山﨑康晃×今永昇太 対談(前編) 22年ぶりのリーグ優勝を目指す横浜DeNAベイスターズ。これまでリーダーだった筒香嘉智…

山﨑康晃×今永昇太 対談(前編)

 22年ぶりのリーグ優勝を目指す横浜DeNAベイスターズ。これまでリーダーだった筒香嘉智が抜けた今、注目を集めているのが絶対的守護神・山﨑康晃とベイスターズのエースに成長した今永昇太のふたりだ。大学時代からお互いを知り、ライバルとして切磋琢磨してきたからこそ語れるエピソードの数々。たっぷりと語り合ってもらった。



大学時代からお互いを知る山﨑康晃(写真左)と今永昇太

── 山﨑投手から見て、1つ下の今永投手はどんなキャラなんですか。

山﨑 楽しい人です。ユーモアがあっておもしろいし、後輩に慕われて先輩に可愛がられて、野球でも申し分ない成績で球界を代表するエースで……。

今永 待て待て、褒めすぎだろ(苦笑)。

山﨑 侍ジャパンでも必ずエースとして活躍してくれると思います。このくらいでよろしいでしょうか(笑)。

── 今永投手が見た山﨑投手は……。

今永 あれっ、何でしたっけ。ああ、どんなキャラか……ヤスさんはものすごく気を遣うタイプです。だから僕はいつもニセの彼というか、”ニセ﨑ヤスアキ”がいると思っています。

山﨑 ニセ﨑って何だよ(笑)。

今永 本音で行動するんじゃなくて、周りの空気に合わせて発言するんです。独りよがりにならないように、その場に合わせてワイワイ騒いだり、シビアな空気を放ったり、TPOに合わせていろんな山﨑康晃がいるんですよ。

山﨑 そんなふうに言われたのは初めてだよ。(今永)昇太にはほかの人には見えない僕の顔が見えているのかな。確かにあんまり思っていることを口にしないし、感情を表に出さないようにはしているかも……打たれたあとに気を遣わせないよう、普段から誰とでも近い距離で話そうと意識しているかもしれないね。

今永 僕はヤスさんとは大学時代からのつきあいですけど(今永は駒大、山﨑は同じ東都リーグの亜大)、クローザーはチームの勝利に直結するポジションなのに、打たれた次の日の練習で負けを引きずって凹んでいるヤスさんを見たことがありませんからね。

山﨑 身体に染みついているのは打たれた試合ばかりだし、誰もが勝ったと思った9回に一発を喰らって負けた試合のことは絶対に忘れられないんだけどね。でも『そういうときこそ周りは背中を見てるんだぞ』『みんながお前の表情を見ているからな』って、三浦(大輔/ファーム)監督や筒香(嘉智)さんから口酸っぱく言われて、こういうポジションで生きていくためには悔しい思いも封じ込めていかなきゃいけないんだなと思うようになったのかも……でも昇太も苦しい顔を見せないほうだと思いますよ。なぁ、そうだろ。

── 今永さんは以前、『打たれると暗いオーラを出してしまうことを反省して負けてもポジティブに過ごすことを心がけた』とおっしゃっていました。

今永 落ち込んで、それを態度に表わしてもプラスになることはありませんからね。明るく振る舞うことでチームがうまく回るなら、僕だっていくらでも強がりますよ。苦しい時期を経験してみて、いろんな試行錯誤を繰り返した結果、乗り越えた先に選手としての深みが出てくるものなんだということを実感したんです。ヤスさんを見ていて、つくづくそう思いました。

山﨑 みんなに期待されて、昇太にかかる負担は大きかったもんな。そこで力を発揮できたというのはチームの財産になったと思うよ。後輩たちも彼の背中を見ていたと思いますしね。僕、今永をリスペクトしているんです。何しろ球界を代表するエースですからね。

今永 その褒め殺し、もうやめて(笑)。

── おふたりが初めて、お互いをピッチャーとして意識したのは大学に入ってからですか。

山﨑 昇太が駒大に入ってきて……1年生の時にもう先発してたよな。

今永 デビューは中継ぎでした。

山﨑 駒澤の1年にいい選手がいるという話は聞こえてきました。ウチ(亜大)の(生田勉)監督も昇太には目をつけていて、「彼は伸びたら化けるぞ」って警戒する、そんな存在でしたね。2年になって春から主力で投げるようになって、当たり前のように勝ち始めたんだよな。僕も4年の秋、昇太が3年のときに東都で優勝を逃して……。

── 亜大の7連覇を阻止したのが駒大でした。今永投手は大学3年の春に3試合連続完封、その秋には駒大を26シーズンぶりの優勝へ導いて、MVP、最優秀投手、ベストナインを獲得しました。

山﨑 あの時の昇太、カーブもすごかったけど、ストレートが吹き上がる感じでホップするんです。野手に聞いても、バントするとフライになっちゃうって……もう、お手上げでした。ウチはコツコツ、一個ずつ塁を進めるチームだったんで、昇太にはずいぶん苦労させられましたね。

── 今永投手は亜大の山﨑投手をどんなふうにご覧になっていたんですか。

今永 僕は大学の時の中継ぎと先発のヤスさんは、違うピッチャーかよ、と思っていました。先発の時は真っすぐも130キロ台で、力をセーブしながら試合をつくっていくんですけど、リリーフで出てくると150キロを連発するんです。ヤスさんの場合は亜細亜ボール(亜大出身の東浜巨、藪田和樹、九里亜蓮、山﨑らが投げる沈むボールで、シンカーともツーシームとも言われている)がすごいって言われるんですけど、僕はリリーフで出てきた時の真っすぐが一番、すごいと思っていました。

山﨑 プロではルーキーの時の開幕直前、早々にリリーフになったから(笑)。

今永 抑えに抜擢されたんじゃないですか。

山﨑 いい指揮官(当時の中畑清監督)、いいサポートの人たちに出会えたし、ああやって使ってもらって、そこでしか生きる道がないんだなって、ハッキリと思ったからね。

今永 ヤスさんが3年の時の全日本大学選手権でもリリーフで出てきて、タイブレークのワンアウト満塁から全部真っすぐで連続三振を取ったじゃないですか。あれを見て、こんなにすごいストレートを投げるピッチャーがいるんだとビックリしたんです。強い真っすぐだし、コントロールもすごい。リリーフになるとこんなに変わるピッチャーがいるのかって、衝撃的でした。

山﨑 気持ちの持っていき方とか、僕のプレースタイル、普段の性格、すべてが抑えに合っているからなのかな。

── 性格というのは?

山﨑 人に見られてこそ力を発揮できるというか、”ヤスアキ・ジャンプ”もそうなんですけど、期待してもらうとその期待を超えてやろうと思えるんです。周りから力以上のものを引っ張り出してもらっている感覚があって……だから先発で長いイニングを投げて、しばらくあけて、というよりも、短いイニングをピシッと、しかも毎日、というほうが僕には合っているのかなと思います。今さら先発しても力を発揮することはできないと思うので、何とかこの道で輝けるように頑張りたいなと思っています。

(後編につづく)