果たして、ヨーロッパサッカーの2019−2020シーズンは、このまま終了してしまうのだろうか? ヨーロッパ各国では新型…
果たして、ヨーロッパサッカーの2019−2020シーズンは、このまま終了してしまうのだろうか?
ヨーロッパ各国では新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための外出制限を段階的に緩和する動きが始まり、サッカー界でも練習場での小グループトレーニングが解禁されたドイツを筆頭に、少しずつリーグ戦再開へのカウントダウンが始まったかに見えていた。

ラツィオは久々のチャンピオンズリーグ本戦出場か?
ところが一転、ここにきて暗雲が立ち込めている。
フランス議会におけるエドゥアール・フィリップ首相の「スポーツイベントの開催は9月1日まで再開困難」との発言を受け、シーズン終了の意向を表明していたLFP(フランスプロリーグ機構)が4月30日に総会を開き、正式に今シーズンの打ち切りが承認されたからである。
ヨーロッパではすでにベルギー、スコットランドが今シーズン終了の意向を表明し、オランダが正式に終了を決定。だが、5大リーグのフランスがリーグ・アン(1部)とリーグ・ドゥ(2部)の打ち切りを決めたことで、今後はスペイン、イングランド、イタリア、ドイツのサッカー界にも何かしらの影響を与えることは必至と見られている。
そんななか、とりわけ注目されるのは、リーグ戦が打ち切りになった場合のチャンピオンズリーグ(CL)とヨーロッパリーグ(EL)の出場権の問題だ。そういう意味でも、今回フランスで承認された順位決定方法は、ほかのリーグにとって今後の指針にもなるはずだ。
まず、リーグ・アンの最終順位を決定するにあたって議題となったのが、首位パリ・サンジェルマン(PSG)と11位ストラスブール(最終的に10位)が他チームより消化試合数が1試合少ないことだった。
オランダのエールディビジの場合は、消化試合数にかかわらず最終順位を確定してCLとELの出場権を決めた。だが、フランスではクラブ代表者投票の結果、各チームが獲得した1試合あたりの平均勝ち点(獲得勝ち点÷消化試合数)によって最終順位を確定した(平均勝ち点が並んだ場合、当該チームの直接対決の成績で順位を決定)。
これにより、来シーズンのCLには優勝チームとして認定されたPSG(1試合平均勝ち点2.52ポイント/少数3ケタ以下は四捨五入)と2位マルセイユ(2.00)がグループステージ(GS)にストレートイン、3位レンヌ(1.79)がCL予選3回戦から参戦することが決定。かつて稲本潤一もプレーしたレンヌにとっては、念願のCL初挑戦になる。
また、EL出場権は、4位のリール(1.75)がGSにストレートイン。フランスカップとフランスリーグカップの打ち切りを想定し、フランスカップ優勝チームの代わりに5位ニース(1.46)もGSストレートインとなり、フランスリーグカップ優勝チームの代わりに6位スタッド・ランス(1.46/ニースとの直接対決は1敗1分)がEL予選2回戦から参戦することが決定した。
なお、可能性は限りなく低いものの、フランスカップとフランスリーグカップの決勝戦についてはまだ8月中の開催を模索しているため、今回決定したEL出場権は暫定のものになる。
では、このフランス方式を残りの主要4リーグに当てはめた場合はどうなるのか? シーズン打ち切りの可能性が現実味を帯びるなか、確かめてみる意味はありそうだ。
たとえば、全チームが27試合を消化した状態で中断したスペインのラ・リーガは、現状の順位をそのままヨーロッパカップの出場枠に当てはめることができる。
GSストレートイン4枠のCLは、1位バルセロナ(2.15)、2位レアル・マドリード(2.07)、3位セビージャ(1.74)の3チームがまず確定。残り1枠には、4位レアル・ソシエダと5位ヘタフェが1.70ポイントで並んだ。
だが、直接対決の成績(1勝0敗)により、ヘタフェがCL初出場を果たすことになる。ホセ・ボルダラス監督のハイインテンシティなサッカーがCLの舞台でどこまで通用するのか、要注目だ。
また、スペイン国王杯を中止とした場合、EL出場権はレアル・ソシエダがGSストレートインの枠に入り、国王杯優勝チームの代わりに6位アトレティコ・マドリード(1.67)もGSにストレートイン。7位バレンシア(1.56)がEL予選2回戦から出場する。
一方、リバプールが独走しているプレミアリーグは、マンチェスター・シティなど4チームが1試合だけ消化が少ないという状況だ。そこで、フランス方式に従って各チームが1試合で獲得した平均勝ち点によって、CLとEL出場権を当てはめてみる。
その場合、CL出場権は1位リバプール(2.83)、2位マンチェスター・シティ(2.04)、3位レスター・シティ(1.83)、4位チェルシー(1.66)がGSストレートイン。
ELは、5位マンチェスター・ユナイテッド(1.55)と、FAカップ優勝チームの代わりに7位のシェフィールド・ユナイテッド(1.54)がGS枠、6位のウルバーハンプトン・ワンダラーズ(1.48)がリーグカップ王者の代わりにEL予選2回戦から出場することになる。
ちなみに、レスターがCLに出場するのは2016−2017シーズン以来のこと。その前年のプレミア初優勝を含め、日本のファンにとっては岡崎慎司の活躍も記憶に新しいところだ。
8チームの消化がほかより1試合少ないイタリアのセリエAにフランス方式を当てはめてみると、CLのGS出場枠は1位ユベントス(2.42)、2位ラツィオ(2.38)、3位インテル(2.16)、4位アタランタ(1.92)の4チームが確定。
ELは、5位ローマ(1.73)と、コッパ・イタリア王者の代わりの6位ナポリ(1.50)がGSにストレートイン。予選2回戦から出場するチームは、それまで暫定7位だったミラン(1.38)を1.40ポイントの8位ベローナと9位パルマが上回り、直接対決の成績(1勝0敗)によりベローナになる。
ラツィオにとっては2015−2016シーズン以来のCLの舞台となるが、当時はプレーオフでレバークーゼン(ドイツ)に敗退。GSに参戦したのは、ゴラン・パンデフとトンマーゾ・ロッキの2トップが活躍した2007−2008シーズンまでさかのぼる。
シモーネ・インザーギ監督が作り上げた現在のチームには、得点ランキングのトップを快走するチーロ・インモービレをはじめ、中盤にはルイス・アルベルト、セルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ、ルーカス・レイヴァなど実力者が揃っている。仮にCL出場が果たせれば、GS突破も夢ではなさそうだ。
リーグ再開の可能性が最も現実的と見られているドイツのブンデスリーガは、1試合消化が少ないフランクフルトとブレーメン以外の16チームが第25節を終えている。
そこで現段階の順位表でCLとELの出場権を当てはめると、CLのGSの4枠には1位バイエルン(2.20)、2位ドルトムント(2.04)、3位ライプツィヒ(2.00)、4位ボルシアMG(1.96)の出場が確定。
ELは、5位レバークーゼン(1.88)と、ドイツカップ王者の代わりとして6位シャルケ(1.48)がGSストレートイン。そして1.44ポイントで並ぶ7位ボルフスブルクと8位フライブルクの直接対決の成績(1勝0敗)により、フライブルクが予選2回戦に出場する。
とはいえ、報じられているとおり、今月中にブンデスリーガが再開した場合はボルシアMGとレバークーゼンとの勝ち点差がわずか2ポイントだけに、この2チームのCL出場権争いが熾烈を極めることは間違いないだろう。
いずれにしても、これらはリーグ戦が打ち切りになった時にフランス方式を採用した場合の話。各リーグではUEFA(ヨーロッパサッカー連盟)が定めたガイドラインに沿って、独自に最終順位を決定することになる。
そして何より、できるだけ多くのリーグが再開して今シーズンを完了できることがベストであることは言うまでもない。