東京パラリンピックに向け様々な競技やアスリートの魅力に迫る、MEN’S NON-NOの連載「2020年TOKYOへの道」。今回は、早くも本大会出場が内定しているボッチャ日本代表の若きホープの素顔と強さの秘密に迫る!パラリンピック…

東京パラリンピックに向け様々な競技やアスリートの魅力に迫る、MEN’S NON-NOの連載「2020年TOKYOへの道」。今回は、早くも本大会出場が内定しているボッチャ日本代表の若きホープの素顔と強さの秘密に迫る!

パラリンピック特有の競技「ボッチャ」。ジャックボールという白い的球に、手持ちの6球を駆使していかに近づけるかを競うそのスポーツが本大会に向けてじわじわ注目度を高めている。そして、18歳にして昨年12月の日本選手権を制し、いち早く出場を内定させたのが江崎駿だ。

「もちろん日本を代表するプレッシャーはありますが、とても光栄なことなのでプラスのほうが多いですし、楽しみな気持ちが強いです。世界の舞台では高い技術がないと勝てませんし、戦略面も勝負の分かれ目になるのでこれから本大会に向けてさらに研究を重ねていきたいです」

筋肉が進行的に衰えていく筋ジストロフィーという難病の影響で、握力が非常に弱く、手首がほとんど使えないためボールは前後の腕振りと肩だけを使って投げる。しかし、狙い澄ました投球の精度は抜群だ。

「自分たちのような障がいを持っていても、健常者であっても、誰もが同じフィールドで戦えるところがボッチャの魅力ですし、また簡単に見えて実はものすごく戦略的なスポーツ。そういう奥深さに惹ひかれています」

競技に取り組むうえで最も意識しているのは、メンタルだとか。

「ボッチャは失敗がつきもの。1エンド6球投げる中には必ず思いどおりにいかない投球も出てきます。それをいちいち引きずっていると、トータルで見ると負けにつながることが多いので。根はネガティブなタイプですが(笑)、それを表に出さないよう常に冷静でいることを心がけています」

18歳らしからぬ落ち着いた風情で、まっすぐ的球を見据えて淡々と正確無比な投球を繰り返す彼。ボッチャに対してこんな思いも秘めている。

「体を自由に動かせないため外出の機会が少ない自分にとって、ボッチャは唯一仲間とつながれるツール。このスポーツで人生が大きく変わりましたので、その魅力をさらに広められたらいいなという思いはありますね」

【プロフィール】

江崎駿さん
えさき・しゅん●2001年3月25日生まれ、愛知県春日井市出身。3歳の頃に、筋力が段階的に衰えていく進行性の難病「筋ジストロフィー」と診断され、小学6年から車いす生活に。中学1年から本格的にボッチャをスタート。2016年に若くして日本代表の強化指定選手に選ばれると、翌2017年のアジアユースパラ競技大会で金メダルを獲得。そして2019年12月の日本選手権BC4クラス(脳性まひを除く重度四肢機能障がいクラス)で優勝し、東京パラリンピック出場が内定。現在は法政大学の通信制で経済学も学んでいる。