清宮幸太郎は大丈夫なのか——。 早稲田実から日本ハムに入団して2年。通算134試合に出場し…
清宮幸太郎は大丈夫なのか——。
早稲田実から日本ハムに入団して2年。通算134試合に出場して410打数83安打、14本塁打、51打点、打率.202。高卒3年目を迎える若手選手であることを考えれば、十分すぎる数字である。
だが、気になるのは故障が相次いでいることだ。思えば清宮は、アマチュア時代も腰や肩などを痛めた時期がある。プロでも故障に泣くことになれば、安定した結果は望めない。昨季36本塁打を放って大ブレークした村上宗隆(ヤクルト)が世代トップランナーに立った感があるが、清宮はこれから巻き返せるのだろうか。

昨シーズンは4番に座ることもあった日本ハム・清宮幸太郎
高校1年時から清宮の公式戦をつぶさに見てきた筆者は、2月18日に日本ハム二軍がキャンプを張る沖縄・国頭(くにがみ)に飛び、清宮の練習を観察、直撃することにした。
① 打撃・無理に考えなくなった「手元に引きつける」意識
フリー練習は圧巻だった。ポンポンと面白いように、サク越えが続出する。角度のある高い放物線もあれば、低いライナーがぐんぐん上昇して、そのまま防球フェンスに突き刺さることも。打球のバリエーションが豊富なのだ。
高校時代は右足を高く上げていたが、プロでは足の上げ幅を小さくしている。その一方、上体の動きは高校時代と大きくは変わらない。構える際にバットヘッドを投手側に一度傾け、その反動でバットを左肩に担ぐようにしてからトップへ。インパクトを迎える前から、バットヘッドがよく動くのが特徴だ。
打撃を見ていて目についたのは、ミートポイントが前寄りになっていたことだ。フリー打撃前にはスタンドティーをホームベースより前に設置して、ネットに向かって角度のある打球を気持ちよさそうに打ち込んでいた。
清宮は高校2年秋の日大三戦で、左腕の櫻井周斗(現・DeNA)から5打席連続三振を奪われたことがある。櫻井のキレのあるスライダーに打撃を崩されて以来、清宮は「ボールを手元に呼び込む」ことをテーマに掲げた。その成果が出て、高校3年時にはミートポイントが体に近くなり、レフト方向への長打が増えている。
プロ3年目の今は、シンプルに飛びやすいポイントで打とうという意識が見える。その点を練習後の清宮に聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「たしかに、高校の時は『手元で』というイメージはありました。でも、プロに入ってバットも変わって、なかなか自分の思うように振れなくなって。それでちょっとずつ変わっているのかなと思います。今はポイントのことはあまり気にせずに、自分の好きなところで打っている感じです」
もしかしたら、昨年に右手有鉤骨を骨折したことと無縁ではないのかもしれない。ボールを手元でとらえるには、腕でボールを押し込むような動作が入る。無意識のうちに、古傷をかばっている可能性はないだろうか。
だが、清宮は「右手はもうまったく痛くありませんし、振っていて恐怖心もありません」と語った。
② 守備・遠投40メートルまで回復
清宮が二軍スタートした理由は、昨年オフに右ヒジ関節形成術を受けたためだ。現在もリハビリは続いており、キャッチボールの時間になるとチーム本体を離れ、サブグラウンドでキャッチボールのドリルをこなしていた。
それでも、徐々に長い距離を投げられるようになってきた。遠投は「今は40メートルほどです」と距離を伸ばしている。
また、目を引いたのは投球動作が非常にコンパクトになっていたことだ。捕手のようにバックスイングをあまりとらず、トップに持っていく。ヒジに負担をかけない投げ方を身に着けようという意図が感じられた。
③肉体・引き締まったラガーマンのよう
ウォーミングアップで久しぶりに清宮の姿を間近に見た第一印象は、「やせた?」というものだった。高校時代はややボテッとした体型だったのが、今は引き締まった肉体になっている。ショートダッシュの走り姿など、強靭さと機敏さを兼ね備えたラガーマンのようだった。
清宮によるとトレーニングには力を入れており、周囲から「引き締まった」とよく言われるそうだ。だが、本人はあまりピンときていないようで「そうですかねぇ、自分ではよくわからないですね」と困惑ぎみの反応だった。
余談になるが、2月19日の練習ではラグビー界の名将である父・克幸さんの姿もあった。ケースバッティングの練習中、清宮がスリーバント失敗したシーンを克幸さんは目撃しており、「会うなり『バント失敗しただろ』と言われました。何で知っているんだか……」と清宮は苦笑した。
練習の様子を含めて故障の経過は順調で、現在の自分の感覚に合ったバッティングができていることがうかがえた。
あとは今後、体を万全にして一軍舞台で結果を残せるかどうか。清宮幸太郎には、華々しい舞台こそよく似合う。今年は札幌ドームを狭いと感じさせる本塁打を1本でも多く見たいものだ。