2019年のDouble Dutch Delightは前代未聞のことが2つ起きた。1つは、先日記事にしてお伝えしたダブルダッチスクールから高校生を含めたチーム「A’device」が国内予選を1位通過してHoliday Classicへの切符を手にしたことと、もう1つは初めて東北地方から Holoday Classicで優勝するチーム「刹那」が生まれことだ。今回は、「刹那」のメンバーに想いを聞いたところ、「地方」という壁を感じさせない力強い言葉の数々に、世界で戦う確かな力を感じた。ぜひ、6人の声を聞いて欲しい。

「刹那」メンバー
AKIYAMA/YU-TA/IKuMo/YAKO/RUMI/りゅーせー

「ずっと、世界一を目指していた」

ダブルダッチシーンでは、これまで地方の大学が大きなタイトルを取ったことがなく、地方との目に見えない「壁」が確かに存在していた。それを今年、壊したのが岩手県立大学「ROPE A DOPE」の「刹那」だ。

「僕たちは、ずっとHoliday Classicでの優勝を目指していました。『地方だから勝てない』なんて、考えたことはなかったです。関東や関西にうまいチームがいても、『すごいなあ、勝てないかも』とかではなく『同期やるなあ』という目でライバルとして見ていました。」

「おそらく、世界を目指し始めたきっかけは大学2年生のときにサークルOBの太一さんが開いてくれたイベントです。このとき、シーンで最前線で活躍し続けている方々と出会って、本気で『世界一になりたい』と思いました。その後、太一さんはコーチとして僕たちに色んなことを還元してくれました。太一さんのおかげで、今があるなと思います」

「最初は、自分たちの色が分からず、迷走していました。結果もなかなか出なかったのですが、途中でRUMIのキャッチーさが武器になるな…と思い、髪の毛も緑色にして思いっきり目立たせたり、他のチームにないプッシュアップの技を開発したりと、『刹那にしかない武器』に着目してから、『刹那のカラー』が見えてくるようになりました。」

「ただ、2018年のDouble Dutch Delight Japanは8位で、その次のDouble Dutch Contestは20位に入れず…。安定して良い評判をもらえるようになったものの、思うような結果がなかなか出ませんでした。周りの人たちからは、『岩手の大学が頑張っている』って見え方だったんだと思うんですよね。僕たちは同等に本気で戦っているのに。悔しかったです。」

「自分たちが一番情熱を持つ」

「今年は、僕たちが出る最後の Double Dutch Delightでした。『得意なことしかしない!』と決めて、好きなことを思いっきりすることにしました。また、僕たちが最終的にパフォーマンスをしたい場所『Apollo Theater』を意識して曲選びを行って、アメリカの人たちが一緒にノレたり楽しんでもらえる曲を選定しました。僕たちが得意なことは『観客にパッションを伝えること』なので、自分たちが一番情熱を持ってパフォーマンスをやり切れるよう、構成の作り方、人の配置の仕方など細かい点をかなり工夫しました。」


また、一人ひとりが役割を大事にしており、アクロパートを担当するAKIYAMAさん、YUTAさんは『自分の見せ場で確かな質を魅せること』、女子パートの担当IKuMoさん、YAKOさんは『次に爆発するRUMIまでテンションを下げない。女子の表現力で勝負をする』、RUMIさんは『お客さんに大きなインパクトを残す』、ハリーパートを担当するりゅーせーさんは『みんなが粘って頑張ってきたものを、100%決めきる』…。その中にそれぞれが大切にしているのは『パフォーマンスのために最良を尽くすこと』。当たり前のことだが、チームメイトをお互いに尊敬しあって『チームになにを還元できるのか』ということを考え続けた結果、目標を果たせたのではないだろうか。


体験を後輩たちに伝える

「Apollo Theaterでは、パフォーマンスが終わったら観客が総立ちになって拍手が聞こえて、やってきてよかったな…と、心から思いました。言葉は通じませんでしたが、『良かったな!』というようなことを多くの方から言われて、もう悔いはないかな…と思ったところ、優勝という結果をいただき、涙が溢れました。岩手からでも、やってやれることを証明できました。でも、これは僕たちだけでは成し遂げられることではなくて、これまで偉大な先輩たちがいたからこそこのような結果が出せたのだと思います。東北シーン全体で、世界に『やってやった』んです。」


「今回感じたのは、地方とか、大会の多さとか、関係ないということです。自分たちは岩手に限らず色んな人にアドバイスを求めに行ったし、積極性を忘れないようにしました。そして、全員で同じ目標の軸を持ち続けて、常に改良をし続けました。それだけだと思います。これから、地域関係なく、結果を残すチームが増えてきたらいいな、と。自分たちが体験してきたことを後輩たちに伝えていきたいと思います。」


取材・文 小田切萌