冷たい雨の中行われた第5回早大長距離競技会。多くの選手が元々この日に行われる予定だった日本学生ハーフマラソン選手権に照準を合わせていたが、新型コロナウイルスの影響で開催されなかったため、この競技会での1万メートルに出走した。その中でも千明…

 冷たい雨の中行われた第5回早大長距離競技会。多くの選手が元々この日に行われる予定だった日本学生ハーフマラソン選手権に照準を合わせていたが、新型コロナウイルスの影響で開催されなかったため、この競技会での1万メートルに出走した。その中でも千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)や井川龍人(スポ1=熊本・九州学院)らが、自己記録を更新。春のトラックシーズンへ向けて各自手応えと課題を得たレースとなった。

 1組目には、太田直希(スポ2=静岡・浜松日体)や安田博登(スポ1=千葉・市立船橋)らが出走した。太田直が400メートル72秒のペースで引っ張ると、その集団に付いたのは、河合陽平(スポ2=愛知・時習館)と安田だった。しかし、両選手は徐々に苦しい表情を浮かべ始めると、河合、次いで安田が離脱。安田は脱落後も先頭集団を見据え、粘ったが、最後までその距離は縮めることはできなかった。ラストは河合が安田をかわしこの組の学内トップでフィニッシュした。


中谷のペースメイクの下、自己記録を更新した千明

 その後行われた2組目には、中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)や千明などの主力選手が登場。ポイント練習という位置づけでペースメーカーの役割を担った中谷が5000メートル14分20秒のペースでけん引すると千明と井川はこれにつく。中盤、井川は少し集団と距離を置いたが、千明は躍動感のある走りで安定したペースを刻み続ける。最終盤、城西大の選手のペースアップには対応出来なかったが、中谷のサポートもあり最後まで絞り出す走りを見せた。一方、「自分のペースになったら動きがよくなってきた感じがあった」と語る井川はラスト200メートルから持ち味のスパートを発揮。両選手ともに自己記録を更新した。また小指卓也(スポ1=福島・学法石川)は向井悠介(スポ2=香川・小豆島中央)を引っ張るかたちでレースを進め、最後はプラン通りのスパート。小指も自己ベストを更新する結果となった。


井川は単独走になってからも粘りを見せ、自己記録を大幅に更新した

 多くの選手が、この日に行われる予定だったハーフマラソンの距離に照準を合わせていた中で、臨んだ今回の1万メートル。今回の記録はそれぞれの選手が見据える目標には達しておらず、満足はしているわけではない。しかし、ある程度の手応えは得ることができ、今後に生かせる結果となったようだ。冬が明け、トラックシーズンが始まろうとする中、関東学生対校選手権など各々がターゲットとする大会で躍動するために、さらなる研さんを積んでいく。

(記事 青山隼之介、写真 橋本和奏、布村果暖)

結果

▽男子1万メートル

1組

河合陽平(スポ2=愛知・時習館)30分52秒43(7着)自己新記録

安田博登(スポ1=千葉・市船橋)30分56秒39(8着)自己新記録

井上開登(法1=東京・早実)31分07秒38(11着)自己新記録

本郷諒(商3=岡山城東)31分28秒05(14着)

植田航太(人1=東京・早実)31分33秒22(15着)

白井航平(文構1=愛知・豊橋東)31分45秒59(16着)自己新記録

茂木凜平(スポ2=東京・早実)32分40秒04(17着)

森田将平(スポ3=広島・修道)途中棄権

太田直希(スポ2=静岡・浜松日体)途中棄権

黒田賢(スポ3=東京・早実)棄権

渕田拓臣(スポ3=京都・桂)棄権

佐藤皓星(人2=千葉・幕張総合)棄権

2組

中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)28分59秒86(2着)

千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)29分00秒57(3着)自己新記録

井川龍人(スポ1=熊本・九州学院)29分01秒31(4着)自己新記録

小指卓也(スポ1=福島・学法石川)29分42秒82(6着)自己新記録

向井悠介(スポ2=香川・小豆島中央)29分58秒31(8着)

半澤黎斗(スポ2=福島・学法石川)途中棄権

鈴木創士(スポ1=静岡・浜松日体)棄権

宍倉健浩(スポ3=東京・早実)棄権

コメント

千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)

――きょうのレースの位置付けを教えて下さい

立川がなくなってその代わりの大会で、ハーフの練習をしてきた中で1万メートルの自己ベストを狙うという大会でした。

――きょうのレースプランを教えて下さい

14分15秒くらいで5000メートルに入って、後半粘って28分40秒くらいを狙っていたんですけど、後半思うように動かなくて後半遅れてしまったのが課題だなと思いました。

――天候の悪い中でしたが影響はありましたか

最初の5000メートルは身体が動いたんですけど後半になって固まってしまった感じがあって、その中でも先頭だった城西大の人は28分50秒前後で入っているので、その選手に競り負けてしまったのが心残りではあります。

――きょうのレースで課題や収穫はありましたか

1万メートルで最初の5000メートルを14分20秒前後で入っていくレースが初めてだったので、そういったレースを今回経験できて、後半の5000メートルの落ち込みも今回経験することができたので、これから課題と向き合っていって最初突っ込んでいっても後半さらに上げていけるようなレースをできるようにしたいと思います。

――きょうのタイムはどのように評価しますか

あと1秒で29分切れたんですけど次回に取っておいて、次回は28分前半で走って中谷に肩を並べられるように頑張りたいと思います。

中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)

――2月16日以降はどのような練習を積んでいましたか

比較的量をメインにして練習をしてきました。

――今日脚の痛みなどはありましたか

水曜日の練習が終わってから左の脛に痛みがあって2日間ぐらい練習できないときがありましたが、昨日は痛みなく走れていて、この記録会にはいい状態で望めたと思います。

――今日はどのような経緯で出走しましたか

僕自身質の高いポイント練習がしたいなという思いがありましたし、どちらかというと量をメインでやっていきたかったのでこの1万メートルを練習の一環として使えればと思っていたので自分の練習とペースメーカーを兼ねるというかたちになりました。

――今日の走りを振り返っていかがですか

当初の予定では8000メートルで辞める予定だったんですけどせっかくなら最後までやりたいなということで監督と相談してラスト2000はキロ3分ペースで行く予定でした。しかし、千明もいいかたちで走っていて残りは声をかけながらサポートすることも出来たのでよかったかなと思います。

――第96回東京箱根間往復大学駅伝競走以降はいい状態を維持してるように見受けられますが、ご自身ではどのように感じていますか

昨年の経験があって、しっかりケアや治療に気を配ってやってきているので、それが少しずついいかたちで結びついているのかなと思います。

――今後、1万メートルと5000メートルではどちらで日本選手権標準記録を狙っていきますか

今後の前半シーズン、1万メートルは練習の機会以外ではもう走らないです。関東学生対抗選手権はまだ分からないですけど、これからは練習を積みつつスピードを強化して5000メートルで勝負していくというかたちになります。

井川龍人(スポ1=熊本・九州学院)

――本レースの位置付けは

今シーズン最初のレースということで28分台の自己ベストを狙って、いいスタートを切れるようにと考えていました。

――自己ベストを大幅更新されたと思いますが、元々の目標は

28分30秒あたりを狙っていました。

――実際に走ってみて、いかがでしたか

今回で1万メートル走ったのが2回目なのですが、前回より確実にいい動きというか、成長したなと感じることができました。

――タイムはどう感じますか

満足はしていないです。

――レースプランは

ついていけるところまでついていくというのがレースプランでした。

――レース展開を振り返って

5000メートル付近で離れてしまったのですが、そこから自分のペースになったら動きが良くなってきた感じがあり、そこまで離れることはなかったので良かったかなと思います。

――前半走っていた時の調子は

ちょっと速いなと思っていましたが、自分の中ではいけるなと思いながら走っていました。

――後半離れてからの状態はいかがでしたか

自分のペースをすぐ掴むことができたので、追いついたり、単独走がしっかりできたのかなと思います。

――自分のペースを刻むという感じでしたか

はい。追いつこうという気持ちもありましたが、ちょっと離れていたのでそれはちょっと難しいなと思っていました。

――ラストスパートについて

29分を切りたかったので追い込んだつもりだったのですが、そこはまだキレが足りなかったかなと。

――最近の調子はいかがですか

鹿児島で合宿をしていて、しっかり走り込んだので少しずつスピードが戻ってきて、やっと自分の走りができるようになってきたかなと思います。

――スパートのキレを出すための練習の工夫は

ポイント後に一人でプラス400メートル走ったり、ペース走にしても最後は少し上げていくとか、そういうふうに工夫しています。

――ラストスパートのキレは戻ってきたと感じますか

今日はラスト200メートルからしか上げられませんでしたが、これを少し伸ばして400メートルからでも持つようにしたいなと思いました。

――新シーズンの目標は

5000メートルでとりあえずタイムを出したいというのがあって、13分40秒前後が出るようにしたいなと思います。

――今後の大会は

早大競技会の3000メートル、六大学(東京六大学対校)、GGN(ゴールデンゲームズinのべおか)で記録は狙いにいくと思います。

小指卓也(スポ1=群馬・学法石川)

――走りを振り返っていかがですか

半澤さんが途中まで引っ張ってくれるということで、第1集団とは別に第2集団という形で、早稲田で向井さんと僕と半澤さんでいく予定でした。こういうコンディションの中だったので、ずっとついてためておこうという考えでした。こういうコンディションで身体がうまく動かなくて、途中ペースが落ちてしまうこともあったのですが、ラスト3kmでしっかり切り替えると決めていたので、それが実行できたので良かったのかなと思います。

――きょうの記録会の位置づけを教えてください

僕は年始の練習始まってすぐに少し怪我をしてしまったり、また、年末もあまり練習を積めていなかったりしていました。そこから1月の鹿児島合宿の前に練習をちょっとずつ積んでいって、合宿で走り込んでという中の、走り込んだ成果を確認するレースという位置づけです。練習の調整もあまりうまくいっていなくて、ちょっといろいろ身体の調子悪いということで相楽さんにはペース走感覚というか、最初ちょっと早めにいって、練習みたいな感じでいけと言われていました。本来はきょう立川ハーフだったということで、それの通過点、その半分の10kmの通過点を目標として走るというかたちで走っていました。

――具体的な目標や目標にしていたタイムなどありましたか

ペースを作ってくれてるということなので、そこについて余裕があったら自分で仕掛けられたらなという感じでした。タイムを特に意識するわけではなかったので、そういうのはあまり考えていなかったです。

――向井さんと途中までずっと一緒に走っていて、最後突き放していました それについて聞かせてください

途中で1回半澤さんについていて、かなりラップ落ちたので、その時点で先に2人で引っ張りあいながらいけたらなと思っていました。そこで行かなかったのはもうしょうがないので、ラスト3kmでしっかり切り替えて、僕がいくしかないなと思って、向井さんに抜かされたらそこについていくという考えでした。半澤さんについて微妙なタイムになるんだったら、突っ込んで最後あげて、いけたらいけたでいいし、たれたらしょうがなかったなという感じでいきました。

――きょうは自己ベストがでたということですが、それを踏まえてきょうの走りについてお聞かせください

久しぶりにレースで、ラストなんとかたれずにゴールできて少しほっとしている部分はあります。しかし、本来ならスポーツ推薦でここに来たので、先頭にいた中谷さんや千明さん、井川などと一緒に走らなければいけない身だと思います。なので、満足は全然ないし、むしろこんなところでレースしている自分が悔しいと思う気持ちもありますが、走れている感覚というものは掴めてきたので、そこは良かったのかなと思います。

――今後の目標を教えてください

次の大きな試合がどういったかたちになるかわからないですが、とりあえず3月下旬にまたここで3000mと1500mに全員で出場します。ハーフでおしていくペースで自己ベスト出したので、これからのトラックシーズン、3000mと1500mと短い距離ですがしっかりスピード出して気持ちのいいシーズンインできるように頑張りたいと思います。