10年まで21年間にわたって現役だった野口氏が「言葉自体を聞いたのは最近」というフレーミング。ボールと判定されそうな際…
10年まで21年間にわたって現役だった野口氏が「言葉自体を聞いたのは最近」というフレーミング。ボールと判定されそうな際どい球を、捕球の仕方によってストライクに見せる技術のことで、近年球界でも一般的な言葉になってきた。ただ、野口氏は前提として「アンパイアを欺く行為でもある。絶対にやらなければならないものでもないし、フレーミングありきというのはどうかなと個人的には思っている」と釘を刺す。
その反面、「成功すればピッチャーを助ける」と有効性にも言及。勝負所やカウントが悪い場面でストライクと判定されるのと、ボールになるのでは大きく展開が変わる。一般的にフレーミングといえば、捕球時にミットをうまくずらしてストライクゾーンに入ったように見せる行為などが思い当たるが、「ミットを動かすキャッチャーは、アンパイアから評判が良くない」ときっぱり。本来ならストライク判定の球でも、ミットを動かして捕ったためにボールと判定されるケースもあり「ピッチャーに対して失礼になる」と念を押す。
野口氏は、ミットを動かさず捕球した上で球審にうまく見せる“コツ”を紹介。あえてミットをストライクゾーンの位置に構えたまま捕球面の中心を外して捕ることも手段のひとつだという。さらに自身の経験として、「体を動かす」技術も披露。ミットは動かさないが、体を捕球時にボールゾーン寄りに軽く傾けることで、ミットがよりストライク寄りに見えるといい「印象度はいい」と話す。
野口氏がプロ生活を通じ、フレーミングに長けた選手として挙げたのは、3021試合のプロ野球最多出場記録を持つ谷繁元信氏。横浜と中日で活躍し、中日では監督も務めたレジェンド捕手は、ミットを動かさずに捕ることが上手かったといい「アンパイアに良く見えるから、ストライクになる」と分析する。その一方で、野口氏と同期入団でヤクルトの黄金期を支えた古田敦也氏の捕球は「逆にうまく動かしていた」とも。ミットと体を一緒にわずかに移動させる技術は「露骨じゃなく、嫌味のない動かし方」と、谷繁氏との違いを語った。
ただ、いずれにせよ応用的な技術。多用するのではなく「ここぞの時にやるから意味がある」と強調。小中学生ら球児に向け「しっかりと、そこに来た球をそこに見せてあげること。人の目を欺こうとすることばかりに集中しないでほしい」。まずは基本的な捕球を確立していくことが最優先だと熱っぽく説いた。(Full-Count編集部)