右胸筋の負傷から戦列復帰後、目を見張るような活躍を見せているレッドソックス上原浩治投手。復帰後は8戦連続無失点という圧倒的な活躍ぶりで、22日(日本時間23日)には古巣オリオールズを相手に1回無失点に抑え、今季15度目のホールドを記録した。…

右胸筋の負傷から戦列復帰後、目を見張るような活躍を見せているレッドソックス上原浩治投手。復帰後は8戦連続無失点という圧倒的な活躍ぶりで、22日(日本時間23日)には古巣オリオールズを相手に1回無失点に抑え、今季15度目のホールドを記録した。

■セットアッパー上原の確定で、自然と役割が決まったレッドソックス救援陣

 右胸筋の負傷から戦列復帰後、目を見張るような活躍を見せているレッドソックス上原浩治投手。復帰後は8戦連続無失点という圧倒的な活躍ぶりで、22日(日本時間23日)には古巣オリオールズを相手に1回無失点に抑え、今季15度目のホールドを記録した。約2ヵ月前は補強ポイントだと言われたレッドソックスのブルペンは、上原の復活でいまや鉄壁とも言える布陣になった。地元紙「ボストン・グローブ」電子版では、上原がもたらしたブルペンの好転を経済理論になぞえらえて「トリクルダウン効果」と呼んでいる。

 トリクルダウン理論とは、「富める者が富めば、貧しい者にも富がしたたり落ちてくる(トリクルダウンする)」という理論。記事によれば、これをレッドソックス救援陣に当てはめてみると、守護神やセットアッパーといった大事なポジションが安定すれば、その他の役割も自然と安定する、ということになる。つまり、守護神キンブレル、セットアッパーの上原が決まれば、重要な局面でジグラー、左のワンポイントでロスを投入できるというわけだ。これに、ロングリリーバーとして新人スコット、三振が必要な場面でのワンポイントとしてケリーが起用可能。一時は混沌としたブルペン内の役割が、明確なものとなった。

 上原が右胸筋を痛めて戦列を離れたのは、7月19日のこと。記事によれば、ファレル監督は上原の抜けた穴を埋めるのが、ここまで困難だとは思っていなかったようだ。指揮官は「考えてもいなかった。候補者はいたと思うし、今でもいると思う。だが、ブラッド(ジグラー)の良さを生かせないチームとの対戦が続いたり、右打者に偏った打線が続いたり。コージが戻ってきてくれたおかげで、7回までをマッチアップで乗り切れば、8回は彼に任せればよくなった」と、ホッと胸をなで下ろしたという。

■「彼がマウンドに立っている時が、一番安心できるイニング」と指揮官

 記事では、こんなデータも紹介している。9月21日現在、9月のレッドソックス救援陣の防御率は0.89で、メジャートップの数字を誇るという。9イニングあたりに出した走者の数を示すWHIPは1.03でメジャー4位、9イニングあたりの奪三振数(10.91)は2位、被打率(.193)で3位タイだそうだ。8月1日のトレード期限前後には、地元メディアはこぞって「ブルペン補強が急務」と主張していたが、今では「再びレッドソックスのブルペンは見ていて楽しい」とまで評価している。

 シーズン序盤は調子が上がらなかったものの、怪我から復帰後は以前のような安定感を取り戻した41歳ベテラン右腕を、ファレル監督は「年齢やいろんな要素を取り除けば、彼がマウンドに立っている時が、一番安心できるイニング。うちのチームで過ごした時間のほとんどは、彼はそういう投球を見せてくれている」と大絶賛し、信頼の深さをうかがわせたという。

 今季オフにはフリーエージェントとなる上原だが、記事では「レッドソックスは再契約を考えるべき」と主張。プレーオフ、シーズンオフを通じて、「ウエハラ」の名前が地元メディアを賑わすことが増えそうだ。