東京・有明で開催されている「楽天ジャパンオープン」(ATP500/本戦10月3~9日/東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/賞金総額136万8605ドル/ハードコート)の2日目は晴天に恵まれ、シングルスとダブルスの1回戦が…

 東京・有明で開催されている「楽天ジャパンオープン」(ATP500/本戦10月3~9日/東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/賞金総額136万8605ドル/ハードコート)の2日目は晴天に恵まれ、シングルスとダブルスの1回戦が行われた。

 日本勢は西岡良仁(ヨネックス)、ダニエル太郎(エイブル)、杉田祐一(三菱電機)がいずれもこの大会初勝利を目指して1回戦に挑んだが、全員敗退。世界ランキング96位の西岡は14位で第5シードのダビド・ゴファン(ベルギー)に5-7 2-6で、92位の杉田は8位で第2シードのガエル・モンフィス(フランス)に3-6 1-6で敗れた。

 最後に登場した91位のダニエルは、173位ながらプロテクト・ランキング(ケガで戦線離脱した選手に対する救済措置)で本戦出場の切符を得たヤンコ・ティプサレビッチ(セルビア)に2-6 4-6で敗れた。

 ダブルスでもワイルドカード(主催者推薦)で出場のサンティラン晶(日本)/綿貫陽介(フリー)がトマーシュ・ベルディヒ/ラデク・ステパネクのチェコ強豪ペアに2-6 2-6で完敗した。

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 3人ともワイルドカードとはいえ、皆トップ100内で、それぞれに自己最高に近いランキングに位置する。先月のデビスカップでも活躍し、日本のワールドグループ残留に一役勝った面々だ。前日の錦織に続く初戦勝利を誰か手にすることができるか、期待高まる3試合だった。

 西岡は第1セットの展開が悔やまれる。最初の2ゲームは互いにブレークし合い、第6ゲームで2度目のブレークに成功したが、続くサービスゲームを40-0からキープできなかった。「まさか落とすとは思っていなかった」という油断が災いしたか、特に40-15でのダブルフォールトが痛かった。

 「対等に勝負したら向こうが上」と本人も言った通り、いったん追いつかれればゴファンの自由自在なショットメーク力が冴えわたり、西岡のチャンスはゲームを追うにつれて乏しくなっていった。

 心配なのは「この3ヵ月ほどずっと痛い」という利き腕の左肘だ。検査のために来週の上海マスターズの予選はキャンセルするという。シーズン内のスケジュールもその結果次第ということになる。

 杉田は今季好調のモンフィスに歯が立たなかった。全米オープン前に痛めた右膝が原因で、ここまで下半身のトレーニングが十分にできなかったという。そのため、足を使った杉田らしいスピード感ある攻撃ができず、ディフェンスも甘くなった。

 モンフィスのほうは、今年30歳になったが、フィジカル面は衰えるどころか「ますます強くなっているし、フレッシュな状態」を実感していると言い、攻守に長いリーチを生かし、力強く伸びやかなテニスを披露。杉田は、「ファーストセットで足のほうにきてしまって、粘りが出なかった。もうちょっと落ち着いてプレーできていれば」と悔しさを露わにした。  3人の中ではもっとも勝ち目があると思われたのはダニエルだった。ティプサレビッチは元トップ10プレーヤーだが、2013年の終盤から左踵の故障でほとんどの時間を棒に振り、今回はようやく復活の兆しを見せているという状況。先週も深圳の大会を脚付け根のケガで途中棄権していたため、相手を振るのが作戦だったとダニエルは言う。しかし、デビスカップ後に疲れが一気に出たというダニエルの気迫は、絶望の淵から復活に懸ける32歳のベテランを退けるだけのレベルに達しなかった。

 第2セットはシーソーゲームになったが、第9ゲームでダブルのブレークポイントを生かせず、そこで逆転のチャンスは消滅。「デ杯からのいい流れをキープできず、残念です」と苦笑いを浮かべた。

 これで日本勢は錦織圭(日清食品)のシングルスを除いてすべて姿を消したことになる。こう見ると、3人が3人とも体調に不安を抱えたり、万全の準備ができずにこの大会を迎えていたという共通点があったのが残念だ。充実した夏を送った代償でもあるが、シーズンはまだ続く。「まずは自信を取り戻すことが、これから3、4日の目標」と話したダニエル、「ここからが勝負の時期」と気を引き締めた杉田。言葉通りのシーズン残りの戦いに期待したい。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)