東京オリンピックへ向けて注目度が高まるアーバンスポーツ、アクションスポーツの魅力をFINEPLAY編集部がDig。「サーフィン」の歴史や種目、世界で戦う注目選手を紹介。東京オリンピックの追加種目として注目を浴びている「サーフィン」は、日本に…

東京オリンピックへ向けて注目度が高まるアーバンスポーツ、アクションスポーツの魅力をFINEPLAY編集部がDig。「サーフィン」の歴史や種目、世界で戦う注目選手を紹介。
東京オリンピックの追加種目として注目を浴びている「サーフィン」は、日本にも注目すべき有望選手が多数。外出できないこんな時期だからこそ、歴史や種目を復習して、観戦の楽しみを倍増させよう。

古代ポリネシアから始まったという「サーフィン」の歴史

「サーフィン」の起源ははっきりしていないが、一説にはハワイやタヒチに住んでいた古代ポリネシア人が西暦400年ごろにはすでに「サーフィン」の原型を行なっていたとされている。

「サーフィン」が世界に広まったのは1900年代初頭。ハワイに移住してきた人々が「サーフィン」を楽しむようになり、ジョージ・フリースがカリフォルニアに「サーフィン」を伝え、ハンティントンビーチで初のエキシビションを行なった。
その後スイマーとして華々しい活躍を遂げ、スターとして一躍有名となったデューク・カハナモクが世界各国への「サーフィン」の普及に努めた。
その結果「サーフィン」は発祥であるハワイをはじめ、カリフォルニア、オーストラリアを中心に世界各国へ広がり、各地にサーフィンクラブが組織されるようになる。

日本では1960年代から湘南や千葉の海を中心に日本人サーファーが活躍、次第にムーブメントは全国へと波及していく。1965年には日本サーフィン連盟が発足し、1966年には「第1回全日本選主権」が開催されている。
現在では、世界で戦うサーファーも輩出しており、追加種目としての競技が決定した2020年東京オリンピックにおいても、メダルの獲得が期待されている。


ケリー・スレーター / Photo by Shuji Izumo

ボードの長さによって分けられる「サーフィン」の2種目

「サーフィン」は使用するボードの種類によって競技カテゴリが分けられている。ボードの種類は大まかに分けて2種類。長さ9フィート(約274cm)以上のロングボードと長さ6フィート(約183cm)前後のショートボードだ(厳密にはロングボードとショートボードの中間のサイズのファンボードというボードも存在する)。
ロングボードは、安定感があり直進性が高く、ボードの上を歩くテクニックに主眼が置かれていることが特徴だ。
ショートボードは1970年代に登場した比較的新しいボード形状で、ロングボードに比べて小回りがききやすく、ターンなどのテクニカルな動きが中心となる。東京オリンピックではこのショートボードで競技が行われる。


松田詩野 photo by tabasa

自然の中で行うスポーツ「サーフィン」3つの観戦ポイント

ダイナミックなトリックの応酬は必見

サーフィンの魅力はなんといってもダイナミックなその動き。
カットバックやリッピングなど、波の様々な場所で行うターンを主軸としたトリックや、エアリアルと呼ばれるボードごと空中へ飛び出すトリックなど、多様な技で観客を魅了する。
スプレーと呼ばれるしぶきを巻き上げながら繰り出す様々なトリックは必見だ。

波選びの駆け引きに注目

「サーフィン」は予選では4名ないし5名の選手でヒートを行い、本選では2名の選手でヒートが行われる。30分の制限時間の中で各選手は最大25本まで波に乗ることができ、そのうち得点の高い2本のライディングの合計を競う。
そのため、選手はできるだけ高得点を獲得するために波を選ぶ必要があるが、波に乗ることができるのは1人だけ。ピークと呼ばれる崩れる直前の波の頂点に近い選手に波に乗ることができる優先権が与えられるため、ポジション取りも大変重要となる。
どのような波でどのような技を繰り出すか、絶えず計算しながらポジションを争う水面下の戦いにも注目だ。

自然を味方につけて勝利を掴め

サーフィンは自然の中で行う競技であり、そのため他の競技にはない奥深さがある。いかにその時のコンディションに順応できるかが勝利へのカギとなり、実力はもちろんのこと、自然にいかに同調し、絶えず変化するう波に上手く乗ることかということも重要となる。


村上舜 photo by tabasa

世界で活躍する「サーフィン」注目選手 8名

ジョン・ジョン・フローレンス

ジョン・ジョン・フローレンスは1992年生まれ、27歳のハワイ出身のプロサーファー。2016年、2017年と2年連続世界タイトルを獲得している世界王者。2018年6月の右膝靱帯の怪我から見事カムバックを果たし、生きる伝説ケリー・スレーターとの東京オリンピック出場枠争いに勝利、アメリカ代表に内定した。東京オリンピックでは一番の注目選手だ。


ジョン・ジョン・フローレンス / 写真提供:WSL / KELLY CESTARIイタロ・フェレイラ

イタロ・フェレイラは1994年生まれ、ブラジル出身のプロサーファーだ。2019年、宮崎で開催された「ISA ワールドサーフィンゲームス」ではトラブルによる大遅刻からの逆転優勝を果たし、一躍脚光を浴びた。「ブラジリアンストーム」というブラジル人サーファーの台頭を表すムーブメントの中心的人物で、強豪国であるアメリカやオーストラリアに打ち勝ち、東京オリンピックでの金メダルを狙う。


イタロ・フェレイラ / Photo by Shuji Izumo五十嵐カノア

五十嵐カノアは1997年生まれの22歳。アメリカ出身のプロサーファー。カリフォルニアに移住した日本人の両親の元に生まれ、2018年に国籍を日本に変更。日本人初のWorld Surf League(WSL)のCT選手となった。2019年にはCT第3戦である「Corona Bali Protected」で日本人初のCT優勝を飾っている。日本代表にも内定しており、東京オリンピックではメダル獲得を目指す。


五十嵐カノア / Photo by Shuji Izumo村上舜

村上舜は神奈川県の湯河原出身、1997年生まれの23歳。2019年「ISA ワールドサフィンゲームス」で4位入賞し、東京オリンピック出場権を獲得した。2020年 WSLクオリファイシリーズ初戦「QS5000 Corona Open China」でも優勝を果たしており、今後の活躍が期待されている。


村上舜 photo by tabasaステファニー・ギルモア

ステファニー・ギルモアは1988年生まれの32歳、オーストラリア出身のベテランプロサーファーだ。女子世界タイトルを歴代最高の7度記録しており、サーフクイーンとしてシーンに君臨している。オーストラリア代表として東京オリンピックでは金メダルが期待されている。


ステファニー・ギルモア / 写真提供:WSL / KELLY CESTARIカリッサ・ムーア

カリッサ・ムーアはハワイ・オアフ島出身の27歳。4度の世界タイトルを獲得している。2020年シーズンのCT休場を発表しているが、東京オリンピックではアメリカ代表として出場予定。


カリッサ・ムーア / 写真提供:WSL / MATT DUNBAR松田詩野

松田詩野は神奈川県・茅ヶ崎出身、2002年生まれの17歳現役高校生プロサーファー。2019年「第1回 ジャパンオープンオブサーフィン」で優勝。同年「ISA ワールドサーフィンゲームス」では女子アジア最上位の15位となり、東京オリンピック日本代表の権利を獲得している。


松田詩野 photo by tabasa都筑有夢路

都筑有夢路は埼玉県・所沢出身、現在は神奈川県・鵠沼を拠点に活動する2001年生まれの19歳。2019年には「World Junior Championships」で優勝、日本人初の「WJC」タイトルを獲得した。カリッサ・ムーアの2020年シーズンCT休場(東京オリンピックには出場予定)により、繰上げで2020シーズンのCT参戦が決定。東京オリンピックの出場を目指す。


都筑有夢路 photo by tabasa

FINEPLAY’s PHOTO SELECT


稲葉玲王(写真左)、大原洋人(写真右) photo by tabasa
大橋海人 photo by tabasa
松田詩野 photo by tabasa
大原洋人 photo by tabasa
川合美乃里 photo by tabasa
稲葉玲王 photo by tabasa
脇田紗良 photo by tabasa
大原洋人 photo by tabasa
稲葉玲王 photo by tabasa
松田詩野(写真左)、中塩佳那(写真右) photo by tabasa

写真提供:WSL / KELLY CESTARI・MATT DUNBAR
文・金子修平