DeNAが今季、球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。23、24日には2位巨人に2連勝を飾り、2試合を残して1.5ゲーム差。巨人は5試合を残しており、DeNAには2位浮上の可能性も残されている。■初CS決定で2位浮上も視野…

DeNAが今季、球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。23、24日には2位巨人に2連勝を飾り、2試合を残して1.5ゲーム差。巨人は5試合を残しており、DeNAには2位浮上の可能性も残されている。

■初CS決定で2位浮上も視野、「去年までとの一番の違い」とは?

 DeNAが今季、球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。23、24日には2位巨人に2連勝を飾り、2試合を残して1.5ゲーム差。巨人は5試合を残しており、DeNAには2位浮上の可能性も残されている。

 昨季は首位で前半戦を終えながら、最下位で終戦。アレックス・ラミレス新監督に率いられた今季、チームは何が変わったのか。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーした野球解説者の野口寿浩氏は、攻守両面でキーマンとなった選手がいると指摘する。

 野口氏が最大の要因に挙げたのは「バッテリー」だ。「戸柱でしょう。キャッチャーが固定できた上に、本当にルーキーらしからぬ安定感を見せてくれた。去年までとの一番の違いは、間違いなくここです」。ドラフト4位ルーキーの戸柱恭孝捕手は今季ここまで123試合に出場。捕手を固定できないというチームの長年の悩みを解決した。

 開幕前には、ベンチから首脳陣が1球1球のサインを出すというニュースが話題となった。だが、実は戸柱は早々に“独り立ち”していたという。野口氏は「出してないと言ってましたね。4月末くらいの時点で、(バッテリコーチの)光山(英和)さんが『出してないよ。オープン戦の時は確かに出した時もあったけど』と言っていました」と明かす。戸柱はルーキーながら投手陣をしっかりリードしていたということになる。

「8月下旬くらいに、ちょっとリードに偏りを見せるようになってきた時もありました。やられたら止まらない状態だった。『インコース』とピッチャーとの話の中で決まったのかもしれないけど『それにしてもちょっと行き過ぎだろう』というくらい偏っていたことがあったんです。でも、その後はうまく散りばめてやっています。そうやって、どんどん勉強していけばいいんです。それでダメだと突っぱねるんじゃなくて、そういうことも、自分の血となり肉となり、とやっていけばいいんです」

■「桑原が1番で定着できたのがすごく大きかった」

 今季のDeNAは、先発投手が開幕から56試合連続で5回もたずに降板しなかったが、「戸柱の力は間違いなく大きい」と野口氏は力を込める。「ピッチャー陣から『すごく安心感を与えてくれる』という話も聞きました。『投げていて安心感がある』と話していました」。シーズンを通して成長を続けてきた正捕手は、来季以降に向けても希望の光となる。

 一方で、打線は4番の筒香嘉智外野手がここまで43本塁打、108打点と2冠に向けてまっしぐら。打率はリーグトップの巨人・坂本が.347と飛び抜けている中、筒香も.326でリーグ3位と好成績だ。野口氏も「本格化しましたね」と話すが、昨年から「筒香には3割、40本塁打、100打点を打つ能力がある」と明言していた。圧巻の活躍ではあるものの、この成績は想定の範囲内。キーマンとなったのは他の選手だと見ている。

「梶谷や石川が調子が上がらずに苦しんでいる中で、こうやって3位を勝ち取ったのは本当に大きいですよね。倉本は是非、3割を打ってほしいです。怪我でいなくなっている選手がいながら、代わりに出ている選手が頑張ったというところかなと。前半戦は梶谷が怪我をしている中、乙坂も良かったですよね。ただ、桑原が1番で定着できたのがすごく大きかったと思います」

 打のキーマンとなったのは、不動のリードオフマンを務めるようになった桑原将志外野手だという。ここまで131試合に出場し、打率.278、11本塁打、49打点。プロ5年目でキャリア最高の成績を残している。さらに注目すべき数字は得点圏打率。桑原の.370は、筒香の.394、阪神・高山の.379に次ぐリーグ3位だ。

「倉本が7番にいたり、戸柱が塁に出たりして、ピッチャーが送って、桑原が打つ、というパターンが多かったですよね。イメージとしては、(元横浜の)波留(敏夫)さんにかぶるんですよ。波瑠さんも泥臭くて、意外とパンチもあった。バッテリーの戸柱の存在プラス、桑原が1番に定着したのが大きかったかなと思います」

■CSでは“下克上“も? 「広島に勝てる可能性もある」

 ペナントレースは広島が圧倒的な強さを見せて優勝した。では、攻守でキーマンが台頭したDeNAがCSを勝ち抜き、日本シリーズに進むことは出来るのか。野口氏は、可能性はあると見ている。

「まだDeNAのCS進出が決まる前に、(ヤクルトの)真中監督と話している時に『カープを食うならどこだ?』と聞かれて、『DeNAかヤクルトでしょう』と答えたんです。DeNAとヤクルトがいい争いをして勝ち上がったら、その勢いにプラスして、チームのキャラクター的に(DeNAかヤクルトの)どっちかがカープに勝てる可能性もあるかなと。

 さらに、ピッチャーの力を考えると、DeNAの方が食う確率が高いかなと見ていたんです。DeNAのCS進出が決まって、巨人とファーストステージを戦って勝ったとすると、そこで勢いがついているから、広島に勝てる可能性もあるのではないかと」

 乗りやすいチームカラーを考えた場合、巨人を破ってファイナルステージに進めば、DeNAが広島を飲み込んでしまうかもしれない。もちろん、今季の広島の力を考えれば“下克上“は至難の業ではあるが、「もしかすると」と思わせてくれる爆発力が、DeNAにはある。

 快進撃はどこまで続くのか。CSでのさらなる進化にも注目が集まる。