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山﨑康晃×今永昇太 対談(後編)

 昨年、侍ジャパンの一員としてプレミア12で世界一を達成したDeNAの山﨑康晃と今永昇太。当然、来年開催予定のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)、東京五輪への期待も高まる。ふたりにとって侍ジャパンで戦う意義とは。また、国際大会で勝つために必要なものとは何なのだろうか。



昨年のプレミア12で侍ジャパンのメンバーとして世界一に貢献した山﨑康晃(写真左)と今永昇太

── 山﨑さんが新人最多の37セーブを挙げて新人王に輝いた翌年、今永さんがベイスターズへドラフト1位で入ってきます。

山﨑 おっ、一緒のチームになるのか、と思いましたし、入団会見で”ゲッツ”してるあたり(この年からベイスターズは”ゲッツ”が持ちネタだったアレックス・ラミレスが新監督に)、こんなにおもしろいヤツが入ってくるのか、と思いましたね。

今永 (苦笑)。

山﨑 ルーキーの時は昇太もけっこう律義でね。ピシッと挨拶してくれたんで、あれっと思っていたんですけど(笑)、2年目はベールが剥がれて、本当の昇太が現れました。

今永 いや、ゲッツしてる僕は偽物の僕なんで(笑)。こうやってマジメに話しているほうがオリジナルの僕です。

── ではこちらもマジメな質問を(笑)。おふたり、ピッチャーとして進化するためには何が必要だとお考えですか。

山﨑 よりよくなっていきたいという気持ちは強いですね。自分の技術を槍のように磨いて、何かあった時には突き刺せる、そんな選手でありたいと思っています。

今永 僕は、変わることの怖さはなくなってきました。以前は何につけてもどっちつかずで、中途半端だったんですけど、それがプレーヤーとしてダメだということがわかったんです。もちろんいずれは変化していきたいし、進化もしていきたいんですけど、それよりも、今、持っているものをより強く太く、自分のものにして、いつでも操れるようになってから進化を目指しても遅くないんじゃないかなと思っています。

── それぞれ、思い入れがある”今年のボール”を挙げていただくとしたら、どのボールが浮かんできますか。

山﨑 僕はストレートです。投げているパーセンテージでは半分が真っすぐ、半分がツーシーム、ちょこっとカットボールという感じなんですけど、やっぱり真っすぐありきのツーシームなんです。やたらとツーシームがフォーカスされますけど、アウトコースのストレートをきちっと投げられれば有利な展開にもっていける自信はあります。僕はインステップして投げますから、相手バッターが遠く感じる、これは脅威だと思われるような、アウトローへ糸を引くような、そんな真っすぐを投げ続けていきたいと思っています。

今永 僕もストレートにはこだわりがあるし、それが投げられなくなったら野球人生は終わりだと思っているくらい、ストレートが生命線だと思っています。ストライクゾーンに投げ込めるストレート……空振りが取れればそれに越したことはないんですけど、それよりも僕は、ファウルが取れるストレートを見て欲しいんです。ファウルを取ることでバッターが考えていることを探ったり、何をしたいのかが見えてきたりしますからね。

── 去年はプレミア12で優勝して10年ぶりの世界一を勝ち取りました。

山﨑 国際試合ではイレギュラーなことが起こりますから……台湾で昇太が投げた試合、地元の台湾が相手だったから球場の雰囲気が凄まじいとは聞いていたけど、想像をはるかに超えるものすごい応援だったもんね。

今永 いろんなことが思いどおりにならないと思ったほうがいいんです。台湾で試合した時は、僕らの前の試合が延長でちょっと長引いたりすると、アップするスペースが狭かったり、時間が短かったり、予想外のことがたくさん起こりました。だからこそ、普段のルーティンを変えないことが大事。そして、そのルーティンができなくなったとき、柔軟に対応する柔らかい頭と心を持っておくことはもっと大事になってきます。

── 実際に世界一になってみて、国際大会で勝つためには何が必要だと思いましたか。

山﨑 世界一になったのが初めてなので、何が必要だったのかはよくわからないんですけど、でもあのチームはみんながよく話をしましたね。ほかのチームの選手と長い時間を一緒に過ごして、コミュニケーションがいかに大事かということは実感しました。僕は投手陣のみんなと一緒にいたので野手のことはあんまりわからないんですけど、ピッチャーには準備を怠っている人は誰ひとりとしていなかった。各々のタイミングでブルペンに入りながら、できることをやろうという選手ばかりだった。そういう当たり前のことをきちっとできる選手が、緊迫した場面で力を発揮できるんだと思いました。

今永 そうですね。僕も世界一は初めてでしたけど、選手としてできることは準備だけなんだな、そこに徹するしかないんだなということは感じました。ヤスさんはプレッシャー、感じていたんですか。

山﨑 感じていたけど、日の丸を背負う楽しさがそれを越えたって感じかな。ブルペンにいるとドキドキするんだけど、結果が出て報われた時のうれしさ、楽しさは今まで味わったことのないものだったからね。

今永 僕はプレッシャーに強いタイプじゃないんですけど、でもプレッシャーを感じながら自分なりのパフォーマンスを発揮する難しさ、それを乗り越えた時の自分の準備への自信……そういうものは芽生えた気がします。

山﨑 昇太はいつもどおりだったよ。

今永 あのぉ、ヤスさん、鈴木誠也選手(広島)とかと一緒になって、アップの時に『あれっ、もう緊張してるやん』『今日、負けたらホントにヤバいって知ってる?』ってわざわざ言いに来るの、やめてもらっていいですか。

山﨑 僕、土足で入っていくタイプなんでね。リラックスさせようと……でもタイミングは見ているつもりだよ。

今永 いつもどおりなのに、『いつもよりも全然、しゃべってないやん』とか耳元で囁くし、僕がちょっとアップの順番を間違えただけで、『おいおい、これ、ヤバいよ』とか『間違えない時は勝っているんだけどなぁ』とか、いちいち言わなくていいことを言ってくるんですよ。

山﨑 (笑)。

今永 僕は、ヤスさんをいじっちゃいけない時はいじらないようにしているんですよ。でもこの人は、僕を本当にいじっちゃいけないシーンでも平気でいじってくる。打たれて、次こそはちゃんと抑えなきゃ、まずいぞと思っている時でも、ロッカーで平気な顔してツッコミを入れてくるんです。僕のヤスさんへの気遣いを少しはわかってほしいな、というのは、今、この場をお借りして言わせていただきたいと思います。

── 山﨑さん、どうですか?

山﨑 気は遣っているんですけどね、僕なりに(笑)。

今永 いやいや、できればそっとしておいてほしいんですけど(苦笑)。ヤスさんの絡みについ反応してしまう僕も悪いんですけど……。

山﨑 いつもどおりにやってもらおうと思ってさ。それに昇太、突っ込むとボケてくれるから、喜んでいるんだと思っていたよ(笑)。

(おわり)