フランスの強豪クラブ、トゥーロンに今季加入した日本代表57キャップ保持者のFB五郎丸歩(30歳)が、同国最高峰リーグ「トップ14」で初出場のチャンスがめぐってきた。現地時間10月8日に敵地でおこなわれる第8節、ラ・ロシェル戦のメンバーが発…

 フランスの強豪クラブ、トゥーロンに今季加入した日本代表57キャップ保持者のFB五郎丸歩(30歳)が、同国最高峰リーグ「トップ14」で初出場のチャンスがめぐってきた。現地時間10月8日に敵地でおこなわれる第8節、ラ・ロシェル戦のメンバーが発表され、五郎丸は20番をつけてベンチ入りする。昨年、欧州チャンピオンズカップ3連覇を果たし、いまや世界屈指のスター軍団と称されるトゥーロンで、初めてプレーする日本人選手となる。

 かつてはSH村田亙(バイヨンヌ)、WTB吉田義人(コロミエ)、WTB大畑大介(モンフェラン/現 クレルモン・オーベルニュ)、NO8齊藤祐也(コロミエ)らも挑戦したフランスリーグ。現在のような14チームのフォーマットになったのは2005年からで、五郎丸は日本人初のトップ14プレーヤーとなる。
 ラグビーワールドカップ2015でベストフィフティーンに選出され、世界に名を知らしめた五郎丸はどんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。

 今年上半期、初挑戦だった南半球のスーパーラグビーでは苦戦した。レッズ(オーストラリア)に加入し、15番、キッカーとして活躍が期待されたが、ベンチを温めることが多く、5月21日のサンウルブズ戦で右肩を脱臼して手術、長期リハビリを余儀なくされた。

 しかし、抜群の人気だけでなく、豊富な経験、優れたキック力、そして不屈のチャレンジスピリットもある五郎丸をトゥーロンは欲した。6月8日に移籍発表。五郎丸は国内所属先だったヤマハ発動機ジュビロも退団し、フランスへ渡った。そして、痛めていた肩が回復して9月下旬頃から本格的な練習ができるようになり、チャンスをつかんだのだった。

 3季ぶりのフランス王座と2季ぶりの欧州タイトル奪還を目指すトゥーロンだが、主力選手の故障が相次ぎ、南アフリカ代表のWTBブライアン・ハバナらが南半球4か国対抗戦(ザ・ラグビーチャンピオンシップ)参戦のため不在ということも影響したか、今季トップ14は開幕ダッシュに失敗した。しかし、最近の2試合は連勝で4勝3敗(勝点20)として3位に浮上し、「もうひとつの人生を送りたい」と退任をにおわせていたムラド・ブジェラル会長の怒りを少しずつ鎮めている。
 開幕から15番をつけているウェールズ代表62キャップ保持者のFBリー・ハーフペニーはラ・ロシェル戦は欠場し、元オーストラリア代表のジェームズ・オコナーがFBで先発する予定。ポジションを争う五郎丸はめぐってきたチャンスで確実にアピールしたいところだ。

 五郎丸のデビュー戦相手になるかもしれないラ・ロシェルは、オールブラックスのワールドカップ連覇に貢献し、今年のスーパーラグビーでも大活躍したFL/NO8ヴィクター・ヴィトなどを擁する。前節でスタッド・フランセに惜敗したものの4勝1分2敗と安定し、現在2位。だが、3位との勝点差は2ポイントしかなく、トゥーロンにとっては順位を上げるチャンスだ。