無観客試合がボクサーにもたらす影響力とは、ドネアが井上戦を引き合いに語る

 新型コロナウイルスの影響でボクシング界では興行の延期や中止が相次ぎ、再開の目途が立っていない。米国では無観客試合で実施される案もあるが、観客の声援はボクサーにどれほど影響をもたらすだろうか。元世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)は、昨年11月に戦ったWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)との歴史的死闘を引き合いに「イノウエは観衆から莫大な強さと力をもらった」と語っている。

 声援のもたらす恩恵について特集したのは、米スポーツ専門局「ESPN」だった。「無観客試合で戦うことは理想的とは言い難いが、何人かの優秀なボクサーは適応して戦うだろう」の見出しで報道。複数のベテランボクサーに取材し、経験をもとにファンの重要性を聞いたという。

 無観客で開催する可能性もある現状。観衆の前でボクシングができるまで待つことを支持するか、という問いに対し、ドネアはこう答えている。

「私の意見としては戦いたい。私が練習するときは、サイレントな状態だ。音楽もかけないし、周りに人々もいない。いるのはトレーナーくらいだ。サイレントなトレーニングに私は慣れている。だから観客がいてもいなくてもあまり気にならない」

 本場・米国のリングで数々のビッグマッチを戦い、ファンを盛り上げてきたが、37歳のベテランは普段から静かな環境には慣れているという。続けて、観衆の存在は自分の試合に何か変化をもたらすか、という質問にドネアはこう反応している。

「変化をもたらすと思うね。そこにはパワーとエネルギーが存在している。他のファイターが耐えられないようなパンチをナオヤ・イノウエは耐えた。それは彼が母国で試合をしたからだと思う」

井上との死闘を振り返る「彼はタフな男で信じられないほど強い」

 昨年11月にワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝で井上と対戦。さいたまスーパーアリーナに2万人以上のファンが集まり、ほとんどがホームの井上ファンだった。井上は2回にドネアの強烈な左フックを被弾。鼻骨と眼下底を骨折する大ダメージを受け、ボクサー人生初の流血となったが、フルラウンドの死闘で判定勝ちを収めた。ドネアは言う。

「確かに彼はタフな男で信じられないほど強いファイターだ。だけど、彼はあの試合で観衆からありったけの強さとエネルギーをもらっていたと私は感じている。私がフィリピンで戦う時も同じものを感じている」

 声援の重要性を強調したレジェンド。「確固たる自信と莫大なプライドが得られるんだ。みんなが叫んで応援してくれることで、選手は最高のものを引き出すことができる」と語っている。(THE ANSWER編集部)