ロジャー・フェデラー(スイス)の圧倒的強さに対し脅威が生じたのは、ラファエル・ナダル(スペイン)がクレーコートに君臨し始めた時だった。フェデラーがテニス界の顔となりつつある中、ナダルは赤土のサ…

ロジャー・フェデラー(スイス)の圧倒的強さに対し脅威が生じたのは、ラファエル・ナダル(スペイン)がクレーコートに君臨し始めた時だった。フェデラーがテニス界の顔となりつつある中、ナダルは赤土のサーフェスで存在感を放ち始め、世界がそれに気付いたのだ。二人のライバル関係の始まりを、ウェブメディア Essentially Sportsが振り返っている。

ナダルは、クレーコートで次々と大会に優勝し、実質的に無敵に見えた。テニス界に君臨していたフェデラーでさえ、クレー上のナダルと対戦するとまるでルーキーのようだった。この時点で、クレーコートではナダルはフェデラーを5回連続で破っていた。

フェデラーが勝つことができないならば、他のプレーヤーはナダルに勝利することを想像することもできなかっただろう。実際に、ナダルはクレーコートで81連勝を記録し、13大会連続優勝を飾っていた。しかし、彼の記録に待ったをかけたのは他でもない宿敵フェデラーだった。フェデラーは、2007年「ATP1000 ハンブルク」決勝でナダルの連勝記録を止めることに成功。この試合から、彼らのライバル関係が本当に始まったと言われている。

フェデラーが勝利した翌年以降も、2008年の「ウィンブルドン」、2009年の「全豪オープン」などでナダルはフェデラーに苦い敗北を味わわせている。だが、2007年のハンブルクでの決勝で、ライバル関係の中に歴史を作ることになったのはフェデラーだった。

ではフェデラーはどのようにナダルの歴史的連勝記録を終わらせたのか。

第1セットはいつも通りのシナリオで進んだ。ナダルはフェデラーをあしらい、フェデラーは苛立っていた。フェデラーはまたも大敗を喫するかに見えた。最初のゲームで幾つかのブレークポイントを防いだフェデラーだったが、ナダルの数々のフォアハンドウィナーに屈することとなった。

その後すぐに、第3ゲーム、第5ゲームとナダルがブレークし、6-2で第1セットを奪取。次のセットでもナダルは最初から攻めてきた。フェデラーは第2セットの最初のサービスゲームでも、ブレークポイントを阻止しなければならなかった。しかし、次のゲームでフェデラーは突然3本のフォアハンドウィナーを放ち、予期せぬブレークを成功させた。

第2セットの最終ゲームでフェデラーはナダルを再度ブレークし、この試合のバランスが変わったことを強調した。最終セットで見られたのは、打ちひしがれたナダルだった。ナダルは疲れ切って戦意を喪失してしまったかのようだった。このセットでフェデラーはナダルにベーグルを食らわせ試合に勝利。未だ破られていないナダルの連勝記録を止めた。

試合後ナダルは、「誰かに負けなければならなかったなら、ロジャーを選ぶよ。彼の素晴らしい大会におめでとうと言いたい。“全仏オープン”でも活躍を祈っているよ」と感謝しながら言った。

そして、フェデラーも、最大のライバルへ賞賛の言葉を送った。「81試合連続勝利は素晴らしい記録だ。彼をすごく尊敬している」

彼らの数々の名試合の中でも、この試合は最も記憶に残るものの一つと言えるだろう。

(テニスデイリー編集部)

※写真はフェデラー(左)とナダル(右)

(Getty Images)