オーストリア全土を時速最大120キロで進む暴風雨が襲うとの予報で、2月27日21時キックオフ予定だったヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメント1回戦第2戦、ザルツブルク対フランクフルトは延期された。フランクフルトがSNSでその発表をしたの…

 オーストリア全土を時速最大120キロで進む暴風雨が襲うとの予報で、2月27日21時キックオフ予定だったヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメント1回戦第2戦、ザルツブルク対フランクフルトは延期された。フランクフルトがSNSでその発表をしたのは試合当日の14時半。試合は翌日の18時開始となった。試合前の28日の昼間には次のラウンドの抽選が行なわれ、この試合の勝者の対戦相手がバーゼルになることが先に決まる、珍しい事態となった。

 フランクフルトで行なわれた第1戦は4-1でフランクフルトが勝利を収めている。この第2戦はザルツブルクが先制したが、フランクフルトが追いつく形で2-2の引き分け。2戦合計の結果、フランクフルトが決勝トーナメント2回戦に駒を進めた。



ヨーロッパリーグのザルツブルク戦に先発した鎌田大地(フランクフルト)

 試合序盤はザルツブルクに勢いがあったが、フランクフルトは攻め込まれながらも切り抜けた。第1戦で3得点を挙げて勝利の立役者となった鎌田大地は、第2戦でも「得点を取れ」と、長谷部誠から試合前日の記者会見で発破をかけられていた。得点こそできなかったが、1-1となる同点弾につながるドンピシャのパスをフィリップ・コスティッチに供給している。長谷部は出場なしだった。

 今後のことを考えると、今回の試合延期はフランクフルトにとってはラッキーだったと言えそうだ。ELが1日ずれたことによって、3月1日の日曜日に予定されていたブンデスリーガのブレーメン戦も延期が決まったからだ。ホームのブレーメンはキックオフ時間の変更で対応できないかと交渉したようだが、フランクフルトはこれを突っぱね、結局試合はリーグ戦終盤に延期されることになった。

 来週のミッドウィークには、ドイツ杯準々決勝でブレーメンとフランクフルトが対戦することになっている。このドイツ杯は、フランクフルトのホームで行なわれる。フランクフルトにとっては、移動を挟んで厳しい日程だったリーグ戦がなくなり、悪くない日程になった。鎌田は「ブレーメンは嫌でしょう」と認める。

「追い風? だと思いますよ。みんなそういう風に言っていたし、ここはすごいチャンスだと思う」

 現在ブンデスリーガ11位のフランクフルトは、リーグ戦よりも、ELでの上位進出とドイツ杯の優勝に重きを置いているのだという。

「(国内)リーグとヨーロッパリーグはまた(違う)……。うちの選手もリーグを捨てているわけではないんですけど、モチベーション的なものは、ヨーロッパリーグとかカップ戦にすごく傾いている。ファンもそうだと思う。リーグ戦も、残留も決まってないし、まだまだ頑張らないとダメですけど。いまはヨーロッパリーグとカップ戦にチームとして重きを置いているなという雰囲気です」

 昨季のフランクフルトはELで準決勝まで進み、チェルシーにPK戦の末に敗れている。頂点まであと少しのところまでいった手応えが残っている。ドイツ杯に関しても、2016-17シーズンは準優勝、2017-18シーズンは優勝を果たしている、昨季はアディ・ヒュッター 監督が就任したばかりで、システム変更など新戦術にトライしていたこともあって1回戦で敗退した。苦い記憶も喜びの記憶も鮮明なだけに、リーグ戦よりも2つのカップ戦に闘志を燃やすことは理解できる。

 しかもドイツ杯では、フランクフルトがライプツィヒを破り、ブレーメンもドルトムントを倒している。8強の中に強豪が数えるほどしか残っていないチャンスだ。

「ポカール(ドイツ杯)は強いチームがバイエルンくらいしか残ってないので、また決勝の舞台に立ちたいなと思うし、可能性はあると思う。次の試合はかなり大事だと思います」

 鎌田自身は昨季、ベルギーのシント・トロイデンでプレーしていた。フランクフルト移籍直後の2017-18シーズンはそもそも出場機会が少なく、バイエルンを下したドイツ杯決勝もベンチ外だった。それだけに、カップ戦にかける思いは強い。

 オーストリアを襲った暴風雨は、フランクフルトと鎌田にとっての追い風となるか。