乗り越えた壁

「先輩と一緒に試合に出たい」。そう思って練習に励んでいた2年生の頃、田沢(コ4)は怪我で戦列を離れることになった。約1年間試合に出ることができない日々が続いた。その間にチームは2部優勝を果たし、悔しさは募っていく。逃げ出したくもなったが、復活を夢見てリハビリや練習を続けた。復帰後、3年の春季開幕戦でゴールを決め、勢いに乗ることができた。「あの壁を乗り越えたから今がある」。当時の困難を田沢は振り返った。「これから先の人生で困難を目の前にしても、壁を乗り越えたから何でも乗り越えられる」。強く意気込み社会に飛び出す。

恩人のために

昨年秋の最終戦となる横市大戦に4年生で唯一グラウンドにいない選手がいた。田沢が恩人だと愛してやまない磯崎(コ4)だ。磯崎はゼミの研究のため、会場に足を運ぶ事も叶わなかった。田沢はこの状況の中、腕に巻きつけたテーピングに磯崎の背番号である「15」を書いて試合に臨んだ。この行動の背景には田沢の感謝の気持ちがあった。2人は学科が同じ。もともと磯崎が田沢を一緒に誘ってホッケー部に入部した。「あいつと出会わなければホッケー部入ってなかった」。大好きなホッケーに出会えているのは磯崎のおかげである。感謝しているからこそ、一緒に戦いたかった。一緒に戦う方法を模索し、腕のテーピングに15を刻んでプレーした。


昨秋最終戦、左腕に刻んだ「15」を見つめる

練習は嘘をつかない

田沢には忘れられない試合がある。3年秋の2部優勝決定戦、一橋大戦だ。1−1の同点の場面で田沢がゴールを決め、一時勝ち越した。この時田沢が用いたリバースヒットと呼ばれる技術は体の左側にあるボールを打つ技で、ずっと田沢が練習してきた。この解き放たれたシュートは公式戦においてリバースヒットが初めて成功した瞬間だった。この瞬間田沢の脳裏に浮かんだのは「練習は嘘をつかない」というフレーズ。続けてきてよかった、そう思えた。また、この試合で立大はSO戦の末、勝利。3季ぶりの優勝を果たした。田沢にとって前回の優勝は怪我の影響から試合に出ることは叶わず、優勝に貢献することはできなく、悔しい思いでいっぱいだった。その思いをずっと秘めて日々の練習に臨んできた。シュートやドリブルの練習も誰にも負けないと自負するぐらい行ってきた。その努力が身を結び、自分の手で優勝に貢献することができた。そのため、喜びも大きく最も印象に残る瞬間だった。


リバースヒットが決まった瞬間、喜びを隠しきれなかった

(3月31日・渡邊大樹)