「パラカヌー」ってどんなスポーツ?

簡単に言うと…

カヌーは、1930年に第1回世界選手権大会が行われ、1936年のベルリン大会でオリンピックの正式競技となった。一方パラカヌーの歴史はまだ新しく、2010年に第1回世界選手権大会が開催され、前回のリオ大会から正式にパラリンピックに採用された。

パラカヌーは主に下肢に障がいのある選手たちが参加するスポーツだが、カヌーは上半身でパドルと呼ばれる櫂(かい)を漕いで前に進むため、オリンピックの選手と同じく迫力のある試合が展開される。

パラリンピック競技に採用されたことから、世界的に競技人口が増加している、注目のスポーツだ。

一般のカヌーと何が違うの?
(写真はリオ2016パラリンピック)ⓒGetty Images Sport

カヌーに乗って、ゴールに到着するまでのスピードを競うという点はオリンピックのカヌーと同じ。ただし、オリンピックは流れのないスプリントコースと、激流を下るスローラムコースがあるのに対して、パラカヌーはスプリントの200mコースのみ。また、異なる艇とパドルを使用する「カヤック」と「ヴァ―」はそれぞれ障がいの程度によって下記の3つにクラス分かれている。

パラカヌー のクラス分け※パラカヌーのクラス早わかりはこちら https://www.parasapo.tokyo/sports/canoe

そしてオリンピックのカヌーとの最大の違いは、ルールの範囲内で、カヌーのシートやコックピットの内部を改造できるということ。

たとえば、胴体が動かせないL1クラスの選手の場合は、背もたれのついたシートの使用が認められている。また、体幹バランスをとるのが難しい選手は、自身の力を最大限発揮できるように、シートの素材や形状などを工夫している。こうした創意工夫は、一般のカヌーでは見ることができない面白い点だ。

ココに注目!観戦が面白くなるポイントは?
(写真はリオ2016パラリンピック)ⓒGetty Images Sport
①なんといっても、そのスピード感!

水上に一直線に並んだカヌーが一斉にスタートし、水しぶきを上げて、水上をすべるように進んでいく姿は圧巻。特にゴール前で繰り広げられる0.1秒を争うデッドヒートは迫力満点だ。障がいが比較的軽いクラスの選手になると、時速約18㎞のスピードが出る。つまり、200mのコースを約40秒という、まったく障がいを感じさせない速さで進んでいくのだ。このように、障がいのあるなしにかかわらず、圧巻のスピードで観客席の目の前を通り抜けていくため、カヌー競技は水上のF1と言われている。

②華麗なパドルさばき

パラカヌーで使用される艇の種類は2種類。一般的なカヤックの他、今大会の2020年東京パラリンピックから新たに採用されることになったヴァーという、艇の片側にだけアウトリガー(浮力体)がついたもの。ヴァ―は安定性は高いが、通常のカヤックとは違い、片側にだけ水をとらえるブレードがついたパドルを使って左右どちらか片側だけを漕ぐので、直進するのがより難しくなる。そこで選手は水中でパドルをまっすぐに押して、最後に外側に押し出すようにする特殊な漕ぎ方をする。その際、パドルの先の動きがアルファベットの「J」の字のように見えることから、この漕ぎ方は「Jストローク」と呼ばれる。スピードを保ちながら、コースから外れないように直進する高い技術に、ぜひ注目して欲しい。

(写真は、江東区旧中川での練習風景)ⓒX-1
③選手同士の駆け引き

コースはたった200mの短距離だが、体格や漕ぎ方によりスタートダッシュが得意な選手もいれば、途中からじわじわと他の選手を追い上げる選手、最後にラストスパートをかける選手もいる。どの選手がどんなスタイルでレースを展開するかを見るのも観戦の醍醐味のひとつとなっている。

東京パラリンピックもパラカヌーに注目!
(写真はリオ2016パラリンピック)ⓒGetty Images Sport

パラカヌーは、パラリンピックの種目に採用されてから、障がいのある人の競技人口が徐々に増えている。日本では、高校2年生からパラカヌー選手として世界を目指し、競技歴わずか1年で世界選手権初出場、そして2年目にはパラカヌーとして日本選手初のパラリンピック出場を果たした瀬立モニカ選手に注目が集まっている。水しぶきをあげて、水上をすべるように駆け抜ける選手たちの熱い攻防に声援を送ろう!

text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)

photo by Getty Images Sport