リーガ・エスパニョーラをコロナ禍が直撃している。2019-20シーズンは、11節が未消化で、3月上旬から延期されたまま…

 リーガ・エスパニョーラをコロナ禍が直撃している。2019-20シーズンは、11節が未消化で、3月上旬から延期されたままだ。



リーグ戦中断前のエイバル戦でもゴールを決めている久保建英

 スペインでは多数の新型コロナウイルス感染者が出た。5月5日時点で21万人以上。死亡者は2万5000人以上に上っている。3月中旬にペドロ・サンチェス首相から緊急事態宣言が発令され、人々の厳格な外出制限が始まったが、1カ月近くが経過しても、感染者数は1日数千人単位で増え続けていた。ようやく4月中旬から伸び率が目に見えて下がり始め、5月に入ってからは1日につき数百人の感染者に落ち着いている。

 緊急事態宣言下では、散歩すら許されていなかった(犬との散歩は許されていた)が、5月に入って一部で制限が緩和され、たとえばレストランでのテイクアウト、美容院などの予約ができるようになった。来週からは、レストランやカフェのオープンテラスでの一部営業が許可される予定で、地域別に、段階的に経済活動を再開させる流れになっている。

 これに呼応するように、サッカー界も4つの段階に分け、リーガ再開に向けて調整に入った。まずは5月6日から11日にかけ、フェーズ1と言われる個別練習が再開されるという。選手はPCR検査を受けて陰性であることが必須で、練習用具はすべて個人の持ち物、施設内では練習開始までマスク、手袋を着用する。2メートル程度の距離を取り、当然、マッサージは禁止。早く帰宅することが奨励され、自宅と練習場の往復は原則的に一人になる。

 今シーズン、スペイン国王杯決勝に進出し、リーガでも4位とチャンピオンズリーグ出場圏内にいるレアル・ソシエダは、すでに練習施設の殺菌消毒を完了している。PCR検査を受けた選手の復帰を待つだけで、早ければ5月8日から個人練習が始まるという。

 1部残留を目指すレガネスも、6日にPCR検査を予定。現在のところ、11日に練習再開予定だが、週末に繰り上げられる可能性もあるという。PCR検査の判定次第か。

 久保建英を擁するマジョルカは、公式に再開時期などについて明らかにしていない。内部情報は基本的に開示されないが、週末のトレーニング再開に向けて準備を進めているようだ。

 乾貴士が所属するエイバルは、本拠地のイプルアスタジアムか、トレーニング施設契約をしている郊外のアチャバルペの練習施設を殺菌、消毒して使用することになるという。7日にPCR検査後、週明けの練習再開が予定されている。

 バルセロナ、レアル・マドリードも、週末から週明けにかけてPCR検査と練習施設の殺菌消毒を行ない、再始動することになるという。他の1部のクラブも、2~3日の違いで、ほぼ同じプロセスを踏む予定。柴崎岳のデポルティーボ・ラ・コルーニャ、香川真司のサラゴサ、岡崎慎司のウエスカといった2部のクラブも日程を出している。

 フェーズ1をクリアしたら、5月中旬にフェーズ2に入る。指導者はマスクを着用し、少人数での練習ができるようになる。その後の詳しい内容はあらためて発表されるが、フェーズ3で用具係に道具を準備してもらって集団練習に入り、フェーズ4ではマッサージも可能になるなど、ようやく全体練習に入ることができるだろう。

 その後、保健省から許可が出た段階で、リーガ再開へ舵を切る。順調にいけば6月中旬になるという。もちろんその間も、PCR検査と密集を避ける努力は徹底される。

「リーガの再開は、”スペインの社会が日常に戻りつつある”というサインになるだろう。健康が第一だが、そのためにプロトコル(手順)を用意した。6月に再開し、今夏中に2019-20シーズンを終える予定だ。再開は勝利になるだろう!」

 ラ・リーガ(スペイン・プロサッカー・リーグ)会長のハビエル・テバスは、いたって前向きだ。

 試合は無観客で行なわれる予定だが、まずは4段階を踏む中で、リーガ再開が本当に可能なのかを注視する必要がある。11節分を約2カ月で消化するというのは、日程的にはかなり厳しい。中断から2カ月以上たち、オフ明けに近いコンディションの選手が、ケガせずに戦い抜けるのか。もちろん、感染の不安もあるだろう。

 ちなみに、同じく延期になっていたスペイン国王杯決勝は、UEFAから無観客での6月中の試合開催を要請されていた。しかし、決勝に進出しているバスクの雄、レアル・ソシエダとアスレティック・ビルバオの両チームは、これを揃って拒否。「優勝クラブなしとなり、ヨーロッパリーグ出場権を取り上げる」という”脅し”にも屈せず、「2020年から21年の間で、観客を入れての決勝開催を目指す」ことで一致した(スペインは結局、国王杯王者のヨーロッパリーグ出場権は放棄し、リーグ戦7位のチームが出場することになりそうだ)。

 バスクの雄同士による決勝を見られるようになると、本当の意味で「リーガの熱気が戻った」と喜ぶべき瞬間が訪れるのかもしれない。