プロ野球は8日からセ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)が始まる。セ・リーグは、広島が25年ぶりにペナントレースを制覇。2位巨人と17.5ゲーム差をつける独走Vを飾ったが、球団史上初のCS進出を決めた3位DeNAを含めた3チームの争…

プロ野球は8日からセ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)が始まる。セ・リーグは、広島が25年ぶりにペナントレースを制覇。2位巨人と17.5ゲーム差をつける独走Vを飾ったが、球団史上初のCS進出を決めた3位DeNAを含めた3チームの争いは、どのような結果になるのか。

■ファーストステージは巨人-DeNA、「巨人が巨人らしからぬ戦いをしていますから…」

 プロ野球は8日からセ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)が始まる。セ・リーグは、広島が25年ぶりにペナントレースを制覇。2位巨人と17.5ゲーム差をつける独走Vを飾ったが、球団史上初のCS進出を決めた3位DeNAを含めた3チームの争いは、どのような結果になるのか。

 まずは8日から巨人とDeNAがファーストステージ(東京ドーム)で激突。ヤクルト、日本ハム、阪神、DeNAの4球団で捕手としてプレーした野球解説者の野口寿浩氏は「DeNAが巨人を食ってしまうのではないかと思ってるんです」と予想する。

「もちろん、(DeNAが2位になって)横浜で試合をやれればよかったですけど、リーグ戦で最後の2連戦となった9月23、24日も、(23日の試合では)東京ドームで巨人をコテンパンにしている。あそこまではいかなくても、やっつけてしまうのではないかなと思うんです。しかも、巨人が巨人らしからぬ戦いをしていますからね。例年の巨人なら、受け止めて跳ね返すのではないかという感じですけど、今年は……」

 投手陣は、DeNAの方が安定していると野口氏は見ている。巨人は菅野、マイコラス、田口の先発が予想されているが、菅野はここに来て登板回避の可能性が浮上。また、田口は23日の試合でDeNAに7回途中7失点と打ち込まれ、今季は3試合で1勝2敗、防御率3.74とセ・リーグ球団で最も相性が悪い。

 一方で、DeNAは先発陣が計算できるという。今季は、投球回数が多い順番に並べると石田、井納、山口、そしてルーキーの今永と続き、ベテランの久保康もいる。巨人戦では最も相性がいいのは井納で、今季4試合に登板して2勝1敗、防御率2.96。東京ドームでは2試合で防御率1.72の好成績だ。

■DeNAは「上位打線が元気すぎる」も…「カープの壁は厚く、高い」

「1戦目の先発は井納かもしれないですね。ラミレス監督は相性を見ますから。1戦目を井納で取って、あとの2試合をどうにか(勝つ)、というところかなと。井納、山口、石田、今永の中から3試合先発を組んでも、1人残る。例えば2試合で巨人に勝ってしまえば、余ったピッチャーと今永で広島とのファイナルステージ1、2戦にいける。今永はカープに強いですからね。

 ただ、中継ぎでは須田の怪我が大きい。でも、須田の穴を砂田が埋めてくれるかもしれません。左右の違いはありますけど、リリーフでいい使われ方をして、結果を出していました。砂田がカギを握るのではないでしょうか。もしくは、先発を4枚で行くとするならば、三嶋あたりをブルペンに入れても面白い。須田の穴さえ埋まれば、というところですね」

 さらに、打線を見てみると、巨人は首位打者の坂本や村田も好調を維持し、ギャレットも後半戦は状態を上げてきた。ただ、野口氏は「ここに来てDeNAの上位打線が元気すぎる」と、こちらもDeNA有利と見る。

「桑原が1番で結果を出していて、梶谷が2番で蘇ってきた、3番以降も、ロペス、筒香、宮崎までが元気ですね。あとは状態を見て適材適所。広島にも対抗できる打線ですし、この攻撃陣からすると、巨人よりはDeNAのほうが上回るんじゃないかと思わせますよね」

 しかし、どちらが勝ち抜いたとしても、「カープの壁は厚く、高い」という。「シーズン89勝もしているわけですからね。カープは盤石で受け止める。待ち構えています」。野口氏は、独走Vを果たした広島の強さは、やはり頭一つ抜けていると指摘する。

■広島に死角があるとすれば…

「先発投手陣は、ジョンソン、野村、黒田の3人が盤石。ジョンソンは巨人戦で相性がいい(今季4試合に投げて防御率1.20)ですしね。抑えの中崎は(腰痛で)黄信号と言われていますけど、ジャクソンや今村も代わりができます。そうなれば、ヘーゲンズをブルペンに戻すことも出来るでしょうし、先発には福井や岡田もいます。

 打線は不動。新井とエルドレッドと松山の兼ね合いだけですね。ただ、その3人のうち2人が出てきても、誰でも活躍しますからね。そこは今まで通り思った通りにやれば何の問題もない。あとは、外国人をどうするか。例えば、ルナを最初は外していても、ヘーゲンスを投げた後に抹消すれば、登録できます。3戦目までにルナを使っておいて、ヘーゲンスが投げる時に抹消するという手もあります。そうなったら、ヘーゲンスを抹消した後に、デラバーを入れることも出来る」

 助っ人も含めて、戦力は盤石。不安があるとすれば、DeNAが上がってきた場合か。野村が今季3試合で防御率7.41と打ち込まれており、DeNA先発・今永には5試合で防御率1.65と抑え込まれている。ジョンソンも4試合の対戦で防御率3.00。決して悪い数字ではないが、抜群の安定感を誇る左腕にとっては、相性がいいとは言えない相手だ。野口氏も、広島は巨人と戦いたいはずだと指摘する。

「今永を打てないし、野村はやられてしまう。広島としては巨人の方が組みやすいでしょうね。あとは、DeNA戦で先発投手がやられた時は早めに代えると思いますけど、そこで踏ん張れるピッチャーが出てこられるか。試合を作り直して、カープが得意とする逆転につなげるため、シーズン中のような展開に持っていけるか。それを誰が担うのか。九里なのか、大瀬良なのか、岡田なのか。そうならないのが一番いいですけど、相性を見ると、DeNA戦では可能性があります。広島に死角があるとすればそこでしょうね」

 いずれにせよ、広島が有利であることに変わりはないというのが、野口氏の見立て。ただ、巨人には経験があり、DeNAには勢いがある。どんな結果が待っているのだろうか。