早稲田らしさ

 「勝つことでしか味わえない楽しさがあると思うので、常に勝ちを求め続けてほしい」。これは、全日本学生選手権(インカレ)後に杉山瑞樹主将(社=神奈川・横浜創英)が後輩たちへ送った言葉だ。選手主体の早稲田で、主将として先頭で戦ってきた彼女の言葉の中には、 戦い抜いたものにしかわからない思いが込められていた。

 インカレ、早慶定期戦を終えて部活を引退し、現在は競技から離れているという杉山。中学校入学とともにハンドボールを始め、中学、高校とハンドボールを続けた。大学進学の際は競技を続けるか迷ったというが、高校時代に達成できなかった目標を達成するべく早稲田大学に入学。早稲田を選んだ理由は、練習に参加した時の早稲田の雰囲気や広報活動などに好感を持ったからだったという。


サイドを走り続け、チームを鼓舞し続けた杉山

  主将として戦った2019年シーズン。前年の主力だった4年生が大幅に卒業し、最高学年である同期がわずか5人しかいないという苦しい状況。さらに、先発コートプレイヤーの中で4年生は杉山1人だった。目指したのは、全員が『主体性』を持ったチーム。選手主体で活動している早稲田は部員が自分たちで考え、行動しなければいけない。その中でいかに全員がプラス思考を持ち、チームを一つにしていくかを考えた。結果、ミーティングでは上級生、下級生問わず意見を出し合い、試合中の苦しい場面でもポジティブな声掛けが生まれた。良くも悪くも主将や最高学年のカラーが色濃く出る早稲田で、杉山が目指したチームが見事に完成したといえるだろう。また、決して恵まれているとは言えなかった環境も徐々に改善されてきた。平日こそ選手のみの練習だが、土日はほとんどの練習にコーチが在駐。土日に課題を設定し平日にその課題を完成させるという新たなスタイルも可能になった。まだ道半ばではあるが、着実に早稲田は成長していると言えるだろう。

 「もし大学をもう一度選ぶなら早稲田を選ぶか」と言う質問に、「また早稲田を選ぶ」と言い切った杉山。早稲田の魅力に惹かれた彼女は、いつしか早稲田の魅力の一部となっていた。無限の可能性を秘めた早稲田大学女子ハンドボール部の歴史に、また1人偉大な先輩の名が刻まれた。

(記事 稲葉侑也、写真 栗林真子、小松純也氏)