「我々は戦う準備ができている。それはすでにファーストレグでも証明した。セカンドレグも正面からぶつかり合うだけだ」 ア…

「我々は戦う準備ができている。それはすでにファーストレグでも証明した。セカンドレグも正面からぶつかり合うだけだ」

 アトレティコ・マドリードのブラジル代表DFフェリペは言う。

 3月11日のチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦の第2戦、アトレティコは敵地アンフィールドで欧州王者リバプールと激突する。第1戦は本拠地で1-0と先勝。引き分け以上、もしくは負けてもアウェーゴール次第で勝ち上がりが決まる状況だ。

 ディエゴ・シメオネ監督率いるアトレティコは、リバプールを打倒できるのか?



ケガから復帰し、セビージャ戦でゴールを決めたジョアン・フェリックス(アトレティコ・マドリード)

 アトレティコを指揮して9年目のシメオネは強固な戦闘集団を作り上げてきた。DF、MF、FWと各ラインが密接に連係し、スペースを与えない。ひとりひとりのボールに対する寄せはすさまじく、攻守の切り替えで凌駕する。局地戦での勝利を大局につなげてきた。

 その堅牢さは、ほとんど伝統になっている。守備芸術とでも言えるだろうか。今シーズン加わったフェリペは”土壌”に触発されるように、世界屈指のディフェンスを見せる。そして最後の番人として立ちはだかるスロベニア代表GKヤン・オブラクは、まさに鉄壁だ。

「最高の状態で戦う必要があるのがアトレティコというチーム。彼らはプレゼントをくれない。徹頭徹尾、戦い抜けない限り、勝機はないだろう」

 リバプールの名将ユルゲン・クロップは、第1戦で敗れたあとに振り返っている。この試合、リバプールは難攻不落の城を前に立ち往生するように、攻めあぐねた。アトレティコはセットプレーの飛び道具で多くの得点パターンを持っている。リバプールはそれで先手を取られ、厳しい戦況となった。総力戦で攻めたくとも、カウンターの怖さがあってブレーキがかかった。

 アトレティコの堅守はひとつの鍵になるだろう。

 もっとも、アトレティコ陣営は「守り切るだけでは勝てない」と踏んでいる。事実、昨シーズンのCL決勝トーナメント1回戦では、ユベントスに第1戦で2-0と先勝しながら、第2戦は0-3で敗れ、大会から姿を消した。アウェーゴールを奪う攻撃力がないと、勝ち上がれない。

 アルゼンチン人指揮官シメオネは今シーズン、攻撃の比重を高めてきた。キーラン・トリッピアー、レナン・ロディの両サイドバックは高い位置を取り、コケ、サウール・ニゲスの中盤が攻撃に厚みを加え、ジョアン・フェリックス、アルバロ・モラタが仕上げる。

 週末のセビージャ戦では、21本ものシュートを放った。

「たしかに序盤は困難な時期があった。しかし、我々は常に前を向いて戦うことを考えてきた。今はいい戦いができている」

 アトレティコひと筋のキャプテン、コケは手応えを語る。

 第1戦はケガで離脱を余儀なくされていたジョアン・フェリックス、トリッピアー、ジエゴ・コスタが戦列に戻っているのも朗報だろう(ただ、前々日練習でチーム最多得点のモラタが筋肉系の違和感で全体練習に参加しなかった)。ベンチに切り札を置いた状態で戦える。アウェーゴールが必要になる可能性は高い。

 リバプールはアトレティコに黒星を喫するまで、無敗を続けてきたが、最近はリーグ戦でワトフォード、FAカップでチェルシーに敗れ、盤石ではない。アトレティコとの第1戦ではオブラクを脅かすシュートは打てず、獰猛な攻撃力は影をひそめた。ただし、前節のリーグ戦はサディオ・マネ、モハメド・サラーのダブルエースの得点でボーンマウスに勝利。やはり欧州王者の称号は伊達ではない。

「美しく、苦しむ試合になるだろう。最後はディテールの差が勝負を決める。我々は得点を取りにいかなければならない。差は小さく、勝利が必要だ」

 第1戦で決勝点を決めたサウールは言う。守りに入れば勢いに飲み込まれる。それは全員が肝に銘じているはずだ。

 勝利のキーマンは、ジョアン・フェリックスだろうか。セビージャ戦も、GKとの1対1を確実に決めるフィニッシュ精度の高さを見せた。前線でボールを持てば、ディフェンスの裏を取るプレーで好機を作り出せるファンタジスタだ。

 伏兵として期待されるのは、アルゼンチン代表FWアンヘル・コレア。シメオネイズムの体現者のような選手で、小柄だがエネルギッシュに動き、前線をかき回す。遊撃隊長の如く腹背を突く仕掛けが、リバプールに致命傷を与えるのではないか――。

 闘将シメオネは戦いの熱を高める。鍛えられた選手たちは、それに呼応する。アンフィールドには、3000人近いアトレティコサポーターが押し寄せるという。