緊急事態宣言の対象となった兵庫・報徳学園は生徒たちが実家に戻り一時“解散”に  政府は7日に緊急事態宣言を発令し、東京など7都道府県が対象となった。各地で外出禁止、学生たちは休校になるなど“我慢の時”が続く。高校野球では選抜が史上初の中止、…

緊急事態宣言の対象となった兵庫・報徳学園は生徒たちが実家に戻り一時“解散”に

 政府は7日に緊急事態宣言を発令し、東京など7都道府県が対象となった。各地で外出禁止、学生たちは休校になるなど“我慢の時”が続く。高校野球では選抜が史上初の中止、そして春季大会も各地で中止が決定している。不安な思いを胸に最後の夏に向け、「球児たちの今」を伝えていく。

 今春の選抜出場は逃したが、昨秋の兵庫県大会で優勝した報徳学園も緊急事態宣言を受け、5月6日までの活動停止を決めた。福岡、熊本、岐阜など県外からやってきた寮生たちも一旦、帰省。“解散”状態となった。

 今回で2度目の自粛期間を迎える。大角健二監督は2月28日から3月19日の活動自粛を終え練習を再開した時は「私もビックリするぐらい3年生の動きが良かった。2年生が半分ぐらいレギュラーのチームですが、3年の目の色は違った」と振り返る。それだけに2度目の自粛期間を迎え「仕方のないことですが、さすがにショックは大きかった」と語る。

 終息の兆しが見えない新型コロナウイルス。夏の甲子園に向け、最も早く地方大会が始まるのは6月の沖縄。状況次第では夏の大会も危ぶまれていることは生徒たちも感じ取っている。そんな中、大角監督はチームの活動停止前に生徒たちに向け言葉をかけた。

チームの活動停止前に生徒たちに投げかけた言葉「野球ができるようになったら爆発させよう」

「一番怖いのは気持ちが切れること。誰しもが『甲子園に行きたい』と思って日々の練習を頑張っている。2年生は次があるけど3年生はそうじゃない。でも、こんな時こそ全員で気持ちを一つにして、野球ができるようになった時にそれを爆発させよう。自分たちだけじゃない、日本中のみんながそうなんだと」

 生徒たちには自宅で可能なトレーニングメニューを送っているが、約1か月間の“待機”は球児たちにとっては厳しいものになりそうだ。大角監督は「本来なら実戦をこなして、夏に向けた体力もつける時期。でも、全員が同じ条件。考え方によってはピンチはチャンスと捉えて。個々がどれだけ意識を高く持てるかだと思います」と語る。

「辛抱して日本一へ」

 そんな中、大角監督は自宅に帰る生徒たちに向け1枚の色紙を送った。モチベーションが下がった時にこの言葉を見て、何とか踏ん張って欲しい――。指揮官も自宅に色紙を持ち帰り、生徒と共にこの期間を踏ん張るつもりだ。

「プロ野球を含めて全てのスポーツ界が今、辛抱する時だと思います。今まで経験したことのない大きな壁を乗り越えて、何とかもう一度、真剣勝負の舞台に立たせてあげたい」

 全国の球児たちが再びグラウンドに立てる日々を――。試練を乗り越えた先には“夢舞台”が待っているはずだ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)