2月16日、札幌市の観光名所、大通公園を会場にスノースポーツ体験イベント、「さっぽろスノースポーツフェスタ2020」が開催され、親子連れや観光客などでにぎわった。2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致の機運盛り上げを念頭に、市民がスノースポーツの楽しさを体験したり、「ウィンタースポーツシティ札幌」の魅力を世界に発信することなどを目的に、今年初めて行われた。

オープニングセレモニーでは、東京オリンピック・パラリンピック橋本聖子担当大臣が、「札幌市のど真ん中で行われるスノースポーツフェスタの記念すべき第1回目。2030年の冬季大会実現に向けてもぜひ応援を」と呼びかけ、開会を宣言した。


メインイベントは大通公園(6丁目から9丁目のエリア)に特設された1周約1kmのコースで行われたクロスカントリースキーのスプリントレース。小中学生やパラアスリートら約160人が札幌市の都心部を滑走し、大勢の観客の声援を送った。

パラ立位・視覚の女子1000mを制したパラリンピアン阿部友里香選手(日立ソリューションズ)は数年前に、大通公園でレースを行えば、競技の知名度アップにつながるとチームスタッフと話していたとのことで、「実現して嬉しい。買い物のついでに観戦できる。こうした大会がもっと増えてほしい」と話し、同男子優勝のパラリンピアン佐藤圭一選手(エイベックス)は、「街中でのイベントは初めて。開放感があり、観客の応援もあって気持ちよく滑れた。パラ(スキー)のPRにもなるし、一緒に盛り上げていきたい」と笑顔を見せた。


佐藤圭一選手(左)・星澤克選手(右)
 

札幌市生まれで平昌パラリンピック出場の星澤克選手(北海道大学)も、「市街地の真ん中で、応援の声を間近に聴きながら走るのは新鮮で楽しかった。(クロカンは)実際に見てもらうのが難しい競技だが、見ごたえがあったと思う」と振り返った。


2022年北京冬季パラ出場を目指す強化指定選手の森宏明選手(朝日新聞社)は競技人口の少ないシットスキー(座位)でジュニア選手らと力強く滑走。「自分の競技を披露できる場があるのはモチベーションになる。立位選手とも大差ないスピードが出る(座位)競技を知ってもらえる機会は歴史的なこと」と力を込めた。


次世代を担うジュニアたちも躍動。中学女子優勝の岩佐奏葉さん(札幌啓明中学3年)は、「いつもと違う景色(のコースで)楽しかった。札幌オリンピック出場が目標」と意気込み、小学男子座位に出場した熊谷太希くん(旭川市立永山小)は、「障害があるので歩くのは少ししかできないけど、シットスキーならたくさん動けるし、スピードも出せる。これからも頑張りたい」と笑顔で話した。

大勢の観客も熱戦を楽しんだ。孫の応援に駆け付けたという70代女性は、「パラのクロカンは初めて見た。(ガイドと滑る)視覚障害のスキーヤーに驚いた」と言い、車いすユーザーの40代男性は初のクロカンレースに、「山中のコースは車いすでは難しいが、ここなら圧雪されアクセスしやすい。間近に見られてスピード感もあり、迫力満点。いい企画なので続けてほしい」と語った。

■オリンピアン・パラリンピアンと競技体験も

大通公園10丁目会場ではウィンタースポーツの体験会(クロカン、スノーボード、スノーシューなど)も併催された。レースに出場したパラ選手やオリンピック出場経験のあるトップアスリートも参加。一緒に競技体験を楽しんだり、参加者にアドバイスする様子も見られた。


クロカン体験コースにはスキージャンプの金メダリスト原田雅彦さんの姿も。「街中でのレースは外国にはあるが、まさか札幌でできるとは…。車道をシャーっと滑って気分がよかった」と笑顔。オリンピアンとパラリンピアンが一緒に市民と交流するイベントに、「『心一つ』で2030年に向かっています」と話し、ファンとの写真撮影にも気軽に応じていた。


用具も無料レンタルされ、市民や観光客らが気軽に挑戦できた。スケートやアルペン経験があるという50代の女性は、「クロカンは初めて。ずっとやってみたかった。転んでばかりで、選手のすごさが分かった」と声を弾ませ、バングラデシュからの留学生は人生初のスキー体験に、「たくさん転んだが、それも楽しい」と異文化体験を楽しんでいた。


障害の有無や年齢、国籍などに関係なく大勢がスノースポーツで笑顔になる様子に目を細めていたのが、元パラノルディック日本代表監督の荒井秀樹さんだ。現在も日本障害者スキー連盟理事として強化副本部長なども務め、今回のイベント実現を後押しした一人でもある。

「閉じこもりがちな冬にいろいろなスノースポーツを誰もが気軽に街中で楽しめるのがこの大会の魅力。パラのスキーを間近に見られる機会も少ないので開催意義がある」と振り返った。また、コース整備には11日まで開かれていたさっぽろ雪まつりの残雪を一部利用したが、暖冬による雪不足もあり、人工雪も大量に利用された。荒井さんは「開催には費用がかかるが、主催者やスポンサーに感謝したい。パラリンピックは社会を変えるきっかけになる。今後も(イベントを)継続して、2030年大会招致の弾みなれば」と期待を寄せた。

真冬の札幌市で目抜き通りに笑顔が咲いた初めてのスノーフェスタ。2030年オリ・パラ札幌大会招致活動への関心喚起にも有意義な一歩になったのではないだろうか。