全世界的な新型コロナウイルス大流行の影響で「全仏オープン」(フランス・パリ/9月20日~10月4日/クレーコート)を9月下旬に延期するという決定が議論を呼んでいるが、期せずして選手たちが法的責任を問われることになるかもしれない。豪Yahoo…

全世界的な新型コロナウイルス大流行の影響で「全仏オープン」(フランス・パリ/9月20日~10月4日/クレーコート)を9月下旬に延期するという決定が議論を呼んでいるが、期せずして選手たちが法的責任を問われることになるかもしれない。豪Yahoo! Sportsが報じた。延期は3月半ばにフランステニス連盟によって発表され、世界中のテニス関係者たちを動揺させた。延期によって、「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月31日~9月13日/ハードコート)の決勝からわずか1週間後に始まり、さらに「レーバー・カップ」(アメリカ・ボストン/9月25日~9月27日/室内ハードコート)などとは日程が重なることとなった。この「全仏オープン」の新日程の発表に、ATP(男子プロテニス協会)もWTA(女子テニス協会)も不意打ちを食らった格好だ。

この決定はあまりにも衝撃的であったため、元プロ選手サム・グロス(オーストラリア)は、これは3年前にロジャー・フェデラー(スイス)が主催し始まった人気のある「レーバー・カップ」を潰そうとする試みだと示唆した。

大会の延期をフランステニス連盟が独断で決定したことが確認されてからは、複雑な法的議論が巻き起こっている。報道によると、ITF(国際テニス連盟)の関係者らは、「レーバー・カップ」を優先して「全仏オープン」に出場しないなど、選手たちが他の大会に出場することを選択した場合、ATPとWTAが契約違反の責任を問われ、四大大会に損害を与えたとして訴えられる可能性があると考えている。

フランステニス連盟による「全仏オープン」日程変更の独断に対し、選手や運営関係者たちからは大きな批判が寄せられた。世界ランキング93位でATP選手協議会の一員であるバセック・ポスピショル(カナダ)は、フランステニス連盟の決定は、テニス界が新型コロナウイルスの大流行に立ち向かうためにあらゆる面で求められる団結に反するものだと述べた。

ポスピショルはTwitterで「今はあまりにも困難な時期だ。この大惨事によって誰もが影響を受けている。意思疎通をより緊密にして、解決策を見つけるために力を合わせることが優先されるべきだ。自分勝手な行動をして自己中心的で傲慢な決定をすることで、テニスにさらなる負の影響を与えるべきではない」と投稿した。

「レーバー・カップ」の運営組織は、新型コロナウイルスの影響で「全仏オープン」の開始を9月20日に延期するという決定に驚いたと語った。「この発表には、我々も、協力者であるオーストラリアテニス協会や全米テニス協会、ATPも驚きました。これにより多くの疑問が生じますが、我々は状況を吟味しています」という声明を発表。

「現時点では、ファンやスポンサー、放送局、スタッフ、ボランティア、選手、そしてボストン市の皆様に、今年の“レーバー・カップ”は予定通り開催するつもりだということをお伝えしたいです」

全米テニス協会も声明を出し、「全米オープン」の日程を変更する計画は無いとした上で、年間スケジュールに「一方的な変更」を加えたとして「全仏オープン」をあからさまに批判した。

声明では「世界が一つにまとまろうとしている時に、こうした決定は一方的に下されるべきではありません。したがって、全米テニス協会は、他のグランドスラム大会、WTA、ATP、ITF、そして“レーバー・カップ”を含む我々の協力者たちとの十分な協議に基づいてのみ決定を行います」と綴られている。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年「全仏オープン」で優勝したバーティ

(Photo by Mehdi Taamallah/NurPhoto via Getty Images)