一時は混戦のWC争いで遅れを取りそうになったオリオールズだが、その望みをつないだのが、9月28日(同29日)に飛び出した金賢洙の代打2ランによる勝利だった。メジャー1年目の韓国人スラッガーの活躍ぶりを、名将バック・ショウォルター監督が絶賛し…

一時は混戦のWC争いで遅れを取りそうになったオリオールズだが、その望みをつないだのが、9月28日(同29日)に飛び出した金賢洙の代打2ランによる勝利だった。メジャー1年目の韓国人スラッガーの活躍ぶりを、名将バック・ショウォルター監督が絶賛している。地元紙「ボルチモア・サン」電子版が伝えている。

■開幕マイナー行きを拒否するも、終わってみればチーム最高出塁率を記録

 ワイルドカード(WC)でプレーオフ進出を果たしたオリオールズは、4日(日本時間5日)ブルージェイズとのWCゲームに惜しくも敗れ、2016年シーズンに幕を下ろした。一時は混戦のWC争いで遅れを取りそうになったオリオールズだが、その望みをつないだのが、9月28日(同29日)に飛び出した金賢洙の代打2ランによる勝利だった。メジャー1年目の韓国人スラッガーの活躍ぶりを、名将バック・ショウォルター監督が絶賛している。地元紙「ボルチモア・サン」電子版が伝えている。

 昨オフ、オリオールズと2年700万ドル(約7億2000万円)で契約した金は、スプリングトレーニングでは23打数無安打など成績が上がらず、開幕マイナー行きを打診されたが、契約を理由に断っていた。一連の騒動について、記事では「困難な幕開けだった」と指摘しているが、最初に与えたネガティブなイメージを、堅実なプレーで覆した。少しずつチャンスをものにした金は、2番打者として定着。最終的には「フリースイング打者ばかりが集まるオリオールズ打線で必要な、辛抱強い打者」になり、「チーム最高の出塁率.382」を記録するまでに至ったと触れている。

 記事によれば、プレーオフが始まる直前にショウォルター監督は、慣れない環境で大躍進を遂げた金に粋な計らいをしたという。プレーオフのロースター入りしたことを、直接本人に告げたのだそうだ。「直接伝えてあげたかったんだ。(ロースター入りすると)分かっているとは言い切れないから」と、笑顔で話したという。

■「故郷には君の活躍を願う韓国人選手がたくさんいる…」

 太平洋の反対側、韓国から渡米し、奮闘を繰り返した金に、指揮官はシーズン中も言い続けたことがあるという。

「プレッシャーは大きいかもしれない。でも、故郷には君の活躍を願う韓国人選手がたくさんいる。それが今後につながるからね。みんな朝8時に試合を見ながら、君の一挙手一投足に目を奪われているんだ」

 指揮官の思いは、金にもしっかり伝わっていたようだ。記事によれば「長い道のりでした。向き合わなければならない課題も多かったけど、最後は乗り越えて、こうやってチームメイトと(プレーオフ進出を)楽しめている。最初からとても協力的だったチームで、1年目にプレーオフに行けるなんて本当に幸せだし、ワクワクしています」と通訳を介して話したそうだ。

 残念ながら、初めてのプレーオフは1試合で終わってしまったが、来季さらなる躍進に向けての貴重な経験になったと言えそうだ。