サッカーIQラボ〜勝負を決めるワンプレー~Question次のプレーでロナウドはどう動いた? 総得点700ゴール以上を記録する現役最強のストライカー、クリスティアーノ・ロナウド。スポルティングからマンチェスター・ユナイテッドに加入した当初は…

サッカーIQラボ
〜勝負を決めるワンプレー~

Question
次のプレーでロナウドはどう動いた?

 総得点700ゴール以上を記録する現役最強のストライカー、クリスティアーノ・ロナウド。スポルティングからマンチェスター・ユナイテッドに加入した当初は、ドリブルのテクニックとスピードを生かした典型的なウイングだった。

 しかし、シーズンを重ねるごとにストライカーとしての才覚が頭角を現し、レアル・マドリードでは一気に覚醒。得点感覚は年々研ぎ澄まされ、33歳でユベントスに活躍の地を移してからも衰え知らず。2019−20シーズンも公式戦32試合25ゴールと驚異的な活躍を披露している。

 そして今季のセリエA第16節ウディネーゼ戦でも、ロナウドはストライカーとして練度の高い動きでチャンスを創出した。前半37分、左サイドでボールを持ったゴンサロ・イグアインが中央へボールを運ぶ。ロナウドは前線中央でその姿を捉え、イグアインがルックアップした瞬間に動き出した。



DFラインの手前にいるロナウド。このあと、どこへ、どう動いたか?

 さて、ロナウドはこの状況でどう動いたか。

Answer
DF間を斜め裏に抜け、縦パスを呼び込む

 まさに一瞬の勝負だった。このシチュエーションでまず注目するのは、ロナウドのポジショニングだ。ウィリアム・トロースト=エコングとブラム・ナイティンクの間のやや手前に歩いていき、ふたりのDFがマークをしづらい位置に止まる。トロースト=エコングは背後で見えておらず、ナイティンクはCB間の距離が近すぎることを気にしながらのマークになった。



ロナウドは斜め前への瞬間的なダッシュでマークを振り切り、ゴールを決めた

 そんな前線の状況を見ながら、中央へボールを運ぶイグアインはロナウドのアクションを待っていた。ロナウドの選択肢は2つ。相手MFとDFのライン間でボールを受けて起点をつくるか、あるいは裏のスペースへ抜け出すか。

 ナイティンクは2つの選択肢に備えていたはずだ。ただロナウドの、走り出す瞬間までどちらにも的を絞らせない、『抜け感』が見事。そしてイグアインがスルーパスを出せる位置までボールを運んだ瞬間、爆発的に加速して裏へ走り出した。それを待っていたイグアインはすかさずスルーパス。

 ナイティンクは完全に振り切られてしまい、この瞬間に勝負あり。トップスピードのロナウドはそのボールをダイレクトで流し込み、GKフアン・ムッソはタイミングを外されてなす術がなかった。

 パスの瞬間までDFに的を絞らせない狡猾なムーブ。エコングの背後を取り、ダイアゴナルにナイティンクから遠い位置にパスを呼び込むランニング。トップスピードでも正確かつGKのタイミングを外すシュートテクニック。熟練されたストライカー、ロナウドの駆け引きと技術が凝縮された一撃だった。