DeNAの三浦大輔投手が29日、本拠地でのヤクルト戦に先発し、6回1/3を12安打10失点で現役最終登板を終えた。その引き際には、アレックス・ラミレス監督の“番長”に対する敬意があった。■6回終了で「ここまでだな」も…7回続投で雄平を空振り…
DeNAの三浦大輔投手が29日、本拠地でのヤクルト戦に先発し、6回1/3を12安打10失点で現役最終登板を終えた。その引き際には、アレックス・ラミレス監督の“番長”に対する敬意があった。
■6回終了で「ここまでだな」も…7回続投で雄平を空振り三振、ベンチで涙
DeNAの三浦大輔投手が29日、本拠地でのヤクルト戦に先発し、6回1/3を12安打10失点で現役最終登板を終えた。6回終了時点で球数は116球。大量失点を喫していたが、その裏の攻撃で打席に立ち、7回もマウンドへ。雄平を空振り三振に切って取り、ファンからの大きな拍手に送られて降板した。その引き際には、アレックス・ラミレス監督の“番長”に対する敬意があった。
6回に3失点を喫し、ベンチへと戻る三浦の目は赤く染まっていた。「6回に打たれて、次の打席は回ってこない。ここまでだな」。現役最後のマウンドになったと覚悟していた。しかし、ベンチに戻ると、ラミレス監督がサインを送っていた。番長の目から涙が溢れた。
「もう(投球を)見せられないと思ってマウンドを降りて監督を見たら、指を1本立てていた。次の回、1人だけいくぞって。行かせてくれるというのが嬉しかったので、自然と涙が出てきた」
指揮官も振り返る。
「もちろん勝ちゲームをしたかったけど、三浦投手に勝ちをつけたい。5割を目指す。この線引きが難しかった。代えるなら、マウンド上で代えたいと思っていた。ファンから声援をもらってマウンドから降りてもらおうと。代打を送りたくもなかった。今日は多くのファンが三浦さんを見に来ていたので見せたかった」
三浦は涙を目にためたまま6回先頭で打席へ。中飛に倒れると、7回のマウンドへ向けて準備を始めた。そして、最後は先頭の雄平を137キロの直球で空振り三振に仕留め、ナイン1人1人と握手。スタンドに丁寧に頭を下げながら、ベンチへと戻った。そして、溢れ出る涙をタオルで拭いた。
■筒香には最後の「お願い」、「日本一になってもう1度胴上げを」
「本当に最高のプロ野球人生でした。最後は皆さんの気持ちが嬉しくて、涙をこらえきれなかった。三浦大輔は幸せだなと。今日の試合は、みんなが打って守ってくれたのに申し訳なかったな。監督の配慮で7回に送り出してくれたので感謝しかない」
勝てばプロ野球新記録の24年連続勝利だったが、果たせなかった。チームの勝利のためにマウンドに上がり続けてきた右腕は「マウンドにいてもベンチにいても、チームみんなの気持ちは伝わってきていたけど、自分自身踏ん張れなくて悔しい気持ち」と正直な胸の内を明かす。それでも、最後のマウンドで受けた歓声は忘れられない。「ファンの声援はすごかったです。打たれても打たれても、『次頑張れ』って応援してもらってありがたい。球場に入れなかった、横浜に来られなかったファンのみなさん、全員のファンの方に感謝です」と話した。
「ほっとしたい。ゆっくりしたいというのはあるけど、チームはまだ戦っているので、最後の最後まで一緒に戦います。たくさんのファンに愛されて最高のプロ野球人生でした」
こう振り返った番長は、「1日でも長く一緒のユニフォームで戦いたい。筒香に、日本一になったらもう一回胴上げしてほしいってお願いしました」と、まだ今季の戦いが終わっていないことを強調。ラミレス監督も「クライマックスシリーズには、三浦投手には最善の策を尽くしてチームに帯同してもらいたい」と、まだまだ力を必要としていることを明かした。
試合後のセレモニーでは、胴上げで背番号と同じ18回、宙を舞った。日本一になって、再び最高の胴上げを――。最後の登板は終わったが、三浦の“現役生活”はまだ終わっていない。
白井京子●文 text by Kyoko Shirai