米国で雌伏の時を過ごす前2冠王者をオンラインインタビュー 総合格闘家の堀口恭司(アメリカン・トップチーム)。世界初のベラトール&RIZINの2つのベルトを保持していた男は今、米国でコロナ禍に見舞われていた。THE ANSWERのオンラインイ…

米国で雌伏の時を過ごす前2冠王者をオンラインインタビュー

 総合格闘家の堀口恭司(アメリカン・トップチーム)。世界初のベラトール&RIZINの2つのベルトを保持していた男は今、米国でコロナ禍に見舞われていた。THE ANSWERのオンラインインタビューに答え、右ひざのリハビリの進捗状況や、現在の生活について語った。またインターハイが中止となるなど、苦境にあえぐ日本の高校生にもエールを送った。

 ◇ ◇ ◇

――米フロリダ州のココナッツクリークに拠点に置く堀口選手。米国では新型コロナウイルスの感染者数は110万人を突破。死者も6万6000人を超えるなど、日本以上に感染が広がっていますが、現状を教えてください。

「外を人が歩いていることはありません。自分が住んでいるところはもともと歩行者は多くはないのですが、車の数も少ないですね。逆に目立つのが走っている人。今までは見たことがありませんでした。コロナの影響でずっと家にいる人が多くて、ストレスが溜まってるんでしょうね。少しでも体を動かしたいんじゃないかと。もともとアメリカ人はマスクをしないのですが、今はみんなマスクをしています。不思議な感覚ですね」

――堀口選手もストレスが溜まっているのでは?

「僕はジムの2階に住んでいるので、いつもと変わらないといえば変わらない生活をしています。今は練習しているか、寝ているかですね。困るのはショッピングモールが閉まっていること。イヤホンが壊れてしまって修理しようにもできない。食事をするにもどこのレストランも空いていないので、自分で作るようにしています。生姜焼きとカレーを繰り返し作っています。美味しくはないですね(笑)。

 食材を買う場所はあるのですが、そこも厳しくなっています。今はマスクをしないと店に入れません。ただそのマスクも手に入らない状況です。僕はマスクは1枚だけもらって、それを使い続けています。何度も使っていますね。日本のファンの方が送ってくれると言って下さるのですが、申し訳なくて……。顔にタオルを巻いて入ることもありますね」

――練習も思うようにはできない現状では?

「ジムにコーチと選手何人かが来て、多く集まるとだめなので、3、4人でやっていますね。練習できるのはプロだけ、一般の方はクローズにしています」

――昨年10月に右ひざ前十字靭帯の断裂と半月板損傷で全治10か月の重傷を負いました。怪我の回復具合は?

「リハビリは週に3回。まだ10分くらいしか走れませんが、筋トレの強度は上がってきています。ジャンプや縄跳びもできるようになってきました。左右の足の太さも一緒くらいになってきて、いい感じに回復してきています。怪我の回復だけでいうとマックスに近い。感覚的な部分も含めると50~60%というところです。リングに上がるのが楽しみです。自分が今できることは、体の部分も含めて100%にもっていくこと。だから焦ってはいないです。リベンジしたい相手もいるし、目標がしっかりありますから」

モチベーションは朝倉海へのリベンジ「次やれば100%勝てます」

――昨年8月に朝倉海選手に衝撃的な1ラウンドKO負け。自身初めてのKO負けでベルトを失いました。リベンジへの思いは?

「ほかにやる選手がいるかと言われたらいないですよね……。負けた試合は何回も映像を見返してイメージしています。次やれば100%勝てます。RIZINのベルトと、ベラトールのベルトは取り返したい。まずは目の前にあることをクリアしていくこと。海くんに勝ってRIZINのベルトを巻いて、ベラトールのベルトも巻いて。それからですね」

――日本では堀口選手も出場経験(作新学院高時代は空手部)があるインターハイが中止になった。大きな目標を失ってしまった高校生は何をモチベーションにすればいいでしょうか。

「夢を持っているのなら、それを達成するために、今頑張れることをやったほうがいい。そうは言ってもそこを目標にずっと努力してきたわけなので、3年生とかは意味ないじゃんと思うかもしれませんが、そこの考え方を転換して欲しい。大学でも続けられるかもしれない。今までやってきたことがマイナスになることはない。どうプラスに変えていけるのかが大事。

 大学じゃなくて、就職活動する人もいると思う。もしかしたら競技はやめてしまうかもしれない。でもその経験はどこに行ってもゼロになるわけではありません。しっかりとためになると思います。マイナスに考えても意味はありません。例えば僕も負けた後には考えます。次に同じようにならないためにどうするのか。相手を倒すにはどうすればいいのか。乗り越える術を考えますよね。こうした経験も後で振り返れば全部プラスになると、ポジティブに考えるようにして欲しいですね」

 自身の経験も踏まえて冷静かつ、情熱的にメッセージを送ってくれた。

 コロナ禍に見舞われながらも、自身のリハビリは順調な様子だ。「しっかりと治して年末くらいには」とRIZIN大舞台へ向けての復帰への意欲も覗かせていた。コロナが終息し、再びリングに上がるその時へ向けてじっくりと牙を研いでいる。

【堀口選手からのおうちトレ、ワンポイントアドバイス】

「筋トレばっかりやっていても飽きちゃったりするので、ジャンプバービーとかもも上げ、反復横跳びとか、有酸素運動を取り入れると面白いと思いますよ。ラダーとかも使ったり、距離はなくてもいいので、短いスパンで様々な動きを取り入れてみたりするのもおすすめです」(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)