新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ブラジルでは3月16日からすべてのリーグがストップしたままだ。ブラジルでは2月から…
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ブラジルでは3月16日からすべてのリーグがストップしたままだ。ブラジルでは2月から新シーズンが始まるので、ほんの数試合を戦っただけで延期になってしまった形だ。

3月16日のバングー戦が最後の試合になっている本田圭佑(ボタフォゴ)photo by KYODO
ブラジルのシーズンはまず州別のリーグ戦があり、その後、5月から全国リーグが始まる。しかしまだ州リーグが消化されていないのだから、その後の全国リーグがどうなるのかまったくわからない。ブラジルサッカー協会は各州のサッカー協会の決定を待っている状態だ。
一番伝統のあるサンパウロ州のカンピオナート・パウリスタ(サンパウロ州選手権)は、近いうちにすべてのクラブチームの代表を集め、いつ練習を再開し、いつ試合を再開するのかを決めていくことにした。一方、リオデジャネイロ州ではすでに話し合いが行なわれ、チームそれぞれが独自の判断で練習再開の時期を決め、その後、試合再開の日程を決めることとなった。
試合再開の時期に関しては、今のところ5月末か6月初旬が有力だ。なぜなら38節ある全国リーグを終わらせるには、少なくとも7月半ばに州リーグを終わらせる必要があるからだ。
全国リーグは注目度が高く、動く金額も州リーグとは比べものにならない。そのためどのクラブも、どうにか全国リーグを完璧な形で開催したいと望んでいる。
もともと財政的に豊かでないブラジルのクラブチームにとって、リーグ再開は死活問題だ。
コリンチャンスは数日前に、電気代を払えずすべての電気を止められた。クルゼイロは選手、スタッフすべての給料が払えず、数カ月前にリバプールと世界一を争ったフラメンゴも4月から全員の給料を大幅にカットした(フラメンゴでは40年間務めたマッサーがコロナに感染して亡くなっている)。セリエA(1部)のビッグクラブでさえこんな状態なのだから、下部リーグのチームの状況は本当にひっ迫している。
しかし、そんな中で唯一、早期再開に異を唱えているのが本田圭佑の所属するボタフォゴだ。ボタフォゴのカルロス・モンテネグロは、過去に二度ボタフォゴの会長を務め、現在は相談役を務めるチームの重鎮。本田の移籍に関しても大きく関わった人物だ。そのモンテネグロがリーグ再開を急ぐ風潮に一石を投じた。
「コロナウイルスの流行が今後どうなるかわからないうちは、試合再開がいつになろうともボタフォゴは練習を再開しない。州リーグの決定に歯向かえば罰金やその他ペナルティは免れないだろう。しかし金やポイントを失うほうが、選手の命を失うよりもずっといい」
ボタフォゴも、台所事情は他のチーム同様に厳しい。先日は45人のスタッフを解雇し、それを免れたスタッフへの給料も滞りがちだ。早く試合を再開して財政を安定したいのはやまやまだが、それより守るべきものがあると彼らは考えている。モンテネグロは、チームが集まっての練習は、「5月中は絶対あり得ない」と言っている。
そのかわり、ボタフォゴはかなり早いうちにオンラインで選手へのサポートを始めている。ズームやスカイプなど活用して、フィジカルトレーナーが個々の選手に対応したトレーニング方法を指導。栄養士による食事の指導、心理カウンセラーによる選手の心のケアにも着手している。
メディアはこうしたボタフォゴの断固とした態度を支持している。国会議員になった往年の名選手ロマーリオも、リーグの早期再開には懐疑的だ。
「開始直後のリーグ戦は無観客試合にするとサッカー協会は言っているが、サポーターの健康は守っても、選手の健康は守らないのか。コロナが怖くて無観客でやるというなら、無選手でやるべきだ。それにプロのサッカーはショーだ。観客なしで試合をして何の意味がある?」
そうしたなかで、いっそヨーロッパ同様にシーズンを9月スタートにしてはどうかという案も浮上している。
ブラジル人にとってサッカーは宗教に近い。いつも身近にあって喜びを与えてくれるもの、心のよりどころだった。しかしその日常が突然変わってしまった。サッカーのない世界は、ブラジル人にとってあまりにも現実離れしていて、恐怖さえも感じるほどだ。
サッカーがなくなったことで、世界のどの国よりもショックを受けているのはブラジルではないかと思う。