写真:中国卓球はなぜ強いのか。丹羽孝希編/作成:ラリーズ編集部

日本選手に通算3度しか負けていない中国の許昕(シュシン・2月世界ランキング1位)に2回勝利した男がいる。

日本が誇る天才サウスポー・丹羽孝希(スヴェンソン)だ。

丹羽は、2015年のアジアカップ、2017年のアジア選手権でともに3-1で許昕を下している。




写真:2017年アジア選手権で許昕に勝利し笑顔を見せる丹羽孝希/提供:ittfworld

卓球帝国・中国は、東京五輪でも日本の前に立ちはだかるであろう。そこで今回は中国越えのヒントを探るべく、中国トップ層と互角に渡り合ってきた丹羽に「なぜ中国は卓球が強いのか?」と原点とも言える質問をぶつけてみた。(取材:武田鼎、山下大志・ラリーズ編集部)

中国選手は基礎力が高くて凡ミスが少ない




写真:中国選手の強さを語る丹羽孝希/撮影:伊藤圭

――今まで何度も中国選手と対戦してきて、プレー面での強さをどう分析されていますか?
丹羽孝希(以下、丹羽):基礎力が高くて凡ミスが少ない。あとは、ラバーが特徴的でボールの威力があるというところですね。

――松平健太選手も以前「凡ミスが少なく、ラリーに自信を持っている」と中国選手を評していました。
丹羽:逆に言うと中国選手のサーブレシーブ単体はそこまで脅威ではないんです。例えば、馬龍(マロン)もサーブは特別切れているわけではなくて、こっちがレシーブミスしているのは次の3球目攻撃の怖さがあるからなんです。サーブだけだったらもっと切れている選手はたくさんいます。

レシーブも馬龍はチキータもそんなにやらずにストップやツッツキ。でもそこからのラリーが本当に強いです。

――中国選手の中でも馬龍選手はやはり印象的ですか?
丹羽:最近だと一番強いと感じるのが馬龍(マロン)ですね。最初戦った時は負けても比較的やりやすい相手でした。ただ、対戦を重ねるにつれ、だんだんチャンスがなくなっていくようになりましたね。

――2012年の五輪アジア大陸予選では丹羽選手は馬龍選手を破っています。そこから約8年、何が変わったのでしょうか?
丹羽:無理をしなくなって、凡ミスが少なくなりました。

昔は馬龍も緊張してフォアハンドミスをしてましたが、今は凄くメンタルも安定していて、大事な時しか回り込まない。無理しなくなった分、バックハンドも手堅く入れてくるようになりました。

世界卓球や五輪タイトルを獲ってからは雰囲気も変わりましたね。オーラが昔と全然違います。

中国は代表内の競争が比べ物にならないくらい激しい




写真:丹羽孝希「中国との差は“組織力”」/撮影:伊藤圭

――プレー以外の面ではどこが違うと感じますか?
丹羽:一番明確なのは「組織力」ですよね。中国は国全体で選手を管理していて、選手一人に世界チャンピオンクラスのコーチが一人つく。練習相手も自分と同等の世界レベルの選手がいる。

あとは代表内の競争。日本も激しいですが、中国は比べ物にならないぐらい激しい。世界ランキング1桁台の選手たちが競い合ってますから。そういう環境が大きく違いますね。

――日本と中国でも環境の差がまだまだあると。
丹羽:でも日本もナショナルトレーニングセンターができてから上がってきている。やっぱり環境が良くなると(結果も)良くなるというのは実証されてますよね。新しいトレーニングセンターも8月からできたので、これからもっと良くなると思います。

文:山下大志(ラリーズ編集部)