マラソンの東京五輪代表争いがついに決着した。男子は日本記録保持者の大迫傑(28)が最終切符を手にした。


 大迫は昨年9月のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で3位。上位2人に与えられる代表切符を逃したが、その後3大会あるファイナルチャレンジで大迫の日本記録より速い設定タイムを切った最上位者が現れなかった。

 「残り1枠」で有利な状況にいた大迫は、待つことを良しとしなかった。ファイナルチャレンジ大会の1つ、1日の東京マラソンに出場。自らが持つ日本記録を21秒更新する「2時間5分29秒」で日本人最上位の4位と結果を出した。8日びわ湖毎日マラソンで日本記録突破者はおらず、自力で勝負をかけた大迫の執念が実った形だ。

「一つひとつのマラソンごとに成長を感じている」


 有力選手が集結した東京マラソンは事実上の「最終決戦」だった。レースは序盤から海外勢が引っ張るハイペースの展開。アジア大会覇者の井上大仁(27)が日本勢で唯一、先頭集団に食らいついた。大迫は途中遅れたが、32キロ地点で井上をとらえ、後方からどんどん順位を上げた。

 大迫は振り返る。「集団を離れたときは、他の選手を意識するのではなく、自分のペースを守り、自分と対話しながらしっかりゴールしようと考えました。(MGCのときは)良くも悪くも僕を中心にレースが動いた感じがあって、それが原因で行き過ぎて(中盤で)足を使い過ぎてしまった。敗戦から学んだことはたくさんあります。一つひとつのマラソンごとに成長を感じていますが、それが今回はたまたま記録として出たと感じています」。

 失速した井上は2時間9分34秒の26位だったが、日本人選手で6分台2人、7分台7人と好タイムが続出した。「日本記録を出せば報奨金1億円」というニンジン効果もあって、日本マラソン界が着実なレベルアップを示した一方で、世界との差は大きい。優勝は2時間4分15秒のレゲセ(エチオピア)。昨年に続く4分台で連覇を果たした。

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「日本記録を出しても、3位にも入れないのが日本マラソン界の現実」

 日本陸連の瀬古利彦マラソンプロジェクトリーダー(63)は「日本人選手の好記録が出たのは良かった」と前置きしつつ、「正直言って世界は2時間1分台、2分台、3分台が当たり前。今回のようなレースでは五輪のメダルは厳しい。レゲセに30キロまでつけたのは井上だけ。大迫でもつけなかった。東京五輪が厳しい戦いになることは分かっているが、最後まであきらめず、ワンチームで一致団結して戦いたい。チャレンジしながらレベルアップしたい」と話した。

 SNSでも「大迫の走りは感動したけど…世界の背中は遠い」「日本記録を出しても、3位にも入れないのが日本マラソン界の現実」といった声が。代表争いがこれまでのような水面下の議論でなく、誰にもわかりやすく明示されたことで盛り上がったものの、世界との差をまざまざと見せつけられた大会でもあった。

 レース前、前日本記録保持者の設楽悠太(28)が話していた言葉が印象的だった。「日本記録を出しても、2時間4分台を出せなかったら五輪は辞退する」。東京マラソンでは首位争いに絡めず2時間7分45秒で16位に終わったが、五輪に出るからには上位争いできるレベルでなければ意味がない-とでも言わんばかりだった。

 男子代表はMGC1位の中村匠吾(27)、同2位の服部勇馬(26)、そして大迫に決まった。激しい競争を勝ち抜いた3人が挑む東京五輪本番は8月9日(札幌)。地の利も生かして、世界の壁にどれだけ食らいつけるかに期待したい。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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