5月16日、ブンデスリーガ(1部、2部)が無観客で再開される。5月6日のアンゲラ・メルケル首相からのゴーサインを受けて、7日にDFL(ブンデスリーガ機構)から発表された。

 ブンデスの各チームは4月から、それぞれの州の要請に従って、人と人との間隔をあけるなど条件付きで、クラブの施設での練習を行なってきた。だが、この時期の再開は予想より早いという印象が強いだろう。そこには、とにかく再開して残りの日程をどうにか消化したいという経済的な事情も透けて見える。フランスやオランダが今季リーグ戦の中止を決め、スペイン、イングランド、イタリアも再開のめどが立たないなか、大げさに言えば、国とリーグの威信をかけての再開となる。



リーグ戦再開に向けて練習するロベルト・レバンドフスキ(左)らバイエルンの選手たち

 再開初戦はただでさえドラマチックになるはずだが、なかでも盛り上がりそうなカードが16日のレヴィアダービー、ドルトムント対シャルケだ。順位こそドルトムントが2位でシャルケが6位と少々離れてはいるが、そんなことは関係ない。近隣のライバル同士の一戦は常に熱くなる。

 また、17日には、ウニオン・ベルリン対バイエルンという特別なカードが待ち受けている。中断前の、まだ判断がクラブごとに分かれていた時期、ウニオンは最後の最後まで観客を入れて試合を行なうことを主張していた。結局、第26節直前にリーグ自体が中断を決めたため、無観客はおろか、試合すら行なうことができなくなった。その再開初戦で、クラブ史上初めて1部リーグでのシーズンを過ごすウニオンが、あのバイエルンを迎えるのだ。ホームで迎えた今季の開幕戦では、1部で戦うという喜びに震え涙する多くのファンの姿が伝えられた。バイエルンを迎える一戦もまた感動的なものになるだろう。

 もちろん、残念なことに、どんな感動的なシーンもスタジアムで観戦することは叶わない。政府によって大規模な集会、イベントは8月31日まで禁止されており、試合も今季いっぱいは無観客で行なわれることになる。DFLのクリスティアン・ザイフェルトCEOはこう言う。

「無観客試合はだれにとっても理想的な解決策ではありません。しかし、いくつかのクラブを脅かす(経済的)危機にあって、これが今のままの形でリーグを維持していく唯一の方法なのです」

 長谷部誠と鎌田大地が所属するフランクフルトは16日、ホームでボルシアMGと対戦する。

 フランクフルトはすでに3月、ヨーロッパリーグのバーゼル戦で無観客試合を経験している。また、2月にはリーグ戦のウニオン・ベルリン戦でファンが応援をボイコット。ホームのゴール裏だけが無観客という状態になった。このときのウニオン戦について、鎌田は「やっている選手たちも何かが違うと思うし、何かが変わるなと思いますね。ウニオン戦に関しては、試合前から雰囲気もフワッとしていて、難しい試合になるだろうという感じがあった。やっぱりファンの大切さはすごく感じます」と語っていた。

 無観客であることが試合や選手たちにどのような影響を与えるのか。その意味でも手探りの再開となる。

 スタジアムに入れないのは観客だけではない。DFLは、スタジアムに滞在する人数を最大で322人とするなどのガイドラインも発表した。それによれば、たとえば15時30分開始の試合の場合、朝8時の時点で入れるのは84人。時間とともにスタジアムに入れる人数は増え、試合開始の時点で最大322人となり、試合終了90分後の19時には188人以下にするとされている。

 ちなみに、ジャーナリストに関しては、入場は10人に限定され、14時にスタジアム入りし、試合終了後はなるべく早い撤収が求められる。ミックスゾーンでの選手取材はなく、会見はオンラインで行なわれるという。

 再開のめどがたったかに見えた9日、2部ドレスデンで、新たに2人の選手が感染したことがわかり、選手、スタッフ全員が2週間の自宅隔離という事態に。17日に予定されていた原口元気の所属するハノーファーとの再開初戦は見送られることになった。試合をどうするかは今週、話し合われる予定だ。同じく2部のアウエでも、スタッフ2名に陽性反応があり、いったんは選手を含めて全関係者が隔離生活に入っていたが、7日の時点で隔離を解除したことを発表している。

 このような状態で、はたして全チームが等しく日程をこなすことが本当にできるのか。今後のリーグ運営も一筋縄ではいかないだろう。毎試合、前日に選手のPCR検査を行なうことになっているなど、安全面にはできる限りの配慮がなされている。とはいえ新たな問題は発生するに違いない。それでも、ブンデスリーガは前進する道をとった。