アメリカは新型コロナウイルスの感染者が最も多く、なかでもニューヨークは深刻な状況になっています。28カ所に合計30チー…

 アメリカは新型コロナウイルスの感染者が最も多く、なかでもニューヨークは深刻な状況になっています。28カ所に合計30チームを持つメジャーリーグのシーズン開幕も、まったく不透明な状況です。



今シーズンは4番を任されそうな大谷翔平

 前回のコラムでは、メジャーで活躍する日本人ピッチャーが各所属チームでどんな役割を求められているか、計7人の状況を紹介しました。今回はバッター編です。

 まずは、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手から。2018年、投打の二刀流としてメジャーデビューし、投げては10試合に先発して4勝、打っては22本塁打をマーク。ベーブ・ルース以来の「本格的な二刀流プレーヤー」が誕生しました。

 ただ、昨年は右ひじ手術の影響で、プロ入り後初のバッターに専念。メジャー最高の打者である2番マイク・トラウトの後方を任され、ふたりの名前から「トラウタニ」コンビとして大きな話題も集めました。

 しかし、9月に左ひざ手術を行なうことになり、ひと足早くシーズンを終えて本塁打数は18本止まり。本人は「今までで一番、悔しいシーズン」と振り返っていました。

 そして今年、大谷選手が2年ぶりに二刀流としてカムバックします。ジョー・マドン新監督が「投手としてプレーできる試合は多くなると思う」と期待を寄せる一方、バッターとしての大谷選手は昨年とは違う役割を求められるのではないでしょうか。

 昨年オフにエンゼルスは、ワシントン・ナショナルズからFAとなったアンソニー・レンドン三塁手と7年総額2億4500万ドル(約268億円)で契約しました。2019年は両リーグ通じて最多の126打点を挙げ、ナ・リーグ3位の打率.319を記録するなど、球団史上初の世界一に貢献した右バッターです。

 今シーズンは、2番トラウト→3番レンドンという打順になると予想されます。昨年リーグ1位のOPS1.083を記録してア・リーグMVPを受賞したトラウトと、ナ・リーグMVP投票3位で同3位のOPS1.010をマークしているレンドン。まさにメジャー最強のコンビです。

 レンドンの加入によって、大谷選手は4番、すなわちクリーンアップヒッターを務めることになるでしょう。昨年はトラウト、レンドンともに出塁率4割以上をマークしました。それだけに、大谷選手はランナーがいる場面で打席に立つことが多くなりそうです。

 2018年の得点圏打率.350に比べ、昨年の大谷選手は得点圏打率.292と数字を下げてしまいました。つまり、今年チームが大谷選手に求めているのは、ランナーを一掃する勝負強いバッティングです。

 多様な戦術を持つマドン監督は、大谷選手の登板日に打席にも立たせる可能性はあると言っています。「4番、ピッチャー、大谷」という場内アナウンスが聞けるかもしれません。高校野球のような「エースで4番」として、チームを勝利に導くバッティングに期待したいです。

 次は、今年からメジャーリーグに挑戦するふたりのルーキーに求められる役割について紹介します。まずは、タンパベイ・レイズに入団した筒香嘉智外野手から。

 昨年、レイズを率いるケビン・キャッシュ監督は162試合中149通りのラインアップを組み、実に57人もの選手を起用しました。キャッシュ監督は日々、オーダーを代えながら選手たちに複数のポジションを守らせる戦術を好むタイプです。

 オープン戦でも筒香選手の打順を固めることはなく、12試合で1番、2番、3番、5番、6番を試していました。また、本職のレフトに加えて三塁も守らせたり、さらには指名打者としても起用していました。それについて本人は「いろいろなところを打つと言われていた。打順は気にならない。(意識は)とくに変わらない」と語っています。

 今シーズンから選手登録枠が25人から26人にルール変更となり、さらに開幕の遅れによって一時的なロースター拡大(29人もしくは30人)も予想されます。そうなると、戦力を最大限に生かすために各チームは積極的にプラトーンシステムを採用していくでしょう。

 レイズがプラトーンシステムを採用すれば、相手が左投手の時には左打者の筒香選手をベンチに下げる可能性も出てきます。なぜならば、「左投手キラー」のホセ・マルティネスが今年1月にセントルイス・カージナルスから移籍してきたからです。

 また、筒香選手が守備につくポジションのライバルたちも侮れません。レフトには昨年サンディエゴ・パドレスで自己最多の33本塁打を放ったハンター・レンフロー、サードにはリードオフマンとして出塁率.396を残したヤンディ・ディアスがいます。

 筒香選手に求められているのは、左投手に対してライバルに負けない結果を出し、守備でも複数のポジションを器用にこなせる多様性ではないでしょうか。同じアジア出身で韓国からやって来た左打者の崔志萬(チェ・ジマン)から4番の座を奪うぐらいの気迫で臨んでほしいです。

 一方、シンシナティ・レッズに入団した秋山翔吾外野手は、1番打者として期待されています。デビッド・ベル監督もオープン戦では1番センターで起用していました。

 ただし、レギュラーの座が確約されているわけではありません。今春レッズのキャンプでは、秋山選手ら新加入の3選手を含む計10人もの外野手がひしめき合い、ベル監督も「これまで見たことがない」と言うほどでした。

 そのなかでもとくに強力なライバルとなりそうなのが、メジャー2年目のニック・センゼルと、4年目のジェシー・ウィンカーです。

 センゼルは2016年のドラフト1巡目・全体2位指名でレッズに入団した右打者の24歳。昨年5月にチームナンバー1の俊足としてメジャーデビューを果たし、104試合で打率.256、12本塁打、14盗塁をマークしました。ただ、内野から外野へ転向したばかりで、プロ通算104試合しかセンターを経験していない不安はあります。

 ウインカーは2012年にドラフト1巡目追補・全体49位指名でプロ入りした左打者の26歳。2017年のメジャーデビュー以来、着実に出場機会を増やし、昨年は113試合で自己最多の16本塁打をマーク。1番打者としても出塁率.387と、好成績を残しています。

 秋山選手は西武時代、直近5年間で出塁率.399をマークし、センターの守備では6度もゴールデングラブ賞に輝きました。その実力がメジャーでも発揮できれば、ライバルに負けないと思います。攻守でチームを引っ張るリードオフマンとしての役割に期待したいです。

 最後に、マイアミ・マーリンズの加藤豪将内野手についても取り上げましょう。

 2013年、加藤選手はドラフト2巡目・全体66位指名でニューヨーク・ヤンキースに入団。昨年は初めてマイナー傘下3Aで開幕を迎え、一時は打率.350、7本塁打とアピールしてメジャー昇格の期待を抱かせました。

 しかし、その後は2Aとの行き来を繰り返し、シーズン終了後に自由契約。ヤンキースとの契約が終わった原因は、バッティングの不振というより、むしろ守備にあったと思います。

 加藤選手より打撃成績は劣るものの、堅実な守備や走塁に定評あるタイラー・ウェイドやタイロ・エストラーダは、シーズン途中からメジャーに引き上げられたからです。とくにヤンキースは主力に強打者が多いので、控え選手に守備力を求めていました。

 マイナー契約を結んだマーリンズは選手層が薄く、10年連続勝率5割以下と低迷しています。加藤選手が戦力になると判断されれば、ヤンキースよりチャンスは大きいと思います。チームが求めている内野のユーティリティープレーヤーとしての能力を、ぜひともアピールしてほしいです。