東京五輪世代ポジション別スター候補(6)守備的ミッドフィルダー「チームのバランスが崩れないように、常に気を配るのが自分の…

東京五輪世代
ポジション別スター候補(6)
守備的ミッドフィルダー

「チームのバランスが崩れないように、常に気を配るのが自分の仕事だ」

 世界最高の守備的MFとして、その名を轟かせたシャビ・アロンソの言葉である。守備的MFには、他にもボランチ、アンカー、センターハーフ……とさまざまな呼び名がある。ひとつ言えるのは、11人の中心でかじを取るポジション、ということだ。

 現役では、スペイン代表セルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ)が、実績も含め、頭ひとつ抜けた存在だろう。スペイン代表ロドリ(ロドリゴ・エルナンデス/マンチェスター・シティ)、ブラジル代表ファビーニョ(リバプール)、カゼミーロ(レアル・マドリード)などが続く。それぞれプレーヤーとしての色合いは異なる。とはいえ、バランスを取るという役割は同じだ。

 東京五輪世代で刮目すべきセンターハーフとは--。



レアル・マドリード移籍が噂されるエドゥアルド・カマビンガ(レンヌ)

 U-21欧州選手権で準優勝し、東京五輪本大会の出場切符をつかんだドイツでは、フロリアン・ノイハウス(23歳、ボルシアMG)がコンダクターとしてのセンスを横溢させる。

 ノイハウスはなにより展開力に優れる。大きな体でロングキックを得意とし、遠いスペースまで見渡して、ボールを正確に配給。そのパスが描く放物線は美しく、若き日のシャビ・アロンソに通じるものがある。

 そしてU-21欧州選手権で優勝したスペインでは、控えだったイゴール・スベルディア(23歳、レアル・ソシエダ)が目覚ましい台頭を見せている(レギュラーだったナポリ所属のファビアン・ルイスは現在24歳で、東京五輪では年齢資格をクリアしていない)。リーグ戦の中断時点でチャンピオンズリーグ出場圏内の4位と、躍進するクラブを支えている。

 スベルディアは、そのユーティリティ性が光る。「シャビ・アロンソの後継者」と言われたアシエル・イジャラメンディがケガで離脱すると、きっちりその穴を埋めた。また、センターバック人にケガ人が続出すると、最終ラインで目を見張る”将軍”ぶりも発揮している。戦術的な理解力が図抜けて高く、役割を心得ているのだ。

 東京五輪では優勝候補の筆頭とも言われるフランスは、今やヨーロッパで一番注目されるMFエドゥアルド・カマビンガ(17歳、レンヌ)を擁する。レアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督も、来季に向けて獲得を熱望しているという。

 カマビンガは、フランス代表を支えてきたクロード・マケレレやエンゴロ・カンテの系譜を継ぐセンターハーフだろう。守備センスに長け、ボール奪取数も目立って多い。アフリカ系特有のプレーリズムは独特だ。体をくねらせながら、関節を外しているかのように、手足を伸ばしてボールを絡めとる。ボールを奪った後の推進力も、弾丸が飛び出すように強烈だ。

 アフリカ代表として五輪に出場するコートジボワールの代表MFフランク・ケシエ(23歳、ミラン)は、アフリカ人特有のパワーとスピードで中盤を暴れまわる。エレガントなMFとは言えないが、フィジカルの利を生かして球際で勝利し、無骨ながら一気に相手ゴールを突くパスも見せる。チームにダイナミズムをもたらす選手だ。

 ケシエとミランでコンビを組むアルジェリア代表イスマエル・べナセル(22歳)も、フィジカル、テクニックレベルが非常に高い。しかし自尊心の強さなのか、感情を制御できない場面が少なくない。単純に拙いファウルが多く、短所を改善できるかどうかがカギとなる。

 南米の”ボランチ大国”と言えるブラジルでは、ブルーノ・ギマラエス(22歳、リヨン)が、大器の予感を漂わせている。ブラジル人選手らしく適応力に優れ、今年1月末にリヨンに入団すると、すぐにポジションをつかみ、ポテンシャルの高さを示している。大柄だが、ターンで相手をかわすなど、猪突猛進型ではない。キープ力も抜群で、同時に相手ボールを取り切り、ピッチの真ん中でリーダーシップを発揮できる選手だ。

 そして日本U-23代表では、田中碧(21歳、川崎フロンターレ)が、そのパスセンスで飛び抜けている。2019年シーズンはJリーグのベストヤングプレーヤー賞を受賞。川崎のパスサッカーの中で揉まれ、実戦を重ねることによって、違いを示しつつある。

 東京五輪出場がないU-23の選手では、オランダ代表のフレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)が世界のトップランナーのひとりと言えるだろう。デ・ヨングのポジションの適性はインサイドハーフかもしれないが、センターハーフとしても一流。バルサ1年目ですぐにフィットしたように、戦術眼が秀抜なのだ。

「攻守のバランサー」

 シャビ・アロンソが言うように、優れたセンターハーフは試合の流れを読み、頭を使って適切なプレーをする。最後は、サッカーインテリジェンスがモノをいうポジションなのだ。