【Xリーグ第4節の見どころ】 富士通RBゴードン パナソニック戦に照準    社会人XリーグSuper9は3節終了時点で、パナソニックインパルス、富士通フロンティアーズ、オービックシーガルズが全勝で一歩リード。2勝1敗のLIXILデ…

【Xリーグ第4節の見どころ】

富士通RBゴードン

パナソニック戦に照準

 

 社会人XリーグSuper9は3節終了時点で、パナソニックインパルス、富士通フロンティアーズ、オービックシーガルズが全勝で一歩リード。2勝1敗のLIXILディアーズ、IBMビッグブルー、エレコム神戸ファイニーズがこれを追う。

 

 10月1日〜10月10日に行われる第4節は、JXBトーナメント進出争いを大きく左右するキーゲームが目白押しだ。

 

■奇跡の復活を遂げた富士通RBゴードン

 

 最も注目されるのは、パナソニックインパルスと富士通フロンティアーズの全勝対決だ。昨ジャパンエックスボウル(JXB)の再戦となる一戦だが、この試合に並々ならぬ思い入れを持って臨むのが富士通RBジーノ・ゴードン(ハーバード大)だ。

 

 富士通が初めて日本一を勝ち取った2014年シーズン、JXBでMVPに輝いたゴードンは、昨シーズンも連覇に向けて前年以上の走りを見せていた。

 

 富士通は2年連続でジャパンエックスボウルの舞台にたどり着いた。しかし、ゴードンは準決勝ファイナルステージのオービック戦で負傷。JXBでは車椅子に乗って、パナソニックに逆転負けを喫したチームメイトたちをただ見守ることしかできなかった。

 

 ゴードンの負傷は右足の腓骨と脛骨の両方を骨折する重症だった。スポーツ整形外科医によれば、同様の骨折の場合、一般的には骨が接着するまで半年、元のレベルのプレーができる筋力と動作回復まで含めれば、うまくいって1年はかかり、折れ方によっては選手生命を左右しかねないという。

 

 しかし、懸命にリハビリとトレーニングに取り組んだゴードンは、驚異的な回復力で開幕戦のフィールドに立った。初戦のIBM戦ではチームリーダーとなる17回94ヤード、第2節のアサヒビール戦も20回94ヤードを走り1TDを挙げた。

 

 これほど早期に競技復帰しているだけでも奇跡に近いといっていい状況の中、3試合終了時点で41回走192ヤード1TDの活躍を演じているゴードンが、リハビリ時にモチベーションとしていたのは、第4節に組まれたパナソニックとの対戦だった。

 

「途中で挫けそうになったこともありました。しかし、パナソニックとの試合に出場し、戦うことを目標にしていました」。

 来日4年目のゴードンは、すっかり上達した日本語でパナソニック戦への思い入れを語った。

 

 奇跡の復活を遂げたゴードンは、自らのランでパナソニックに雪辱を果たす決意だ。

 

 並々ならぬ意気込みのゴードンを迎え撃つパナソニックは、3節終了時点で2試合完封の強力守備を持つ。しかもラン守備は3試合合計で僅か119ヤードしか前進を許していない。

 

富士通RB29ジーノ・ゴードン(ハーバード大)

■僅差必至の好カード

IBMとLIXILのメンタルな戦い

 

 前半戦2勝1敗の3チームも、JXBトーナメント進出を確実なものとするためには1つでも多く勝ち星を重ねる必要がある。中でも好ゲームが期待できるのは10月9日に行われるIBMビッグブルー対LIXILディアーズの一戦だ。

 

 春季パールボウルでは21対20の僅差でIBMが勝利しているが、IBMは前半を優位に進めながら、試合終盤にLIXILに追い上げられて1点差に詰め寄られた内容だった。

 

 今季のIBMはエースQBケビン・クラフト(UCLA)が負傷のため攻撃コーディネーター役に徹し、カレッジ日本代表の新人QB政本悠紀(早稲田大)を先発起用。RB末吉智一(早稲田大)、RB高木稜(京都大)のランを軸に、勝負所でパールボウルMVPのWR栗原嵩(法政大)へのパスと、政本の走力を絡める攻撃スタイルで戦っている。

 

 大きな変化はメンタルな浮き沈みが少なくなったことだ。これまでのIBMは、爆発的な得点力を発揮する反面で、競った展開になると自滅する傾向が強かった。しかし、初戦の富士通戦では敗れたとはいえ、4Q中盤に19点差をつけられたところから、2TDを連取して5点差に迫り、すでに楽勝ムードが漂っていた富士通が肝を冷やした。

 

 第3節のアサヒビール戦は、4Q中盤に27対27の同点に追いつかれながら、浮足立つことなくRB高木の決勝37ヤードTDランを決めて勝ちきった。

 

「パールボウルで対戦したLIXILは一喜一憂しないチームでした。今季はLIXILのように浮き沈みのないチームを目指しています」

 IBMの主将DB中谷祥吾(関西大)は、チーム作りにおいてLIXILのメンタルな取り組みを手本としていることを明かした。

 

 LIXILはターンオーバーを量産する守備でチャンスを作る戦い方に磨きをかけている。

 

 延長タイブレークの末に勝利した第2節のノジマ相模原では4インターセプト(タイブレークを含む)を奪取。13対27で敗れた第3節のオービック戦は、WR木下典明(立命館大)に2つのキックオフリターンTDを許したことが直接的な敗因となったが、攻守の戦いは互角だった。特に守備はDB矢野秀俊(日本大)と、DB脇圭佑(立命館大)がいずれもオービックのTDを阻止するインターセプトを奪っている。

 

 LIXILの森清之ヘッドコーチは、「負けたからといって自分たちが弱くなったわけではないし、もし、勝ったとしても強くなったわけではない」と、オービックに敗れた直後のハドルで選手たちにやるべきことをしっかりと積み重ねることを促していた。

 

 接戦が予想されるIBMとLIXILの一戦は、メンタルな強さが勝敗を左右する戦いになりそうだ。

IBM RB21高木稜(京都大)

■JXBトーナメントへのサバイバル戦

ノジマ相模原対アサヒビール

 

 前半戦を1勝2敗で折り返すことになった、ノジマ相模原ライズ、アサヒビールシルバースター、アサヒ飲料クラブチャレンジャーズの3チームにとっては、ひとつも落とせない戦いが続く。

 

 10月9日、共に1勝同士のノジマ相模原とアサヒビールの一戦は『サバイバル戦』の第一ラウンドだ。

 

 ノジマ相模原はオービックに1点差、LIXILに同点延長タイブレーク戦の末に敗戦と、紙一重の戦いを落としてきた。しかし、開幕前に話題をさらったQBデビン・ガードナーとWRジェレミー・ギャロンのミシガン大コンビは、さすがの存在感を発揮している。

 

 3試合合計でパス91投58回成功812ヤード4TD5被INT、ラン34回206ヤード3TDを記録しているガードナーは、チームが獲得した総獲得距離(1192ヤード)の85パーセント以上を稼ぎ出している。また、24捕球298ヤード4TDのギャロンはパス獲得距離(854ヤード)の35パーセントを担っている。

 

 徹底的なマークを受けながらこれだけの結果を残していることは二人の実力が飛び抜けていることを証明している。一方で、彼らに偏重しているが故に、対戦守備にとっては的を絞りやすくなってしまい、勝負所で勝ちきれない原因になっているという見方もできる。

 

 レシーバー陣随一のスピードを生かし、初戦からガードナーのターゲットの一人として活躍しているWR出島崇秀(久留米大)、「常にハドルにいてほしい」と、ガードナーが信頼をよせるTE吉田武蔵(日大)らが、攻撃の幅を広げるキーパーソンになりそうだ。

 

 富士通に7対20、IBMに27対34と競り負けたアサヒビールだが、勝機を見出す戦いはできている。昨年はQBメイソン・ミルズ(サンディエゴ大)のパスに頼り切っていた攻撃は、2年目RB柳澤拓弥(拓殖大)の活躍によりバランスがとれてきた。また、DBのエースであるCB茂木雅人(国士舘大)とギャロンのマッチアップは、注目ポイントの一つだ。

 

ノジマ相模原QB98デビン・ガードナー(ミシガン大)

■ワイルドカード進出を狙う

オール三菱の挑戦

 

 ワイルドカード(WC)進出2枠を争うBattle9も熾烈な戦いが繰り広げられている。3節終了時点でオール三菱ライオンズ、東京ガスクリエイターズ、アズワンブラックイーグルスが2勝1敗の首位グループを形成しているが、勝ち星が同じで直接対決がない場合は、対戦チームの勝ち星の合計、勝利した相手の勝ち星の合計で順位が決定するため、第3節終了時点で残り3試合の対戦相手の勝ち星を換算すると、オール三菱がトップになっている。

 

 昨年までのリーグ戦方式において10位決定戦として行われていた、『バトルファイナル』を3年連続で制しているオール三菱にとって、10月1日のエレコム神戸ファイニーズ戦は、『仮想WC』の意味合いを持つ一戦になるだろう。

 

 QB谷口翔真(立命館大)、斎藤圭(関学大)と学生時代に甲子園ボウル優勝を経験した2人を筆頭に、各ポジションに学生時代の有名選手を揃えるオール三菱は、ここ数年、学生時代の貯金ではなく、Xリーグで成長して上位陣に対抗できるチームを目指して練習や選手個々の取り組みの見直しを行ってきた。

 

 攻撃は鈴木康裕(法政大)、小形亮介(明治大)、萩原誠人(中央大)、小嶋拓也(中央大)とRBのタレントが充実。守備はDL宮田直人(日本大)、LB柳龍太郎(明治大)ら、2年目の若手が好調。また、勝負どころでDL長島義明(関学大)のビッグプレーも光っている。

 

 エレコム神戸は第5節に富士通、第6節にオービックと、後半戦のスケジュール強度が高い。また、勝敗が同率になった場合、勝ち星を多く持っているBattle9上位のオール三菱に勝利することは優位に働く要素になる。

 エレコム神戸にとってもオール三菱戦は絶対に落とせない一戦だ。

 

 

 

オール三菱QB15谷口翔真(立命館大)

■第4節の注目カード

10月1日(土)  パナソニックインパルス×富士通フロンティアーズ    EXPO FLASH FIELD

10月1日(土)  エレコム神戸ファイニーズ×オール三菱ライオンズ    EXPO FLASH FIELD

10月9日(日)  IBMビッグブルー×LIXILディアーズ          富士通スタジアム川崎

10月9日(日)  ノジマ相模原ライズ×アサヒビールシルバースター    富士通スタジアム川崎