井端弘和「イバらの道の野球論」(14)前回の記事はこちら 今季のプロ野球は開幕が延び、交流戦後のリーグ戦再開予定日だ…
井端弘和「イバらの道の野球論」(14)前回の記事はこちら
今季のプロ野球は開幕が延び、交流戦後のリーグ戦再開予定日だった6月19日以降で調整が進められている。練習試合の再開は早くて5月7日。各球団も活動休止、自主練習など対応がわかれている。
かつてない状況で行なわれるペナントレースで、チームの浮沈を左右する選手は誰なのか。侍ジャパンの内野守備走塁コーチを務める井端弘和氏に、まずはキャンプ、オープン戦を見た中でのセ・リーグ6球団の注目選手を聞いた。
阪神に入団した新外国人のボーア
――昨年のペナントレース上位チームから注目選手を伺っていきます。まず、5年ぶりにリーグ優勝を果たした巨人は誰になりますか?
「4年目の吉川尚輝ですね。腰のケガの状態もあるので全試合に出場することは難しいかもしれませんが、規定打席をクリアするくらい出られれば、打線はかなり強力になります」
――打順は、昨年の開幕時と同じように1番でしょうか。
「そうですね。吉川、坂本勇人、丸佳浩、岡本和真と4番までを固められたら、5番以降は新加入の(ヘラルド・)パーラ、亀井義行、中島宏之など打線が組みやすくなります。さらに、8番などに打撃がいい捕手の大城卓三が入るとなると、打ち勝てる試合は昨年よりも増えるでしょう。
足が速い吉川はリードオフマンで生きる選手。様子を見ながら6番や7番などで起用しても、相手チームにとってもそこまで脅威にはなりません。吉川が難しい場合は亀井が1番で起用されると思いますが、そうなると5番以下が少し迫力不足になる感は否めない。どれだけ吉川が1番で出場できるかが、リーグ連覇、日本一への大きなカギになると思います」
――昨年2位の横浜DeNAの注目選手は?
「”ポスト筒香嘉智(レイズ)”として、4番を任せられる可能性が高い佐野恵太です。彼のバッティングはすばらしいですね。ただ、まだシーズンを通して試合に出た経験がない点は不安材料になります。まして4番となればプレッシャーが大きく、チームの調子が悪くなれば自分を追い込んでしまうかもしれない。そういう意味で、梶谷隆幸、宮崎敏郎、(ネフタリ・)ソト、(ホセ・)ロペスなど、前後を打つ打者を含めた他の選手たちのカバーが重要になります」
――佐野選手は昨年、89試合に出場して打率.295、5本塁打を記録しました。打撃のどういった点が「すばらしい」のでしょうか。
「キャンプで実際に見ましたが、パワーはもちろん、当てる技術も兼ね備えています。まだ25歳で、あれだけのバッティングができる選手は他の球団にもなかなかいません。しかし先ほども言ったとおり、スタメンで毎日活躍できるかとなると話は別です。代打で起用される選手は疲労が蓄積しにくく、ベストなコンディションで打席に入りやすいですから。試合を重ねていく中で、スタメンでも安定して結果が残せるようになってくると、筒香が抜けたことを感じさせない強力打線になると思います」
――続いて、終盤の奇跡的な追い上げで3位になった阪神はいかがですか?
「打者の両外国人、(ジャスティン)・ボーアと(ジェリー)サンズでしょうか。”たられば”は言いたくないですが、この2人が打ったら阪神がリーグ優勝すると思います。昨年はルーキー近本光司の活躍もありましたけど、やはり投手力でAクラス入りしたチームですから、打線がよくなれば自然と勝ちが増えるはずです」
――オープン戦では2人がクリーンナップに入ることが多かったですね。
「より調子を上げて固定ができれば、昨年とは打線の印象がまったく変わりますよね。オープン戦で首位打者だった大山悠輔やベテランの福留孝介が6番、7番くらいにいるのは怖いですし、1番・糸井嘉男、2番・近本という並びは攻撃力がある。それらの選手の調子が悪くなっても、髙山俊などカバーできる選手をベンチに置くことができるので、かなり層は厚くなります。
守りに関しては、2年連続でゴールデングラブ賞を獲得した梅野隆太郎が一本立ちしてきたのが大きいです。昨年は先発陣の勝ち星が伸びませんでしたが、チーム防御率はトップでしたし、打線が早い回に点を取ってくれるようになれば改善されるでしょう」
――阪神に逆転を許し、リーグ4連覇だけでなくCS進出も逃してしまった4位広島ですが、再び優勝争いをするためにカギを握りそうな選手は?
「やはり”令和初の三冠王”に最も近い鈴木誠也でしょう。日本代表の4番でもありますし、タイトルを総なめしてほしいです。ライバルには、2年連続ホームラン王のソト(DeNA)、岡本(巨人)、新人王を獲得した村上宗隆(ヤクルト)などがいますから、ホームラン数は最低ラインが40本になるでしょうね。
打点を考えると3番までの打者の働きも重要ですが、西川龍馬は頼もしいバッターに成長していますし、昨年調子を落とした田中広輔が1番に戻ってくれば問題ない。そうなればチームも波に乗っていくはずです」
――あえて、鈴木選手に不安材料を挙げるとしたら?
「昨年は少し打席で気持ちにムラがあるというか、イライラしている場面があったように感じました。そういった”捨てる”打席をなくし、常に打つ意識を高く持ってシーズンを戦ってほしいです。日本代表で4番を打った経験も、彼の成長につながってくれるといいですね」
――続いて井端さんの古巣でもある5位中日はいかがですか?
「2018年のドラフト2位投手、梅津晃大を推します。昨年は8月から投げて4勝1敗。シーズンを通して投げたら10勝以上できる能力があると思います。彼の持ち味は、187cmの長身から投げ下ろす角度があるストレートです。変化球もいいですけど、それはストレートに力があるから生きてくるもの。エースになれる素材ですし、個人的には開幕投手も梅津でいいと思っています」
――中日の開幕投手は、与田剛監督が大野雄大投手を指名したようですが。
「もちろん大野でも問題ありませんが、チームとして”貯金”をすることを考えた場合です。開幕戦後も他チームのエースピッチャーと投げ合うより、3連戦の2試合目か3試合目のほうが勝つ可能性は当然高くなる。中日は投手力が高いとは言えないので、大野で確実に勝っていくことを優先するならば、そういった策もありなんじゃないかと。梅津にとっては重荷かもしれませんが、もし勝ち星が先行するようだったら、上位争いができるかもしれません」
――それでは最後に、6位のヤクルトの注目選手は?
「今や、ヤクルト=山田哲人のチームになっているので、彼がやらないと始まりません。本当にすごいことなんですけど、トリプルスリーを3回達成してファンも飽きてきた感がありますよね(笑)。今年は試合数が減る可能性があるので厳しくなるかもしれませんが、日本人初のフォーティー・フォーティー(40本塁打&40盗塁)が見たいです。逆に、それくらいやらないとヤクルトの上位進出は難しいと思います」
――フォーティー・フォーティー達成に適した打順はやはり1番でしょうか。
「1番から3番くらいであれば、どこでも問題ないと思いますよ。チームとしては、4番の村上の活躍も重要ですね。オープン戦では打球が上がらずホームランも出ませんでしたが、調子を落としているというよりは実戦不足からくる調整の遅れという印象です。昨年はフル出場して高卒2年目の本塁打記録を塗り替えた選手ですし、開幕が延期していることをプラスに捉えて、シーズンにしっかり備えてほしいです」