東京五輪世代ポジション別スター候補(7)攻撃的ミッドフィルダー鳴り物入りでレアル・マドリード入りしたレイニエル・ジェズス…
東京五輪世代
ポジション別スター候補(7)
攻撃的ミッドフィルダー

鳴り物入りでレアル・マドリード入りしたレイニエル・ジェズス・カルヴァーリョ(ブラジル)
古典的な「背番号10」はいま、さまざまなポジションに姿、形を変えている。
インサイドハーフもそのひとつだろう。少し大きな枠組みで言えば、攻撃的MFとなる。インサイドハーフは主に4-3-3における中盤の一角を指し、ボランチ、サイドハーフ、トップ下という3つの役割を同時に担い、戦術的に極めて難解なポジションと言える。
現役の第一人者といえば、アンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)、ルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)の2人だろう。ディフェンスライン近くから相手ゴール前まで、どの位置にいてもプレーの渦を作り出すことができる。最善の判断で最高の技巧を使え、戦況を優位に動かす。
「モドリッチは、攻撃的MFもボランチもできる稀有なMFだ。それは簡単なようで、簡単なことではない。それぞれのゾーンでプレーテンポを変える必要があるが、ゴール前であれ、サイドであれ、真ん中であれ、あるいは後ろであれ、彼はスイッチを切り替えることができる。戦術的レベルが群を抜いている」
かつてヴィッセル神戸を率いていたフアン・マヌエル・リージョはそう言って、このポジションの特性を語っていたことがある。
<サッカーの化身>
そう思わせる知性を感じさせるのがインサイドハーフだ。東京五輪世代で、サッカーの深淵を見せてくれる選手は誰か--。
東京五輪にドイツの新鋭として出場が予定されるカイ・ハフェルツ(20歳、レバークーゼン)は、サッカーの醍醐味を伝える。
ハフェルツはすでにチャンピオンズリーグでも試合出場を重ね、異彩を放っている。身長189cmと巨躯ながら、しなやかな動きで相手の裏を取り、インスピレーション溢れるプレーを見せる。4-2-3-1の布陣ではトップ下を務める、システムやプレースタイル次第で、サイドアタッカー、0トップ、センターハーフをこなし、かつての「10番」を進化させている。
同じく東京五輪に出場予定のスペイン代表ダニ・オルモ(21歳、ライプツィヒ)も、インテリジェンスを感じさせる逸材だ。
オルモはバルサの下部組織ラ・マシアで育ったが、ユースには昇格しなかった。ディナモ・ザグレブとプロ契約し、培った技術を早くから実戦で磨いてきた。敵ゴール近くで仕事をするようになって才能が開花。シャビ・エルナンデスと似た特性を持つ。ゴールを生み出す力も高く、スペイン代表としてデビューした昨年のマルタ戦でゴールを決めている。
東京五輪には出場しないが、ノルウェー代表のマルティン・ウーデゴール(21歳、レアル・ソシエダ)も2人に匹敵する実力者だろう。
ウーデゴールは左利きのドリブラータイプとして、16歳でレアル・マドリードと契約した。当時はリオネル・メッシ(バルセロナ)と比較されることが多かった。しかしプロ選手としての経験を重ねる中、インサイドハーフに活路を見出しつつある。今シーズンはレアル・ソシエダの攻撃サッカーをけん引し、来季はルカ・モドリッチの後継者としてレアル・マドリード復帰が噂される。ちなみに、ウーデゴールの代わりに、同じ左利きの久保建英がレアル・ソシエダに期限付き移籍するという話も出ているが……。
同じく五輪出場はないが、イングランド代表のメイソン・マウント(21歳、チェルシー)も大舞台で存分に実力を示しており、どう化けるかに注目が集まる。ゴールに向かうインテンシティが高い選手で、相手のボール回しをかっさらい、そのままゴールするシーンも少なくない。”前輪駆動”で、相手を屈服できるMFだ。
ウルグアイ代表フェデリコ・バルベルデ(21歳、レアル・マドリード)も、マウントと似たプレー強度の高いMFと言える。持ち場の球際で負けないため、その局面から勝負を優勢に持ち込むことができる。ウルグアイ人選手は球際で粘り強く”ファイター”が多いが、彼もその例に漏れない。
一方、日本にも久保建英をはじめ、攻撃的MFの逸材は多い。ただし、話をインサイドハーフに限ると、4-3-3の布陣を使うチーム自体が少なく、適性のある選手はそもそも多くない。五輪年代では、本田風智(18歳、サガン鳥栖)は適性を感じさせるが、未知数だ。
世界的には、10代で怪物感を漂わせる選手が出てきている。
ブラジルU-20代表レイニエル・ジェズス・カルヴァーリョ(18歳、カスティージャ)は一気にスターダムを駆け上がるかもしれない。
今年1月、レイニエルはレアル・マドリードと契約し、ラウル・ゴンサレス監督が率いるカスティージャでデビュー。デビュー戦でいきなり2得点を決めた。左サイドを中心にゲームメイク。「カカ2世」と言われるが、ジネディーヌ・ジダンにも近い。
プレーのひとつひとつがエレガント。華麗なターンやボールキープ、ビジョンを生かしたスルーパスやループシュートは、見る者のため息を誘う。必ずしもインサイドハーフではなく、攻撃的MFとして型にはまらない選手になりそうだ。
最後にもうひとり。世界的にはまだ無名だが、ロベルト・ナバーロ(17歳、レアル・ソシエダB)は原石である。バルサの下部組織ラ・マシア育ちで、モナコでプロ契約し、ティエリ・アンリ監督のもとで16歳にしてトップデビュー。今はシャビ・アロンソ監督に鍛えられて、今後どんな輝きを見せるか。