第44回全日本競歩能美大会 兼 Asian 20km Race Walking Championships in NOMI 2020

兼 東京2020オリンピック日本代表選手選考競技会 

併催 第14回日本学生 20km競歩選手権大会


3月15日(日)日本陸上競技連盟公認能美市営20kmコース(往復1.0km)


全日本男子20km

1位 池田  1:18'22   ※東京五輪内定

9位 長山  1:23'08

10位 成岡  1:23'08

15位 野村  1:27'43


学生男子20km

1位 池田  1:18'22   

5位 長山  1:23'08

6位 成岡  1:23'08

11位 野村  1:27'43


全日本女子20km

18位 竹中  1:46'30


学生女子20km

8位 竹中  1:46'30


優勝により東京五輪内定を決めた池田

池田は終始冷静なレースを見せた

離れても再び追い付く粘り強さを見せた長山

成岡は反復練習を繰り返し力を付けた

表彰では笑顔も見せた

長山(左)は5位、成岡が6位に入賞を果たした


 石川県能美市にて第44回全日本競歩能美大会(以下、能美競歩)が開催された。東京五輪の最終選考レースとなった今大会。池田(済3=浜松日体)が終始冷静な歩きを見せ1位でフィニッシュし念願の五輪代表権を獲得した。また、長山(済2=埼玉栄)、成岡(工3=伊賀白鳳)がそれぞれ学生5位、6位と入賞。東洋大競歩ブロックの勢いは止まらない。


 スタートの号砲がなると、池田は7名から成る先頭集団の中央に位置付ける。最初にレースが動いたのは10km過ぎ。1kmのラップタイムが3分48秒というペースアップにより、先頭は鈴木(富士通)、高橋(富士通)、池田の3人に絞られた。その後、16km過ぎに鈴木が遅れ、池田と高橋の一騎打ちとなる。どちらか優勝した方が代表内定となる緊迫した状況のなか「少しずつペースアップすることができた」と池田は高橋との駆け引きにも冷静に対応した。残り1周で高橋が遅れ始め、最後の折り返しを通過しラスト200mで勝利を確信したという池田。優勝のゴールテープを切り、念願の東京五輪代表に内定した。


 フォームで注意を受けることが多かったという成岡は、反復練習を繰り返す段階的な練習を続けてきた。「学生のなかで入賞を狙っていく」と長山とともに集団でレースを進める。苦しい表情になっても「支えてくれた人達に感謝の気持ちを結果で表す」と粘り、6位入賞を果たした。高校時代には同学年である池田、川野(総3=御殿場南)に先着するも、大学では思うような結果を残せずにいた成岡。酒井瑞穂コーチは「ずっと苦労をしてきた。入賞してくれてうれしい」と手応えを見せた。一方長山は過去の集団から離れてしまうという反省から「集団に位置してレースを進める」と意気込みレースに臨んだ。一時は集団から離れるも「チャンスを無駄にしたくなかった」と後ろから来た選手に付き集団に復帰し5位でゴール。今大会で得た経験を糧に攻めの歩きを目指す。


 池田は先月の第103回日本陸上競技選手権大会(以下、神戸競歩)を終えてから、能美競歩で優勝するためにリラックスした状態でもスピードを上げる練習を行ってきた。以前はつらくなると表情筋に力が入り、動きが固くなってしまったという。しかし今回は「表情もリラックスしていて、勝負に徹するようなフォームだった」と酒井コーチは話す。ペース変動にも瞬時に対応する冷静さを備えながら、「絶対に負けない」と強い意志を持ち冷静にレースを進めることができたことが勝利への要因となったに違いない。東京五輪へ向け「世界レベルへ近づけられるように準備していきたい」と池田は意気込む。昨年50kmで五輪代表となった川野とともに挑む夏。新たな歴史が刻まれる瞬間まで目が離せない。


■コメント

・酒井瑞穂コーチ

池田のレースは練習をやっている成果が出て良かった。優勝を目指すために本人がすごく練習を頑張ってやってきたので、それが最高の形で結果が出て良かった。(試合前に掛けた言葉は)ペースの上げ下げが想定された。どんなペースになっても心を乱さずに、冷静に、体だけは反応するようになレースをする。ここまでやってきたことに自信を持つようにと話した。レース中には練習を思い出そうと。今までは辛くなるとすぐ表情筋に力が入ってしまい、それと共に腕振りが固くなったり、動きが全体的に固くなってペースダウンしてしまう。しかし今日は表情もリラックスして、勝負に徹するようなフォームだった。すごく良かったと思っている。(2月の神戸競歩からここまでどのような練習をきてきたか)最後の切り替えのためのスピード練習を入れた。(東京五輪が決まって)世界陸上や神戸と選考レースが続き、ここに至るまでが長かった。でもずっと一緒に戦ってきた高橋英輝選手(富士通)と一緒に代表が世界陸上と同じメンバーになったので、池田にもその一員として頑張ってもらいたい。(川野選手と池田選手ともに代表となったが)両方に出られるというのはすごいこと。2人の努力を称えたい。(これから池田選手とどのような練習をしていくのか)ぼんやりだが決まっている。あとはこれから煮詰めて、相談しながらやっていきたい。(成岡選手、長山選手、野村選手にかんしては)成岡は池田と川野と同じ学年。インターハイでは先着している。でもずっと結果が出なくて、大きな大会での入賞もなかった。ずっと苦労をしてきたので、今回入賞してくれて本当にうれしい。フォームもなかなか修正ができなくて注意を受けやすかった。今回は動きも修正できて、高いレベルの練習ができたのですごく良かった。長山にかんしても今日は途中で離れてしまったがそこから追い上げて5位だった。それがこれまでの長山のレースではなかったのですごく成長したなと感じた。野村は警告が1枚で収まった部分はあるがまだ成長段階。長山、成岡がなかなか入賞出来なかったのと同じで野村もそういう時期だよというのは話した。しかしちゃんと信じてやっていれば必ず結果は出るから頑張ろうと声を掛けた。(次年度の競歩ブロックとしての目標は)次のこの大会では全員入賞したい。また新入生も入ってきた。新入生は開催されるか分からないが世界ジュニアの切符を取ること。池田と川野は東京五輪へ向けてしっかり結果を出せるように練習をやっていきたいと思う。


・池田(済3=浜松日体)

今回は最後の東京五輪の選考レース。五輪内定を1番の目標にしていた。今回こうして優勝して五輪内定を獲得することができ本当に良かった。今回はどちらかというと余裕をもった。レースをつくるというよりかは先輩方の力を借りつつやっていこうと。リラックスして落ち着いてやっていこうと思っていた。その結果終盤になるまで気持ち、体の面で余裕をもってレースに挑めた。10km過ぎにペースが上がったがそこにも瞬時に対応することができた。また、ラスト4kmで英輝さんと横並びになった。少しずつ後ろが離れていくのが分かった。2人でどんどん上げていこうという視線を感じた。最後は気持ちの勝負だと思った。気持ちでは絶対に負けないんだとラスト1km少しずつペースアップするというイメージで最後離れたかなと思う。(レース前の心境は)アップをした段階でも普段通りしっかり動いた。「あとは落ち着いてレースに臨むだけだと思っていた。準備はできているし、体の状態も良いからあとは気持ちだけだ」と監督、コーチから言っていただいた。強い気持ちでいく事ができた。(東洋大から3大会連続の出場だが)入学当初は全然力がなかった。マネジャー兼選手という形で入学させていただいた。それでも東洋大の競歩は世界へ挑戦。五輪、世界選手権といった大きな大会に出るという高い意識のある、伝統のある大学。自分もそういったところに挑戦したいという思いで入学した。強い先輩方がいたからこうやって少しずつ力を上げられた。また毎日のようにコーチに指導していただき、自分もどんどん成長できたと実感している。今回ロンドンの西塔選手、リオの松永選手、そして東京の男子50km競歩で3大会連続で東洋大現役として選出された、そして自分もその伝統を受け継ぐことができて本当に良かった。入学当初から同級生の川野と2人で目標にしていた。川野が先に決めてくれて自分もその後に続くことができ、2人とも決めることが出来て本当に良かった。(勝負所は)ラスト4km。少しずつ先頭集団がバラけ初めて、自分が前に出る形になった。少しずつペースアップすることができた。そこがかぎになった。今回のレースで勝ちを確信できたのは最後の折り返し、ラスト200mくらい。後ろの英輝さんとの差が離れていると確認できた。狙っていたというよりかはレース展開に対応して結果的にそういう形になった。(高橋選手の威圧は)英輝さんがずっと後ろに付かれていたので気配は感じていた。どこで英輝さんが出るのか、それについても準備していなければいけない、ラスト勝負になっても絶対に負けないんだと強い気持ちで行かなければいけないと。最後は本当に攻める気持ちで行こうと思った。しかし自分もそこが力不足で一気に行ききる力がなかった。でも今回はひとつひとつのレースの経験として、対応しつつ、準備しつつ、少しずつスパート出来たことは今までやってきた事がだせたかなと思っている。英輝さんがラストどのくらいの速さで行くのかはある意味恐怖に感じていたところもあった。そこに絶対負けない、食らいつくんだと思って、半分準備、半分自分でこのままいくとどちらでも対応できるようにしていた。(神戸競歩からどのような練習をしてきたか)まずはしっかりと疲労を抜いてもう一度つくりなおすというが大事だった。まずは疲労を抜くというのを第一に考えつつ、リラックスした状態でもスピードを上げられるような練習をしてきた。(川野選手からメッセージは)川野選手からは早朝に東洋大4人へ向けて「頑張ってくれ」とメッセージをくれた。自分達も一緒に練習している仲間でありライバルなので本当に川野の思いを受け取って頑張ろうという気持ちで臨んだ。川野が先に決めてくれた。川野のレースを見ていて、自分には足りないところが川野にはあって、そこで川野は決めたのかなと。それが思い切りのレース。自分にはそれが足りなかったと感じた。そこから少しずつ自分の殻を破って、今までやってこなかったスタミナの練習など、取り入れてこなかったものを入れて力を付けてこれた。川野が決めてくれたことによってプレッシャーになったというよりかはプラスになったものがある。東洋大として3大会連続出場を先に決めてくれたので気持ち的にも楽になった。あとは自分がのびのびとできるように川野も後押ししてくれた。本当に感謝している。(今年度を振り返って)良い思いもしたし悔しいもした1年。本当に競技にずっと向き合えた。大きなけがなく継続してこれたことが五輪につながった。(東京五輪へ向けて)先日の日本選手権で優勝されて世界選手権で金メダルを取られた山西さんとの差はあると感じている。今の現状で金メダル目標とは正直言いきれない。それでも東京五輪迎えるまでに差を埋めて、東京五輪金メダルと言えるように準備していきたい。五輪までまだ期間があるのでそこまでに世界との差を埋めるためにも1日1日を大切にして少しでも世界のレベルに近づけられるように準備していきたい。


・成岡(工3=伊賀白鳳)

まずはこのように新型コロナウイルスの影響でレースが立て続けに中止しているなかでこうして出場できることに感謝したい。まずは学生のなかで入賞を狙っていくというプラン。そのなかでも集団のなかで最後まで粘りきるというレース展開。6位入賞で上手く結びついたと思う。(レース中は)今回このレースを迎えるに当たって、コーチとそれぞれ目標を相談させていただいて練習内容を立てていただいている。そのなかで今回この学生選手権ひとつに絞って練習に臨んだ。いくつか練習内容を決めて反復する形でやってきた。ひとつできたら次の段階にあげた。そのような反復練習を繰り返したことによって段階を踏んだ練習ができるようになって6位入賞につながった思う。レースのなかでもきつくなったときにこの3年間は色々な方に支えていただいた。その人たちのためにも感謝の気持ちを結果で表すことが自分たちができる最高の恩返しだと思う。そのことを苦しくなった時にこそ感謝の気持ちをもって頑張った。(6位入賞という結果について)段階を踏んだ練習を続けてきたことによって結果として結びつくことができた。自分たち競歩ブロックから長距離、駅伝部の人たちにも影響を与えるようなレースというのが東洋大競歩として影響を与えることができたと思う。引き続きインカレ等大きな大会があると思う。競歩ブロックが結果を残して長距離ブロックに良い雰囲気、影響を与えられるようにしていけたら良い。(今年度を振り返って)今年度は関東インカレに初出場させていただいたり、色々な大会に出場し経験できた。しかし結果を残すことが出来ず悔しい思いが続いていた。そんななかでも監督や奥さんを初め、色々生活面から練習面でご指導いただいた。振り返って見ると大きく成長できたなと思う。来年度からは4年生、最上級生としてしっかり下級生を引っ張っていけるような行動と立ち振る舞いをやっていけたらなと思う。


・長山(済2=埼玉栄)

まずは4分5秒ペースで一定でいくというのが第一。次に毎回自分は集団から離れてしまうレースが多かったので集団に位置してレースを進めていくというのがレースプランだった。結局集団から途中離れてしまい1人になることがあった。そのあと何とか後ろからきた選手についてまた前の選手を捉えていくというレースができた。ずっと1人にならなかったという点では良かった。(一度離れて再び追いついた時にどんなことを考えていたか)後ろから来た選手に付けずに離れてしまったらどんどん落ちていくだけだなると思っていた。最初離れてしまったので次のチャンスを無駄にしたくなかった。ここで付くしかないと考えていた。(5位入賞について)最低限入賞というのはあったのでその点では良かった。しかしタイム的にはあまり良くなかった。もっと上を狙いたかった。満足はしていない。(高畠でも成岡選手と同着だったが)成岡選手を意識していた。ラスト争うとは思っていなかった。ただ、高畠で競り負けてしまったので今回は負けられないなと思っていた。(今回見つけた課題は)集団で歩くという点で、集団に位置していると自分の辛いときにペースがあがったり落ちたりペース変動が大きい。いつでも対応できるような力を付けて行きたい。(来年度へ向けて)ひとつ学年が上がって後輩もできる。後輩には絶対に負けられない。上級生として恥ずかしくない攻めの歩きをしていきたい。


TEXT/PHOTO=長枝萌華