9月28日、北海道日本ハムのリーグ優勝が決まり、残るはタイトル争いに注目が集まる。■昨年は侍ジャパン大学代表に名を連ねた2人 9月28日、北海道日本ハムのリーグ優勝が決まり、残るはタイトル争いに注目が集まる。 パ・リーグの新人王争いに目を向…

9月28日、北海道日本ハムのリーグ優勝が決まり、残るはタイトル争いに注目が集まる。

■昨年は侍ジャパン大学代表に名を連ねた2人

 9月28日、北海道日本ハムのリーグ優勝が決まり、残るはタイトル争いに注目が集まる。

 パ・リーグの新人王争いに目を向けると、投手ではプロ3年目で新人王資格を有し、2桁勝利を挙げた北海道日本ハムの高梨裕稔投手。打者では開幕からショートのレギュラーに座り、最近では中軸を任されている楽天の茂木栄五郎内野手、8月18日の北海道日本ハム戦でプロ初本塁打を放つと、約1か月弱で9本塁打とハイペースで本塁打を量産するオリックスの吉田正尚外野手がその候補に挙げられる。

 くしくもこの2人は昨年、侍ジャパン大学代表としてメンバー入り。韓国で行われたユニバーシアードでは吉田正は4番、茂木は主に5番としてともにクリーンアップを打った間柄だ。

 北海道日本ハムの優勝が決まった翌日の29日、パ・リーグ唯一の試合となったのは京セラドーム大阪のオリックス-楽天。オリックスの2連勝で迎えた3連戦最後の試合、吉田正は「3番・ライト」、茂木は「5番・ショート」でスタメン出場した。

 1回表、楽天の4番・ウィーラーが左前へ先制打を放った後、続く1死一、二塁のチャンスで茂木に打席が回る。茂木はオリックス先発・金子が投じた初球のカーブを打ちに行くも、打球は飛び込んだファースト・伊藤に阻まれ一ゴロに倒れた。

 その裏、吉田正は1死一塁で打席へ。カウント2-2から楽天先発・塩見のカーブにタイミングを外され、セカンドの前に打球が転がる。捕球した西野は二塁へ送球しフォースアウトに。吉田正は一塁に残り、続くT-岡田の右前安打で一気に三塁を陥れる好走塁を見せた。

■直接対決では吉田正に“軍配”

 3回裏、吉田正は2死走者なしの場面で第2打席を迎える。カウント2-0から低めのスライダーにタイミングを外され空振りするが、カウント2-2で高めのボール球を迷うことなく強振。打球はライナーでそのまま右前へ抜ける安打となった。

 茂木の第2打席は4回表、1死走者なしの場面。第1打席に続き初球のチェンジアップを果敢に打ちに行ったが、大きく弾んだ打球はジャンプした金子のグラブに収まり投ゴロとなった。

 1-1の同点で迎えた6回表、楽天はウィーラーが2点適時打を放ち、勝ち越しに成功。茂木にとっては初回に続き、再び得点直後の打席となる。この場面で茂木は前の2打席と異なり、じっくりとボールを見て四球を選ぶ。金子にとっては、この試合初めての与四球だった。楽天はその後、6回表だけで一挙8点を奪った。

 楽天ペースとなって迎えた6回裏、吉田正が意地の一発を放つ。1-0から内角に投じられたストレートを豪快に振り抜いた。打球は鋭い当たりで右翼席最前列に飛び込む10号ソロ本塁打に。吉田正は二塁を回ると、親交のある茂木に笑顔で話しかけていた。

 さらに吉田正は8回裏、1死一塁で打席に入る。塩見、嶋のバッテリーはカーブを4球連続で続け、バッティングを崩そうとする。それでも吉田正はファウルで粘り、カウント2-2からの7球目、外角のスライダーをおっつけた。大きな飛球は左翼フェンスを直撃するかと思われたが、レフトの聖澤がフェンス際でジャンピングキャッチ。3安打目とはならなかった。

 この試合、10-2で楽天が大勝したが、吉田正は4打数2安打1打点、1本塁打と今季の本拠地最終戦で躍動。一方、勝った楽天の茂木は3打数無安打で5試合ぶりのノーヒットに終わった。

 10月1日に今度は敵地・仙台に乗り込み、シーズン最終戦に臨むオリックス。一方、楽天は残り5試合。2桁本塁打に乗せた吉田正が仙台でもアーチを架けるのか。それとも茂木選手が盛り返すか。このルーキー2人の姿から目が離せない。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

武山智史●文