新型コロナウイルスの感染拡大を受け、プレミアリーグは3月13日から中断している。今年1月にザルツブルクからリバプー…

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、プレミアリーグは3月13日から中断している。今年1月にザルツブルクからリバプールに加入した南野拓実は、入団から約2カ月半でシーズン中断を余儀なくされた。



リバプールに移籍した南野拓実の2カ月半を振り返ってみた

 入団から中断までの経過を振り返ると、リーグ戦では9試合中3試合に途中交代で出場。現スカッドの完成度が高いリバプールで、リーグ戦での先発出場は叶わなかった。

 また、チャンピオンズリーグでも先発はなく、アトレティコ・マドリードとの決勝トーナメント1回戦の2試合でベンチスタート。ホームで行なわれた第2戦では延長後半から途中交代で出場したものの、スタメンに名を連ねることはなかった。

 一方、チームとして優先順位の落ちるFAカップでは3試合で先発出場を果たした。ウィンターブレイク中に行なわれ、ファーストチームの選手は欠場となったリーグカップ4回戦の再試合を除けば、全試合に先発した。

 南野の入団時、「タキ(南野の愛称)に適応するための時間を与えなければおかしい」とユルゲン・クロップ監督が語っていたように、ここまではプレミアリーグへの適応とベストポジションを探るための「準備期間」だったと見ていいだろう。

 では、ステップアップには何が必要か——。

「加入から中断までの評価」について、英紙サンデー・タイムズで健筆を振るうジョナサン・ノースクロフト記者に話を聞いた。

「CLグループリーグ・リバプール戦での活躍が認められてオーストリアから移籍してきたが、ここまでザルツブルクで見せていたような輝きはリバプールで見せていない。その証拠に、チームとして優先順位の高いプレミアリーグとCLの2大会での出場時間は、全部合わせても84分間しかない。

 だが、今のリバプールで即座にレギュラーの座を掴むのは至難の業だ。南野のプレー位置である3トップには、ロベルト・フィルミーノ、モハメド・サラー、サディオ・マネの3人が君臨している。元イングランド代表FWのウェイン・ルーニーも、リバプールの3トップを『世界最高峰』と称賛しているほどだ。

 スイス代表FWジェルダン・シャキリや、ベルギー代表FWディボック・オリジも控えに甘んじているのだから、南野にとっても非常に高いハードルだ」

 では、南野の課題はどこにあるのか。ノースクロフト記者は言葉を続ける。

「プレーから感じるのは、プレミアリーグ特有のプレースピードと当たりの激しさに、まだ順応できていないこと。南野にボールが渡ると、チーム全体のプレースピードが落ちてしまう傾向がある。相手に激しく寄せられると、バランスを崩してしまう点も気になる。だが、これらは試合と練習を重ねていけば、いずれ克服できるはずだ。

 それよりも気になるのは、リスクを冒したプレーが足りないことだ。セーフティファーストのプレーが多く、ボールポゼッションを失うことを嫌がっているように見える。もちろん、無謀なアタックはいただけないが、積極的に仕掛けたうえでのボールロストなら、クロップ監督も手を叩いて褒めてくれるはずだ。

 無理をしてパスが乱れたとしても、今のリバプールの選手なら、きちっと足もとに収めてくれるに違いない。もともと、クロップの戦術コンセプトは『ヘビーメタル・フットボール』。ギターをガンガン鳴らすようなトライを、とくにファイナルサードで南野も見せてほしい」

 ノースクロフト記者によると、クロップ体制始動後に加わったブラジル代表MFファビーニョやギニア代表MFナビ・ケイタ、イングランド代表MFのアレックス・オックスレイド=チェンバレンの3人も、加入当初は南野と同じように苦しんでいたという。

 だが、彼らは指揮官の戦術を習得し、遠慮を取り払って積極的に仕掛けるようになったことで、プレーのクオリティが飛躍的に上がった。ノースクロフト記者は「期間は選手によって異なるが、プレミアリーグとチームへの順応に3〜6カ月は見たほうがいい」と話す。同記者は、南野の活躍に太鼓判を押す。

「選手発掘に定評のあるクロップ監督と、リバプールスカウト陣が才能を認めた時点で、『リバプールにフィットするかどうか』の問いは愚問だろう。南野にはリバプールで活躍できる土台が備わっている。ここからどう自分らしさを発揮し、ステップアップしていくか。

 オックスレイド=チェンバレンも、加入当初は迷いながらプレーしていた。アーセナルからリバプールへのプレミアリーグ内の移籍、さらにイングランド出身の選手であっても、入団から半年程度は戦術習得など苦労が多かったと聞く。

 だが、ひとたびチームに順応すると、アーセナル時代よりも輝き始めた。アーセナル在籍時はどこか才能を持て余しているように見えたが、リバプールでタレントは開花した。中断直前にアンフィールドで行なわれたCL決勝トーナメント1回戦・アトレティコ・マドリード戦でも、チームは敗れたが、ピッチ内で最高のプレーを見せていたのはオックスレイド=チェンバレンだった。

『タキらしいプレーを見せてほしい』と語っていたクロップ監督の言葉どおり、前向きに、そして積極的にリスクを冒したプレーを見せていけば、南野も自然と道は開けるはずだ」