26試合8ゴール中の岡崎慎司。リーグ再開に向け練習に励む スペインでは、新型コロナウイルスの感染者数が世界で2番目に多く…

26試合8ゴール中の岡崎慎司。リーグ再開に向け練習に励む
スペインでは、新型コロナウイルスの感染者数が世界で2番目に多く(5月2日現在)、厳しい外出制限が敷かれてきた。スペインリーグも中断し、2019年9月からスペイン2部のウエスカに所属する岡崎慎司も、自宅待機をしている一人だ。岡崎は現在どのような生活を送っているのか、直接本人に聞いてみた。
「すでに40日以上、自宅待機が続いているんですが、僕はほとんど家から出ていません。幸いにも自宅には庭があって、そこで太陽を浴びたり、子供たちとサッカーをしたりしていますので、すごくストレスがたまっているわけではありません」
岡崎はこの状況下でも、日本サッカー協会を通して、自宅でできるトレーニング動画を公開したり、同じアラゴン州のサラゴサに所属する香川真司とともに、おちゃめなメッセージ動画を送ったりと、積極的に情報発信をして、日本のサッカーファンやサッカー少年を元気づけてきた。
しかしスペインのお隣フランス、そしてオランダではリーグ戦が中止に追い込まれ、スペインリーグもいつ中止になるかわからない状況だった。そんな中、一人自宅で黙々とトレーニングを続けることは容易ではなかったはずだ。
「毎日の日課としては、午前にトレーニングをして、午後は家族のために生活をしています。こういうことはもちろん初めてなので、モチベーションがあるときもあれば、ないときもありました。クラブからトレーニングメニューを送ってもらって、それもやっています。とにかくコンディションを維持するために、スプリント系、有酸素系、体幹系など、気分を変えて練習するように工夫をしていました」
岡崎の元には、スペインの選手協会やリーグ側から、逐一情報が入ってくるというが、不確実なものも多い。チームメートによるグループチャットでも頻繁に意見交換をしているが、結果的に練習を再開できていない今は、あまりその情報に流されないようにしているという。
しかし、4月末にスペイン政府は新たな感染者数の減少を受けて制限措置の緩和に動き始め、5月上旬にも段階的ではあるが、練習が再開される見込みとなった。6月にもリーグ戦が再開される可能性も出てきた。
現在ウエスカは1部昇格プレーオフ圏内の4位。岡崎は26試合で8ゴールと二桁得点も視野に入れている。この成績を見る限り1シーズン目からすんなりとチームに入り込めたように思えるが、決して順風満帆ではなかったようだ。
「各リーグでもそうでしたが、このスペイン2部でも同じように苦労はあります。もちろんプレミアリーグやブンデスリーガと同じ視点で比較することはできないと思いますが、サッカーのレベルは同じように高いですね。
逆に1部にはないパワフルさやガツガツした印象があって、選手みんなが頑張っているチームが多いです。ウエスカもみんな1部に上がりたくて、(各選手が)自分の色を出そうとプレーしますので、そのなかでどうゴールを決めるかで苦労しました。また、レスターではストライカーとしての役割を果たすことができていなかったため、ゴールの感覚を取り戻すのにも時間がかかりました。ただ、ここにきてようやく形になった感じです」
岡崎の初ゴールは初出場から5試合目の9月28日のこと。その後は10月に2得点、12月に1得点と思ったように数字は伸びなかった。その間、スタメンを外れることもあったが、2月15日のアルメリア戦からは4戦連続でスタメン出場して4ゴールを決め、チームにとって不可欠な存在であることを証明してみせた。この結果をもたらしたのは、メンタルの部分の成長も大きかった。
「僕は今まで1部でやってきたので、2部でプレーすることに抵抗があったし、いろんな感情がありました。2部で試合に出場できない、ゴールを奪えないとなったら、『もう俺は終わってしまうのか』と考えることもありました。でも『絶対にここで活躍してやる、ここから這い上がってやる』という決意が生まれ、その変なプライドを消すことができました。それが8ゴールという結果につながっていると思っています」
ブンデスリーガでストライカーとして結果を残し、プレミアリーグではレスターのFWとしてリーグ優勝という世紀の番狂わせにも貢献した。そして次なる移籍先がスペイン2部となると、複雑な思いを抱くのは当然だ。しかし今はかつての栄光からくるプライドを払しょくし、強いハングリー精神が芽生えているという。その原動力の一つになっているのが、日本人選手としていまだ誰も達成していない目標だ。
「その都度目標があるのですが、今はスペイン1部でプレーするのが目標です。そしてその先にはワールドカップへの出場という目標もあります。さらに何よりイタリアでプレーして4カ国のトップリーグでゴールを決めたいという目標があります。まだやり残していることがこのヨーロッパにあるので、今はそれが自分のモチベーションですね。確かに年齢的な問題もあって、先が見えているというのも正直な気持ちですが、だからこそ後悔せずにやりたいという気持ちが強いですね」
33歳という年齢はサッカー選手としてはベテランだ。この先何年できるか、先のキャリアを考えるのは自然だろう。しかし岡崎のモチベーションは衰えないどころか、さらに上昇している。スペインリーグは残り11試合。チームに完全にフィットした今の岡崎であれば、自らのゴールによって1部昇格を手繰り寄せることも可能なはずだ。清水エスパルスで8番手のFWからプロキャリアをスタートさせ、ここまで這い上がってきた岡崎であれば、不可能ではない目標だろう。