大絶賛された阪神のドラフトだが、藤浪以外は主力になれず…  今季も数多くのルーキーたちがプロの世界に飛び込んできた。ただ、ルーキーたちは誰しもが入団して即、活躍するわけではない。身体作りに励み、3年、5年が経ってからようやく花開く選手たちも…

大絶賛された阪神のドラフトだが、藤浪以外は主力になれず…

 今季も数多くのルーキーたちがプロの世界に飛び込んできた。ただ、ルーキーたちは誰しもが入団して即、活躍するわけではない。身体作りに励み、3年、5年が経ってからようやく花開く選手たちも多くいる。ドラフトの真の成果は、ある程度の年数が経ってから分かるものだ。

 では、かつてのドラフト会議で指名された選手たちは、一体どうなったのか? 当時のドラフト直後の12球団の指名評価を振り返り、現在、その年々の指名選手たちがどうなったのか、検証してみよう。

 今から8年前の2012年ドラフトで目玉となったのは東浜巨、前年に日本ハムの指名を拒否した菅野智之、高校生では大谷翔平、藤浪晋太郎、森雄大ら。この年は逸材揃いと評判のドラフトであった。

 1巡目指名では藤浪に4球団、東浜に3球団、森に2球団が競合。さらに外れ1位で松永昂大、増田達至に2球団ずつが競合した。藤浪は阪神、東浜はソフトバンク、森は楽天、松永はロッテ、増田は西武が交渉権を獲得。菅野は予想通りに巨人が単独指名。中日は福谷、そして日本ハムは宣言通りに大谷を強行指名した。

 この年、ドラフト直後の評価がすこぶる高かったのが阪神、ソフトバンク、日本ハム、巨人だった。いずれも、目玉だった藤浪、東浜、大谷、菅野の指名に成功した4球団。では、ドラフト全体としての成果はどうだっただろう。

 阪神は藤浪が1年目から3年連続2桁勝利をマークし、その評判に違わぬ活躍を見せた。近年は制球難から苦しんでいるものの、そのポテンシャルは高い。ただ、2位以下は、当時の期待値ほど奮わない。北條もレギュラー目前まで行きながら伸び悩み、3位以下の面々も目立った結果は残せなかった。

 ソフトバンクは即戦力として期待された東浜がなかなか結果を出せずにいた。ただ、3年目に9勝をあげてキッカケを掴むと、2017年には最多勝。3位の高田も1軍の戦力になっている。日本ハムはとにかく大谷のインパクトが大きい。強行指名の末に、熱心な入団交渉で口説き落として入団に漕ぎ着けると「二刀流」として大活躍。今では日本だけでなくMLBでも名を知られる存在となった。現在、巨人に在籍する鍵谷も中継ぎとして2016年の日本一に貢献した。

特に評価が低かった広島だが、2位で鈴木誠也が入団

 巨人は1年越しで菅野を招き入れ、右腕は入団から7年間で6度の2桁勝利。2017年、2018年には2年連続で沢村賞を受賞し、球界を代表する投手となった。ただ、この年は2位以下が花開かず。4位の公文克彦は日本ハム移籍後にリリーフとして活躍している。

 対照的に、この年で評価が特に低かったのは広島とオリックスだった。この2球団は共に競合での抽選を2度外し、オリックスは外れ外れ1位で松葉貴大、広島は高橋大樹を指名した。ただ、8年経って、オリックスと広島は対照的な結果となっている。

 なんと言っても、広島は2位で鈴木誠也を指名している。高橋大は苦戦しているものの、鈴木が不動の4番に成長。昨季は首位打者にも輝き、球界を代表する強打者になった。一方のオリックスは松葉が2年目に8勝したものの、目立った活躍をした選手はいない。

 ドラフト直後は高く評価されていた中日は1位の福谷が2014年にリリーフとして大活躍。だが、以降、年々、成績を下降させて苦しんでいる。2位で藤浪、大谷と「高校ビッグ3」と称された浜田達郎を指名したが、故障が続き、一度は育成選手に。今季、支配下に復帰し、再起をかけている。

 まずまず評価されていた球団に目を移してみよう。東浜を外したDeNAは白崎浩之を1位で指名。2位で三嶋一輝、3位で井納翔一、6位で宮崎敏郎が加入しており悪くない。ロッテも松永に加え、3位に正捕手の田村龍弘、4位で加藤翔平を指名している。

 楽天は森が苦戦しているが、2位で則本昂大を指名している。1年目から15勝をマークし、6年連続2桁勝利、2014年から4年連続200奪三振と球界を代表する投手になった。藤浪を外したヤクルトも1位の石山泰稚がクローザー、2位の小川泰弘はチームの大黒柱に。西武も1位で増田達至、3位で金子侑司、4位で高橋朋己と成果をあげている。(Full-Count編集部)