きりりとした眉と大きな瞳を動かさず、分厚い胸板を張って壁にぶち当たる。 今季の日本最高峰トップリーグにあって、リコーの松橋周平が新人ながら開幕から全試合に先発出場中だ。身長180センチ、体重99キロと、一線級のNO8としては決して大柄では…

 きりりとした眉と大きな瞳を動かさず、分厚い胸板を張って壁にぶち当たる。

 今季の日本最高峰トップリーグにあって、リコーの松橋周平が新人ながら開幕から全試合に先発出場中だ。身長180センチ、体重99キロと、一線級のNO8としては決して大柄ではない。しかし明大時代から、縦への推進力に自信を持っていた。

「ボールキャリーは強み。ただ、もっとレベルアップしていかなきゃいけないと感じることは多々ある。日々、成長していけたら」

 敵陣ゴール前での接点の近くへ顔を出しては、トライラインを割ること3回。神鳥裕之監督にもこう称賛される。

「彼のボールキャリーとしての嗅覚、センスは、教えられるものじゃない。思い切っていけ、と伝えています」

 9月16日、金曜夜。キヤノンとの第4節があった。母体企業は同業者同士だ。東京・秩父宮ラグビー場のスタンドでは、白いワイシャツ姿の男性が応援合戦を繰り広げていた。過去3戦と違った雰囲気のなかだったが、ここは高い知名度を誇る明大の卒業生だ。心持ちを問われ、こう即答していた。

「大学の頃からファンは多かった。緊張をせず、わくわくして、いい緊張感でやれました」

 ゲームでは長くリードを許し、後半初頭に8-20とビハインドを背負った。しかし、ここでもぶれない。

「ディフェンスにしろ、アタックにしろ、前に出るぞ、と」
 
 6分、11-20。19分、18-20。35分、25-20。「焦っているわけではなく、いい状態でした」。逆転を招いたトライは、松橋が自ら決めた。試合を終え、手応えをこう明かす。

「戸惑いはないです。あったら、ここまでできないです。アタック、ディフェンスとも、ハードワークができるようになりました。ハードワークをするなかでのプレーの精度が上がったな、とも感じます」

 これでチームは2勝2敗と勝率を五分にした。第5節は10月1日、秩父宮でおこなわれる。ここまで全勝のヤマハとの一戦だ。松橋も背番号8をつけ、先発する。(文:向 風見也)