女子ダブルスカル優勝、男子舵手付きフォア準優勝と史上初の快挙が並んだ昨年のインカレ。4年生にとっては最後の大会であり、引退を迎える者が大半だ。しかし、インカレに出場せず、別の大会で引退した3人の4年生がいた。ムードメーカーの渡部(社4)、コックスの鈴木(コ4)、寡黙な吉川(観4)の3人だ。インカレの中日にオックスフォード盾レガッタの男子エイトのクルーとして最後のレースに出場。結果は予選敗退に終わったが、3人の表情は明るく、充実していた。


オックスフォード盾レガッタ・男子エイト

終盤の熱戦

午前中に予選が行われ、結果は4艇中3位。午後の敗者復活戦に望みをかけた。敗者復活戦で1着になると翌日の決勝へ進出するが2着以下だと引退。そして迎えた大一番。序盤から関学大、同大と競り合うレース展開だった。終盤、ゴール手前1500m付近でドラマが起きる。立大が同大に半挺身差でリードされる状況。立大は意地のラストスパートをかける。

過去イチのコール


声を張り上げてコールするコックス・鈴木

コックスの鈴木のコールはいつにも増して感情がこもっていた。本人も「間違いなく過去イチで出しました」と語るほど。「(コールに)すごい感情が入ってた」(吉川)。そのコールに8人のクルーも応える。午前中に一本レースを消化していることもあり、疲れもあったが、勝ちたいという一心が漕ぐ手を止めなかった。

これで最後なんだ

「本当は良くないんですけど、レースの中盤あたりから、これで最後だと思いながら漕いでいた」(吉川)。インカレに出れなかった悔しい思いもあったが、悔しさを最後のレースにぶつけた。「相手が見えないけど皆で気持ちで漕げた」。船はゴール200m前付近で同大を交わし、2着に。1着になることは叶わなかったが、同大をギリギリで追しい抜くことができた。ゴール後、吉川は鈴木のすすり声を聞いて引退を実感した。

最後の使命


左から吉川、渡部

「立教のイメージを1年から払拭するためにエイトに乗った」。一番ゴールに近いポジションであるバウに乗る渡部はとにかく悪しき風潮を変えたかった。「立教ってパワーがあるけどフォームだったり真っ直ぐ進むのが下手だよね」。渡部は他大学の選手に耳の痛い指摘をされていた。発言の内容が現状であることに渡部は気づき、エイトのクルーを志願していた。理由はクルーの1年生にフォームなどの基本的な部分を大切にしてほしいという願いからだった。最後の使命として1年生を指導しつつレースに臨んだ。

後輩へ

「全国基準で見ても選手たちの出力はあると思うので、その出力を最大限活かせるように強い出力と正しいフォームを両立して他大学に追随させないというか、他の大学をぶっちぎれるような部になってほしい」(渡部)。
「楽しい部であって尚且つ勝てる部であってほしい。スポーツって楽しくないとつまらないから、勝ちだけに目が走らないで過程という部分を見て楽しく和気あいあいとした勝てるチームになってほしい」(鈴木)。
「泣いてる子もいたし、今日のそういう気持ちを忘れないで、最後自分が乗りたいクルーに乗れるように気持ちを強く持って力をつけていってほしい」(吉川)。
レースを終え、合宿所で今後の理想のチーム像について伺った。自分たちが果たせなかった夢を語る者、楽しさも重視する者、託す要素は人それぞれ。惜しくも先輩の引退を引き延ばすことができなかった6人の1年生たちも、その想いを受け取ったはず。
夢を託して合宿所を去る3人の表情は明るかった。

 (3月21日 渡邊大樹)