リーガ・エスパニョーラ第25節、バルセロナは本拠地カンプノウにエイバルを迎え、5-0で大勝している。エイバルの寄せがいくらか甘かったことはあったか。エースのリオネル・メッシは4得点でゴールショーの主役となった。MFとDFの間に入り、巧妙にボールを受けるとトップスピードに入り、前を阻むディフェンダーを”瞬殺”した。

 そして後半27分には、レガネスから緊急的に移籍してきたデンマーク代表FWマルティン・ブライスワイトが、アントワーヌ・グリーズマンに代わってバルサデビューを飾っている。ブライスワイトは18分間出場し、2得点に絡み、宴に花を添えている。さらに、抜け出してから際どいシュートを放つなど、実力の一端は示した。



レガネスから

 騒動の渦中にあるバルサの喧騒を鎮める勝利になったのか--。 

 エイバル戦を前に、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長のバルサは足元が揺らぐような疑惑の目を向けられている。

「バルサ首脳陣が、保身のためにネガティブキャンペーンを張っていた」

 そんな疑いが、スペイン大手ラジオ局『カデナ・セール』によって報じられたのだ。

「バルサが契約していたI3 Venturesという会社が、ツイッターやフェイスブックのアカウントを持ち、ネガティブなキャンペーンを展開していた。(契約延長などの交渉を有利にするために)リオネル・メッシ、ジェラール・ピケという有力選手の悪評を流布した可能性がある。また、反体制派のビクトール・フォントや、現体制と距離を置くシャビ・エルナンデス、カルレス・プジョル、ジョゼップ・グアルディオラ、あるいは有力メディア関係者を攻撃していた」

 このスクープに、バルトメウ会長は、「(I3 Venturesとの契約は)さまざまな意見をモニタリングするためだった」と弁明している。しかしたとえそうだったとして、契約した会社がソーシャルネットワークで批判を展開しているなら、適正な管理・指導をするべきだった。それを放置することで、結果的に、自分たちの身を守っていたことになる。

 経営陣と現場の溝は深くなっている。

 この数日前には、スポーツディレクターであるエリック・アビダルが「選手の多くが全力を出していない」と発言。責任転嫁するような言葉に、メッシが怒りをあらわにしていた。そもそも、アビダルはろくに選手を補強できず、あげくの果てにはリーグ連覇しているエルネスト・バルベルデのクビを飛ばした。

 現場の選手は、バルベルデの解雇に納得していないようなのだ。

 28歳になるブライスワイトとの電撃的契約も歓迎されているとは言えない。ウスマン・デンベレが長期離脱したことで、移籍期限をすぎてからでも補強が可能になったわけだが、違約金満額を支払っての1800万ユーロ(約22億円)の価値があったのか。レガネスとしては迷惑な話だ。彼らはケガで選手を失ったわけではないので、補強することができない。

 ブライスワイトは今シーズン、レガネスで6得点。フィジカルに強く、戦術的な理解力が高い、ユーティリティなアタッカーと言われる。その点、ゼロトップとしても働けるはずだ。

 しかし、0トップとしての能力は、メッシ、グリーズマン、アンス・ファティのほうが上だろう。入団お披露目でのリフティングはお粗末で、ヒールやインサイドでボールを上げることができず、「バルサの選手として、その技術?」という不安も出た。そうかと言って、無骨なストライカータイプというわけでもなく、得点力はルイス・スアレスと比べると格段に落ちる。過去にデンマーク、フランス、イングランド、そしてスペインでプレーしたが、シーズン最多は11得点にとどまる。

 キケ・セティエン監督は、ベティスで自らが見出したFWロレン・モロンの獲得を打診したが、違約金が4000万ユーロ以上と、手が出なかったという。スペイン代表FWロドリゴ(バレンシア)との交渉が決裂した理由も同じだった。金庫に資金が残っていないのだ。

「(ブライスワイトの獲得は)まったく理解できない。バルサはこの移籍のために、若い選手たちを売り払っている。はたして、そこまでする選手なのか。(28歳と)若い選手ではなく、これからの成長の見込みも……」

 バルサの伝説的選手のひとり、リバウドもそう言って、今回の一件には難色を示している。ブライスワイトの入団発表と同じ日、ヨーロッパリーグで、アベル・ルイス(ブラガ)、カルレス・ペレス(ローマ)というバルサの下部組織から移籍したふたりの若手アタッカーが得点を挙げたのも、皮肉な話である。

 2月25日、チャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメント1回戦で、バルサはナポリと相まみえる。そして3月1日は、レアル・マドリードとの首位攻防クラシコだ。天下分け目の連戦で、真価が問われることになるだろう。

 ちなみにブライスワイトは、CLには登録の関係で出場できない。