一部のF1チームが実質的にOEM化した。スイスに本拠地を置くザウバーが昨季から伊自動車メーカー、アルファロメオのブランド名で参戦しているが、ジョーダンをルーツとする英国チームのレーシングポイントも2021年から英高級メーカー、アストンマー…

 一部のF1チームが実質的にOEM化した。スイスに本拠地を置くザウバーが昨季から伊自動車メーカー、アルファロメオのブランド名で参戦しているが、ジョーダンをルーツとする英国チームのレーシングポイントも2021年から英高級メーカー、アストンマーティンのチーム名に変更することが決まった。


アストンマーティンとレッドブルが共同開発したハイパーカーのヴァルキリー((C)RedBull Content Pool)

日本では軽乗用車の世界で多用されているOEM


 OEMとは他社ブランドの製品を生産すること。日本では軽乗用車の世界で多用されており、例えば、三菱自動車のeKワゴンが日産ではデイズの車名で売られている。コンビニエンスストアの商品でもよく見かけられる。

 「OEM化」とあえて表現するのは運営チームのザウバーとレーシングポイントがともにメーカーの子会社化、もしくは関連会社化されていない点だ。

 アルファロメオは2018年までザウバーのタイトルスポンサーだったが、ネーミングライツ契約を結んでチーム名を変更。パワーユニットはフェラーリ製を積んでいる。

 一方のアストンマーティンはレーシングポイントの共同オーナーで、同チームに所属するランス・ストロールの父、ローレンス氏が同社の株式約20%を、1億8200万ポンド(約261億円)で取得。アストンマーティンとレーシングポイントの間では直接の資本関係は今のところないとされる。

 パワーユニットについては生産車にも搭載されているメルセデス製を継続するとみられ、ローレンス氏も「アストンマーティンの経営陣と協力し、会社の運営やマーケティングなどをてこ入れしていく」としている。

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アストンマーティンのF1参入でモータースポーツ業界は大混乱


2021年からアストンマーティンにチーム名が変わるレーシングポイント(レーシングポイント提供)

 ちなみにいわゆるワークスチームと呼ばれるメルセデス、フェラーリ、ルノーはチームを子会社化しており、自社製のパワーユニットも開発。ホンダはプライベートチームのレッドブルとトロロッソ改めアルファタウリの2チームに日本で製造・開発されているパワーユニットを提供している。

 実はアストンマーティンのF1参入でモータースポーツの業界は大混乱に陥っている。

 同社はレッドブルとハイパーカー「ヴァルキリー」の共同開発をしており、仏ルマン24時間レースを頂点とする世界耐久選手権(WEC)に、今年9月から始まる次シーズン(2020-21年)に新最高峰クラスの「LMハイパーカー(LMH)」での参戦を表明していた。

 ところがF1に軸足を移したことで、WECの計画をここに来て白紙に戻すもようだ。この結果、WECのLMHクラスに初年度からワークス体制で参戦するのはトヨタ1社のみになってしまう。

 WEC側は既存のルマンプロトタイプカーから市販車に近いハイパーカーへシフトすることで、シリーズに新風を吹き込ませるつもりでいただけに思わぬ肩透かしを食らった形だ。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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