サービス・ブレークは昔とは違う。過去29年間の選手たちのブレークについてのInfosys ATP Beyond The Numbersの分析によると、直近のシーズン(2019年)と記録上最も古いシーズン(1991年)のデータは、統計表上の総…
サービス・ブレークは昔とは違う。
過去29年間の選手たちのブレークについてのInfosys ATP Beyond The Numbersの分析によると、直近のシーズン(2019年)と記録上最も古いシーズン(1991年)のデータは、統計表上の総合結果で両極に位置し、しかも大方の予想を裏切る形でだ。
統計データが保存され始めた1991年から昨シーズンまでの各シーズンで、相手のサービスゲームをブレークするという点から見たトップ20選手の平均のデータがある。1991年のトップ20選手は、その後の28シーズンいずれのトップ選手たちより成績がよく、平均で32.18%(4309/13392)の割合でブレークに成功していた。
一番成績の悪いシーズンはいつだったかというと、他でもない昨シーズンで、トップ20選手は26.19%(3769/14315)しかブレークに成功しなかった。我々はテニスが常に向上し、常に前年より優れた統計上の数字を叩き出していると思い込んでいるが、いつもそうというわけではないのだ。実際、最も成績の良い6シーズンはすべて1990年代で、最も成績の悪い7シーズンは全て2010年以降であった。
1シーズン中に特定の選手が40%以上のブレークに成功した例は1件しかない。それは2016年のラファエル・ナダル(スペイン)だ。驚くべきことに、このシーズン中、ナダルはリターンゲームの40.75%(216/530)を勝ち取った。ナダルは2005年を皮切りにリターンゲーム勝率のシーズントップに9度君臨しており、これは最多記録である。最近2シーズンのリターンゲーム勝率トップ選手でもあり、直近7シーズンのうち5シーズンでトップに輝いている。
2016年、ナダルは15-0のスコアからブレークに成功した割合が男子テニス選手の中で最高だった。ナダルはこの条件に合致した事例のうち27.13%(70/258)のゲームを勝ち取ったが、この数字は全選手平均である13.49%(2891/21435)の倍以上である。これはもちろんナダルが頂点に立つリターンゲーム関連の統計値の一つに過ぎない。彼は10年を優に超える長きにわたり、サーブを打つ相手選手にとっての究極の難敵であり続けてきた。
1990年代のブレーク率トップ20の選手たちの方が、近年の選手たちよりも成績が良かったが、ナダルは年度や世代を超越している。他の選手たちがとても対抗できないような割合でブレークに成功し、一貫してトップに君臨しているのだ。
<1991年から2019年のブレーク率トップ20選手の平均ブレーク率>
年度:トップ20選手の平均ブレーク率/シーズントップ選手/トップ選手のブレーク率
1991年度:32.18%/マグナス・グスタフソン(スウェーデン)/36.48%
1994年度:31.79%/アルベルト・ベラサテギ(スペイン)/36.83%
1995年度:31.68%/トーマス・ムスター(オーストリア)/35.92%
1992年度:31.28%/マイケル・チャン(アメリカ)/36.70%
1993年度:31.27%/アンドレ・アガシ(アメリカ)/37.34%
1996年度:30.85%/マイケル・チャン/35.28%
2003年度:30.44%/ギジェルモ・コリア(アルゼンチン)/38.83%
2005年度:30.33%/ラファエル・ナダル/37.54%
1998年度:29.89%/カロル・クチェラ(スロバキア)/33.51%
2006年度:29.67%/ニコライ・ダビデンコ(ロシア)/35.41%
1997年度:29.48%/アレックス・コレチャ(スペイン)/33.42%
2011年度:29.36%/ノバク・ジョコビッチ(セルビア)/38.84%
1999年度:29.27%/アンドレ・アガシ/33.83%
2004年度:29.26%/フィリッポ・ボランドリ(イタリア)/37.46%
2001年度:28.98%/レイトン・ヒューイット(オーストラリア)/33.48%
2002年度:28.94%/レイトン・ヒューイット/33.06%
2007年度:28.92%/ダビド・フェレール(スペイン)/36.09%
2016年度:28.57%/ラファエル・ナダル/40.75%
2012年度:28.26%/ラファエル・ナダル/37.70%
2000年度:28.15%/カロル・クチェラ/31.55%
2009年度:27.80%/ラファエル・ナダル/33.56%
2008年度:27.80%/ラファエル・ナダル/33.49%
2013年度:27.45%/ラファエル・ナダル/33.84%
2010年度:27.35%/フアン イグナシオ・チェラ(アルゼンチン)/32.22%
2018年度:27.01%/ラファエル・ナダル/36.55%
2014年度:26.57%/ラファエル・ナダル/34.97%
2017年度:26.57%/ディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)/34.76%
2015年度:26.46%/ノバク・ジョコビッチ/34.44%
2019年度:26.19%/ラファエル・ナダル/34.97%
相手のサービスゲームでデュースに持ち込むだけでも簡単なことではない。これらの選手は、デュースに持ち込み先へつなげるための長い戦いの後、さらに踏み込んでブレークを達成するのにかけては、まさに至高の選手たちなのだ。
※写真は2020年「ATP500アカプルコ」でのナダル
(Photo by Hector Vivas/Getty Images)
翻訳ニュース/ATPTour.com