主将として

 全日本大学女子選手権(インカレ)で2年連続の準優勝に終わった早大ア式蹴球部女子(ア女)。目標としていた『頂』には一歩届かなかったものの、「今まで立てていなかった西が丘のピッチに、チームの集大成となる試合で立てたことは嬉しかった」と高瀬はな(スポ=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)は振り返った。主将として、行動と姿勢でチームを1年間引っ張ってきた高瀬の軌跡を追う。

 3年までは決してレギュラーではなかった。試合には出場したりしなかったり。自分のことで精一杯で自然と視野が狭くなっていくなど、メンタル面の弱さを自覚していたという。転機となったのは昨年春。1学年上の先輩が引退し、主将に就任した。主将候補の選手はたくさんいたが、「自分自身が成長したい」という思いもあり手を挙げた。歴代の主将に比べて出場した試合数も少なければ、周囲に対して強くものを言える性格でもない。そんな高瀬は行動と姿勢でチームを引っ張っていくことを決めた。


プレースキッカーとして数多くのゴールをアシストした

  昨年までの主力が多数抜け、ゼロからのチーム作りとなったが、試合後のミーティングなどで「1つになって戦う」チーム作りを敢行。最初は意識的に行っていたミーティングが、次第に自然と選手集まり話すようになった。技術面ではラインコントロールやビルドアップに課題があったが、選手主体で考える練習の成果もあり徐々に改善。「本当に優しい」同期の選手とマネジャー、後輩とともに関東リーグ11連覇やインカレ準優勝など堂々たる結果を残した。高瀬自身も、心臓部ともいえるボランチで声を出し続け、年間を通してチームへの貢献を見せた。惜しくも敗退となったインカレ決勝の試合後には、涙する後輩の背中をさする高瀬の姿があった。

 

 卒業後は海外でのプレーを模索しているという高瀬。高校卒業時にもその選択肢があったが、「自分のメンタルではやっていけない」と、当時は断念した。しかし、今は違う。ア女で学んだ目標へ向かって努力を継続することの難しさや、主将として過ごした経験。それらを生かし、今度は日本とは違うスキルが求められる海外に挑戦する。

 「日本代表になる」ことにはあまり意欲がないという髙瀬に、これからの目標を聞くと、少し考えてから、「海外で活躍すること、ですね。向こう(欧州)にはチャンピオンズリーグがあるので、そういう大きな大会に出てみたい、というのは一応目標にしています」という答えが返ってきた。ア女での4年間戦い抜いた高瀬。彼女の中に『弱いメンタル』はもうなかった。

(記事 山崎航平、写真 永池隼人氏)