いています。そこで今回は、ゴルフにまつわる柔らかい話をして、みなさんと一緒に”新型コロナウイルスR…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第255回
日本はもちろんのこと、世界はいまだ大変な状況が続いています。そこで今回は、ゴルフにまつわる柔らかい話をして、みなさんと一緒に”新型コロナウイルス”を吹き飛ばせればいいな、と思っています。
本当に軽いテーマなので、あまりマジメに読まないでいただければと思います。多少脱線しますが、その辺はサラッと流して、寛容な心でご笑納くださいませ。
世の中、何でもゴルフのせいにしておけば、物事がうまく進みます。そう思っている殿方は多いです。
たとえば、夜遅く家に帰った時、奥さんに「今、何時だと思っているの? どこに行ってたのよ」と聞かれることがあります。とりあえず、「ゴルフで遅くなるって言ったろ」と弁解するや、奥さんはすかさず「なんで昼間のゴルフで遅くなるの」と突っ込んできます。そう言われれば、もうこう返すしかありません。
「ゴルフの打ち上げがあるって、言ってなかったっけ?」
“ゴルフ”という理由1本で逃げまくりです。
もちろん、ほんとのことはわかりませんよ。でも、それで何とか通用するのが、ゴルフのよさなんですな。
たしかに、ゴルフはスポーツですが、プレーをしたあとは、なぜか飲み会をしたり、男性であれば女性のいるお店に遊びに行ったりします。しかも、大の大人が平日の昼間から、酒を飲みながらプレーすることもできます。加えて、そうした行為を接待交際費で落とせる場合もありますし、もっとすごいと、相手側に奢っていただけることも。
このようなゴルフの特殊事情を、殿方は好意的に解釈し、うまいこと活用しようとします。片や、世の奥様たちは、ゴルフのあとにパーティーや打ち上げと称する飲み会があることは承知していても、そうした特殊事情についてはおおよそ知りません。それゆえ、男のアクテイブな外出は、ゴルフが起点になることが多いのです。
というわけで、ゴルフは”言い訳の天才”には、欠かせないアイテムとなっています。また、ゴルフにおいては”言い訳”が付き物です。以降、その辺りにスポットを当ててみましょう。
(1)ラウンド前は言い訳のオンパレード
昔、高校時代の中間テストの時など、友だちに「おまえ、勉強してきたか?」と聞かれて、「昨日は(笑福亭)鶴光のオールナイトニッポンを聞いていたら、朝になってしもうた」なんて、言い訳をしていました。
そういう言い訳癖は、ゴルフでいかんなく発揮されます。
とりわけすごいのは、ラウンド前、ライバルから「調子はどう? ニギるか?」というリクエストが来た瞬間ですね。どうにか逃れようと、出るわ、出るわの、言い訳三昧。ざっと列挙しますと、以下のような感じでしょうか。
・「昨日、ゴルフだと思うと興奮して眠れなかった。今、すごく眠いからパス」
これは、案外本当のことだと思います。たまのゴルフで「明日は早く起きなければ……」と思えば思うほど、なかなか寝つけないもの。そこで、こんな言い訳を追加します。
・「昨日、飲みすぎて、二日酔いなんだ」
明日の早起きのため、お酒を軽く飲んで寝ようとしたけど、なぜか興奮して、逆に眠れない。それで、ゴルフ専門チャンネルで放送していたPGAツアーのダイジェストなどを見ながらチビチビやっていたら、結局ソファーで寝てしまった……よくあることです。
・「お腹がくだって、ニギりどころじゃないよ。悪寒もするし……」
一連の、寝つけない→寝酒から深酒→翌朝体調を崩す、というのは、もはや”ゴルフあるある”の3点セット。言い訳としては、完璧です!
・「血圧の薬を飲むのを忘れたから、今日はダメ。フラフラする」
これは、気のせいです。朝に降圧剤を飲み忘れても、急に血圧が上がるとは思えません。けど、気分的にそうなら、仕方がないです。多くの人には、言い訳にしか、聞こえませんけどね。
・「子どもが熱を出して、夕べ眠れなかったんだよ」
子どもネタを出すのは、本来”禁じ手”です。これは「お大事に」というしかないでしょ。言い訳だろうと、突っ込めませんから。
・「ここ2カ月、クラブを握っていない」
これぐらいが、どっちにも取れて、無難です。つまり、弱気に見せながら、実は久々のゴルフでも「いいスコアを出せるぞ」的な腹づもりが見え隠れしていますから。
・「夜中に寝違えて、首をやってしまった」
体調の言い訳は、いくらでもできます。たとえば、「最近、目が霞んで、よくモノが見えない」「痛風で足が痛い」「モノを拾おうとしたら、腰をやってしまった。ぎっぐり腰だよ」などなど。たぶん、そうなんでしょうけど、相手には相当大げさにアピールしていると思われます。
そんなわけで、ラウンド前、ニギりから逃れるための言い訳となれば、山ほど出てきます。聞いているほうは「ネタか?」と思うかもしれませんが、言っているほうは真剣だったりもしますから、話半分ぐらいには聞いてあげましょう。
たしかにゴルフには
「言い訳」が付き物ですよね...。illustration by Hattori Motonobu
まあ、そんな弱気なことを言いつつも、ラウンドを終えてみれば、「89」のスコアを出してご機嫌、といったがよくあります。
「あれ? 用心してプレーしたから、かえってよかったのかも」なんて言ってね。
ライバルからすれば、「なんだよ、単に予防線を張っていただけじゃん。言い訳を真に受けて、心配したこっちは何だったんだよ!」って、感じですかね。
(2)不適切な旅行における言い訳
不適切な旅行の際にも、ゴルフは言い訳に利用されます。ただ、人間は慣れないことはやるもんじゃない、という”好例”を紹介しましょう。
ゴルフではなぜか、観光シーズンになると、高原やビーチなどのリゾート地でプレーしますよね。家の近くのコースで安くラウンドすればいいのですが、「せっかくだから」と、飛行機に乗ってリゾート地へ行ってしまうんですな。
もちろん、ものすごく費用はかかります。けど、一度そういうリゾートを体験してしまうと、本当に楽しいもので、また行きたくなります。その際、男というのは「若い女性が一緒だったら、もっと楽しいだろうな」と考えがち。
そうして、女性の手配は各々の実力次第となりますが、家族には内緒で、やんごとなき女性とのリゾート旅行を敢行することに。ただこうした場合、相手の女性はゴルフをしないことが多いので、単なる旅行を楽しむだけ、ということが往々にしてあります。無論、家にはゴルフ旅行という名目にしてあるんですけどね。
さあ、この結末や、どうなるか?
男としては、もはや天にも昇る気持ちになっています。失われた青春を取り戻すこともできました! それはよかったけど、家に帰ってほどなくして、不適切な旅行だったことがバレてしまいます。
なんで、発覚したのか。
「沖縄のゴルフ、どうだったの? ゴルフバック(家に)忘れたでしょ」
奥さんにそう聞かれて、しどろもどろになってしまったんですな。
すっかり舞い上がって、肝心のアリバイ工作用のゴルフバッグを家に置き忘れてしまっちゃ、世話ないです。しかも、奥さんは何の疑いもなく、心配して聞いただけなのに……。
こうした場合、本来取り繕うのは簡単です。
「慌てて行ったから、大変だったよ。仕方がないから、クラブは現地でレンタルした」
こう答えるだけで、話は済んだんですけどね……。
よこしまな考えでリゾート旅行に行った時は、ゴルフをせずに終わることが多々ありますが、現地では必ず、どこぞのゴルフコースに立ち寄って、スコアカードやパンフレット、浴室にあるビニール袋などを入手しておきましょう。何事もマメに! ですよ。
ゴルフは、スコアに対しては正直になるのに、周りの人たちには言い訳をしたり、嘘をついたりしてしまいがち。処世術を磨くには、ゴルフが最も向いているかもしれません。
何はともあれ、晴れて堂々とゴルフができる日まで、もう少しの辛抱です。がんばりましょう。